第4話 工事中の年度末
街灯が並ぶ歩道は、まるで未来へと続く道のように見える。薄明かりの中で、一基一基の街灯が希望の灯台のように立ち並んでいる。
歩道を歩けば、その先に希望がある、というその先に進む。その先へ、一歩一歩、希望に近づく。しかし、近づき過ぎたらしい。誘導員に阻止される。
木製のボードウォークが海の上に伸びている。その先には何か重要なものがあるのだろう。波がボードウォークの下で静かに砕けている。
「危ないですから下がってください」
安全第一と書かれていたはずのヘルメットが、今は希望第一になっている。そうか、お前も『希望』なのか。では、問わせてもらおう。
「何時になったら通れるんだ?」
「希望が確認されたら」
『希望』は何時も訳の分からぬことを言って俺を惑わせる。しかし何時までも迷える羊ではない。俺の本性、美しき銀狼をチラッと……いや、まだ隠しておこう。
「俺は希望を確認した」
「逃げられたクセに」
何だと? 何故それを知っているんだ。お前はまさか『希望』なのか? いや、さっき確認したばかりだ。
勝手に出て行った奴に逃げられたなど、世間体の悪いことを言われたくはない。いや、今更、世間体を考慮してもしょうがない。考慮すべきは、こいつのことだ。
ということで強行突破だ。
体を前に傾かせ、地面を蹴りつける。
風が耳を切り裂くように通り過ぎる。
走って、
走って、
走って、
走って、
……元に戻った。
「何時になったら通れるんだ?」
「希望が確認されたら」
「俺に希望はあるのか」
「……」
無言のプレッシャーが俺を狂わす。
今度は逆方向だ。
走った、
走った、
走った、
走った、
……疲れた。
街角に置かれた自販機。日本のどこにでもあるような見慣れたデザインが、ここに佇んでいる『わけ』を自慢げに語っていた。どうやらお前にも人生を物語る『資格』があったようだ。
自販機で何か飲もう。しかし、ボタンのラベルが全部『希望』と書いてある。それも売り切れだ。いや、一つだけあった。『絶望』だ。俺はそれをチョイス。飲んだら絶望した。




