表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パンドラの箱  作者: Tro
4/6

第4話 工事中の年度末

街灯が並ぶ歩道は、まるで未来へと続く道のように見える。薄明かりの中で、一基一基の街灯が希望の灯台のように立ち並んでいる。


歩道を歩けば、その先に希望がある、というその先に進む。その先へ、一歩一歩、希望に近づく。しかし、近づき過ぎたらしい。誘導員に阻止される。


木製のボードウォークが海の上に伸びている。その先には何か重要なものがあるのだろう。波がボードウォークの下で静かに砕けている。


「危ないですから下がってください」


安全第一と書かれていたはずのヘルメットが、今は希望第一になっている。そうか、お前も『希望』なのか。では、問わせてもらおう。


「何時になったら通れるんだ?」


「希望が確認されたら」


『希望』は何時も訳の分からぬことを言って俺を惑わせる。しかし何時までも迷える羊ではない。俺の本性、美しき銀狼をチラッと……いや、まだ隠しておこう。


「俺は希望を確認した」


「逃げられたクセに」


何だと? 何故それを知っているんだ。お前はまさか『希望』なのか? いや、さっき確認したばかりだ。


勝手に出て行った奴に逃げられたなど、世間体の悪いことを言われたくはない。いや、今更、世間体を考慮してもしょうがない。考慮すべきは、こいつのことだ。


ということで強行突破だ。


体を前に傾かせ、地面を蹴りつける。


風が耳を切り裂くように通り過ぎる。


走って、


走って、


走って、


走って、


……元に戻った。


「何時になったら通れるんだ?」


「希望が確認されたら」


「俺に希望はあるのか」


「……」


無言のプレッシャーが俺を狂わす。


今度は逆方向だ。


走った、


走った、


走った、


走った、


……疲れた。


街角に置かれた自販機。日本のどこにでもあるような見慣れたデザインが、ここに佇んでいる『わけ』を自慢げに語っていた。どうやらお前にも人生を物語る『資格』があったようだ。


自販機で何か飲もう。しかし、ボタンのラベルが全部『希望』と書いてある。それも売り切れだ。いや、一つだけあった。『絶望』だ。俺はそれをチョイス。飲んだら絶望した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ