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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

嘘と廃線路の思い出

作者: 山吹凪咲

 とある2人の女の子が居ました。

 誕生日も血液型が一緒でした。

 そんな2人は今から1年前の誕生日、恋人になりました。

 2人の家は隣同士でした。

 その家から目の前と言っても過言じゃない位、とっても近い所にある公園で恋人になりました。

 告白したのは、白いセミロングの髪、赤色の目、笑うとえくぼの出来る活発な子、天樹ふあがしました。


「ねえ、あたし達何かと合うし一緒だから恋人にならない?」


 それを茶色いロングの髪、青色の目、大人しい子、白波瀬ここあは照れながらか細い声で


「……いいよ」


 と言い、告白を受け入れました。


「本当にいいの? 嘘じゃない? 喜んでいい?」


 ここあの反応に思わずふあは返しました。


「もちろん。私もとっても嬉しいから……!」


 ここあは満面の笑みでそうふあに返しました。

 そして2人で喜び合いました。

 2人が9歳になる年の出来事でした。

 それからブランコに乗りお話をしました。


「あたし恋人になれると思わなかった」

「私も。それと告白されると思わなかった」

「そうなの?」

「だって私達まだ9歳だし、ふあとは仲良しの親友だと思っていたから。夢にも思わなかったかな」

「そうなのね。あたし歳は関係ないと思っているから、恋心に気付いてから誕生日の日に言おうって決めていたの」

「私だったら関係が変わりそうで、壊れそうで言えないよ」

「あたしにとってはそれは関係なかった。例えそうなっても元通りにするって決めていたよ」

「ふあらしいね、とっても」

「それを言ったらここあも、ここあらしいよ、とっても」


 それからブランコを下りて、手を繋いでお家に帰りました。

 それが1年前の事でした。






 それから現在、10歳になった日の事でした。

 お誕生日と付き合って1年のデートの帰りの事でした。


「ねえ、明日あの有名な廃線路に行こうよ」


 ふあは突然ここあに言いました。

 楽しい空気が、楽しかった一日が危うく壊れる一言でした。

 何故ならその廃線路は悲しい物語と、とあるジンクスがある場所でした。


「いいけど、どうしたの?」

「ただ行きたくなったのよ……そしたらあたしも、あたし達も……」

「ん? 最後なんて?」

「何でもないよ。とにかく行きたいの」

「分かった。朝から行こう」

「朝から?」

「せっかくならってね」

「もちろん、いいよ」


 ここあは物語とジンクスに合わせてそう提案したのでした。

 その物語は悲しい物語で、その物語の一部はこうです。

 昔、とある有名な2人の地主にそれぞれ娘が居ました。

 2人は隠れて付き合っていました。

 周りからは仲の良い2人で有名でした。

 しかし、いずれ2人は家の為に嫁ぐ身の為、隠れて付き合うしかないのでした。

 とある日、それぞれ嫁ぐ事が決まり、それを嫌で逃避行を計画し、2人は家に対して手紙を残して逃避行したのでした。

 それはもう街総出と言う程、捜索が行われたのでした。

 そして追ってから逃げる際中に、逃げられないと思った2人は線路に飛び込み轢かれ身罷りました。

 その後は2人の幽霊が線路に出るとか、そこを通る時に声等聞こえるとか、色々な現象が起きた為廃線となったのでした。

 ジンクスはこうです。

 その2人の地主の長女が身罷った為、これからは家の為にだとかそんな事で子供達を縛ってはいけないと、その地主2人だけでなく色々な家の人達は決めたそうです。

 そんな矢先、その2人の地主の二女が公認のカップルになり、付き合い始めた場所も何もかも全部その廃線路なので、そこで告白などすれば一生添い遂げられるというジンクスが出来たのでした。






 そんな訳で次の日。

 2人は廃線路へ向かう為朝から準備して集まっていました。


「見て見て、これ何だと思う?」

「ふあお手製のお弁当でしょ。いらないって昨日言っていたもんね。手作り料理食べるの初めて。楽しみだなあ」

「この日の為に練習したの。楽しみにしてね。じゃあ行こ?」

「うん! 流石に眠いけどね」

「あたしも眠いかな」


 何せ早朝の4時でしたので、その時間に起きた事ない2人は眠かったのでした。

 その物語が朝の出来事でしたので、それに合わせて出発したのでした。

 2人の家から電車で1時間、バスで1時間掛かるのでした。


「ねえ、ここあは電車とかで寝る? あたしは寝ないけど」

「ふあが寝ないなら寝ないでふあと話す」

「あたしも話したいと思っていた所。沢山話そうね」


 それから数十分歩いて駅に着きました。

 始発の電車に乗って一時間揺られます。


「これ、あたしお手製の朝ご飯用のおにぎり」

「あ、食べる。ん、おいしい。しかも私の好物の鮭だ」

「あたしのはね梅なんだよ」

「知ってる。ちょっと甘い梅が好きなんだよね」

「こっちも食べてみて」

「ん、次に好きな昆布だ」

「あたしのはね――」

「ツナマヨでしょ?」

「うん! 当たり!」


 そんな話をしながら、朝ご飯を食べながら電車の中での時間は過ぎて行きました。

 そして、バスに乗る場所の駅に着きました。


「あたし寝ちゃった」

「私も一緒に寝たよ。折角ならって思ってね」

「そうなのね。これからバスだけど、何かまた寝ちゃいそうだね、あたし達」

「それでもいいんじゃないかな?」

「まあお話して眠くなったら、ね」


 そして数十分待つと目的地へのバスが来ました。

 どうやら乗る人は2人しか居なかったようです。

 電車では意外と人は居ましたが。


「さっきまで人居たのに、誰も居ないね」

「そうだね。ふあと2人きりもいいじゃない」


 そんな話や色々な話をしながら、バスに揺られる事一時間。

 目的地の廃線路近くに到着しました。

 そこから数十分歩くと廃線路に到着します。


「長かったね。でもここあと一緒だから楽しくてあっという間だった」

「分かる。私もそうだもん」

「ここからあと少しだね」

「そうだね。行こ?」


 それから歩く事数十分、2人は目的地に到着しました。


「ここが噂のふあの来たかった廃線路ね」

「そうだよ。意外と手入れされているでしょ」

「うん。廃線路と思えない」

「何か有志の人達で手入れしているみたいよ」

「そうなんだね。でもどうして?」

「あたし達みたいに来る人が後を絶えないからとか色々な理由があるとか」

「なるほどねえ。じゃあ来ても大丈夫な訳ね」


 色々な背景や理由によって立ち入り禁止にはなってません。

 かといって、訪れる人もそう多くないそうですが。


「ねえ、あたし達は一緒だよね? 一緒に居ても良いんだよね?」

「? うん、ずっと一緒だよ」


 ここあの返した言葉に返す事なくふあは続けました。


「結ばれてもいいんだよね? 恋人で居られるよね?」

「いつまでも一緒に居られるよね?」

「死んでもその後も、生まれ変わってもいつまでも居られるよね?」

「大好き、愛してるよ」


 暫くの間沈黙が流れました。

 先に口を開いたのはここあでした。


「勿論、どんな時もいつまでもずっと一緒だよ。大好き、愛してるよ」

「……うん、うん! 愛してる!」


 そう言ってふあはここあを抱き締めました。

 それからキスをしました。

 誓いを交わす様に。


「ん……」

「……っ、ん、ふう……珍しいね、私からばかりだったから」

「そんな事ないよ。あたしからもしているよ?」

「そう? そうかなあ? ま、いっか」

「ねえ」

「なあに?」

「あたし、元気だよ。ずっと一緒」

「? うん、そうだね」


 突然そう言われここあは一瞬疑問に思ったものの、その疑問は一瞬で消え去りました。

 それから色々な話をしたり、辺りを探索しました。

 そして滞在時間数十分程で2人は帰りました。


 帰った翌日、ふあが倒れ病院に運ばれました。

 そしてここあにこう言いました。


「愛してる」

「私も愛してる」


 そして満面の笑みを残してふあは身罷りました。


 それは突然の事ではなく、一年前から、一年前の誕生日から決まっていた事でした。

 一年前の誕生日の朝、治らない病気に罹った事をふあと家族は知りました。

 それをここあの家族には伝え、ここあにはふあの意思により今は伝えない事にしました。

 そして死ぬその日まで後悔無く過ごす事にしました。

 ふあはここあに誕生日の日告白をしました。

 それから色々な所に行ったり、色々な事をしました。

 徐々に身体が限界を迎えていました。

 一年後の誕生日の後、もう時間無いと感じ取ったふあは廃線路に行こうとここあに提案しました。


 そんな色々な事や思い、想いがふあの残した手紙には綴られていました。

 そして何度も文末には愛してるが登場していました。

 最後の言葉は愛してると待っているよで締められていました。

 それを読んだここあは哭きました。

 それから葬儀等色々終わりました。





「元気だよって、一緒だよって嘘じゃん……」


 私は葬儀やら色々終わって公園でそう零した。

 思い返せば色々とおかしいところや発言があったなあ。

 何で気付かなかったんだろ。

 何で教えてくれなかったんだろ。

 って今更色々考えても仕方ないよね。


「今更取り戻せないもんね。いや、ふあは満足してくれていたみたいだから、後悔するのはおかしいよね」

「だから、私に出来る事は……」


 私に出来る事は生きる事だろうね。

 だけど、私は……。

 ふあが居ない今なんて、これからなんて考えられない。

 あんなにも楽しかった日々が送れないなんて、少しも考えられない。

 考えたくない、想像出来ない、耐えられない。

 だから私は決めたんだ。


 次の日。

 私は準備をしていた。

 手紙も書き残したり色々準備をした。

 そして私は廃線路へと向かった。


「流石に1人だと退屈で長かったし、遠く感じたなあ」


 そう零した。

 そしてようやく廃線路に着いた。

 私はいそいそと準備を始めた。


「待っていてね。かなり早いってもしかしたら怒るかもしれないけれど、今すぐ行くからね」


 そして大量の睡眠薬を飲み、眠気で倒れるギリギリで手首を切った。


「……あいしてる、いま、いく……から、ね……」





 こうしてここあも身罷りました。

 取り戻せない事実に、今残された人が出来る事は何か、ここあはこの手段を取りました。

 2人は今頃どうしているでしょうか。

 幸せで仲睦まじく居られていると良いですね。






「愛してるよ、ここあ」

「私も愛してるよ、ふあ」

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