8話 実は生贄!?
「司って本当に分かってないね。そんなこと言っても関係ないってことがさ。僕が君を気に入った時点で君は僕のものなんだよ。それはもう決定してるって事なんだよ。いうなれば君は僕の花嫁さんなんだ。」
奴はため息をつきそうなくらい呆れた様子で私にそう言った。
私は再び呆然としてしまった。
なぜ、急に奴の花嫁になったことになっているのか?
もちろん私はそんなもの承諾した覚えは一切ない。
たとえプロポーズされても速攻逃げる。
例え裸足でも精一杯逃げますから私。
もう、奴、ストーカーと関わりになるのはごめんなんだ。
………心底疲れる。
「………」
なんで奴は急に花嫁と言い出したんだ?
………。
…見た目は若くても『ちょーおじいちゃん』なだけに痴呆が…
(私自身はこの選で行きたい。おもしろそうだ。推薦する。投票もしてやるよ!!1000枚くらい偽名を書いて!!)
それとも………やはり妄想がそこまで進んでしまったのか?
これは私がさっき『五分後には嫁にでもなってそうだ』と思っていたことではないか?
こんな事こそ当たってほしくなかった…。
それに奴の事に関しての『当たり』は『当たり』ではなく『祟り』ではないだろうか。
………いや、奴は悪魔だったから『呪い』か?
まあ、私は何か呪われるような事をした覚えはないがこればかりは『神のみぞ知る』だ。
それに当たるのならガリガリ君とかで十分でだ。寧ろそちらのがありがたい!!
どちらを選べと言われたら私は真っ先にガリガリ君を選ぶだろう。
速攻にだ!なんてたって今も喉が渇いているんだ。
………そういえばこれも奴のせいじゃないか!?
奴が十分に私に水をくれていれば今も喉が渇いてるなんて事なかったはずだ!
奴が水をくれたことに関してはスルーする。
そして奴が空気を重くしたせいで更に喉が渇いた。
そして奴と対峙したため緊張して更に汗が出たという悪循環を奴からやられた為、私は更に喉が渇き今はもう唾を飲み込むのが精一杯な状況まで追い込まれている。
口の中はすでにカラッカラッだ。奴は実は私を殺しに来たのではなかろうな?
私がそう思うのも致し方のないことだといえよう。というより私にはその権利が絶対にある!
奴はそれ程に私への気遣いが無だった。というか一切皆無ではないだろうか?
実は悪魔ではなく死神なのか?
それとも悪魔も死神も同一なのか?
殺すなら一思いに殺してほしい…
餓死や干乾びて死ぬのはごめんだ。
…。
…。
…。
…。
………今、気づいてはいけないことに私は気づいてしまったのかもしれない。
奴は私が苦しんでいるのですら楽しんでいるのかもしれない。悪魔なだけに。
干乾びるのを待っているのかもしれない。悪魔なだけに。
奴の喜びは私の不幸なのか!?
勘弁してほしい。
結婚式の台詞みたいで心にも傷が付きそうだ。
実は『花嫁』ではなく『生贄』なのか!?
そうなんですか!?
どうなんですか!?
私は誰にも回答が得られないと解っていたが(なんてたって奴と二人きりだ!!)心の中で叫んだ。
「………実は生贄なんですか?私。」
「はぁ!?………なんで生贄なの?僕、司は『僕の花嫁さん』て言ったんだよ。」
「だから、花嫁という生贄なんですか?寧ろ、供物なんですかね?こういう場合。」
「………人間ってそうゆうの好きだよね。別に僕、司の事供物として貰うつもりはないよ。花嫁としては貰うつもりだけど。だって人間食べても美味しく無いしね。それなら別のもの食べたほうが良いしね。でも、別の意味で司は食べたいな♪だって美味しそうだしね♪」
さっきまでの奴のどす黒い空気はどこえやら。今の奴からは想像出来ない。出会った時の奴に戻っていた。
「それじゃあ、生贄ではないんですね。」
「もちろんだよ♪」
「私は死ぬ運命とかでは…」
「僕は知らないけど?」
「………死神とかでは?」
「全然違うね。僕は悪魔だから。」
「………それではあなたは私を殺すために現れたんじゃないんですね。」
「当たり前だよ。僕は自分の花嫁を殺すなんてことしないよ♪勿体無いしね。」
「………そうですか。」
『花嫁』『美味しそう』?云々には納得出来ないが死ぬことは無さそうだった。
???………では、何故奴はあんなにも重く真っ黒な空気で私を即死させる気満々オーラの怒りをぶつけてきたのか?
………嫉妬ですか?
まさか…。
……悪魔が嫉妬なんて笑えない冗談だ。
というか悪魔が嫉妬しているところなんて見たくない。
人間くさすぎるでしょ!
『我関せず』が悪魔っぽいでしょうが!
寧ろそっちのほうが私的に好ましいよ!
今からでも遅くないよ!
そして、『我関せず』が適用したあかつきには私の事なんて忘れているね!
目の前に居たってきれいサッパリだよ!!
そして私は晴れて自由の身!なんて素晴らしい!?
現実になってほしいと心から想うのだった。