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30話 屋台のオヤジと探検③

微下ネタがあります。

嫌悪感のある方にはお勧めできません。

それでもOKという方のみどうぞ。


本当に微です!!

 



 屋台のオヤジは私が許可を出した事も付随しておかしかったのか、突然『ぶはっ』と噴出したあと、お腹を抱えて笑いだした。


 もうすでに5分は経過しているのではないだろうか。


 笑いすぎだろ!!


 私、いい加減にしないと本当に泣きますよ。

 ああ、少し目元が濡れてきている気がする。

 ええ、真面目に泣けます。

 演技なしで!!



 私の不穏な空気を感じたのか屋台のオヤジは笑いを抑えようと努力している。

 ………が、哀しいかな。その努力も虚しく『ぶぶっ』、『ぶっ』、『ぶぴっ』とまるで豚が鳴いているような擬音が聴こえる。

 なんとも間抜けな鳴き声に私も思わず笑ってしまった。


「ぷっ!あははははは、豚みたい!『ぶぶっ』ってマジ、豚だよ!あはははは。『ぶぴっ』ってホントおかしぃー!」


 屋台のオヤジも一緒になって更に笑い出した。




 *****




 あれから2人してかなりの時間、笑ってしまった。

 私もだろうが屋台のオヤジの顔も赤い。


 屋台のオヤジは場の雰囲気を一掃しようとしたのか一度咳払いをした。


 ぷっ、今更ですよ。


「…それで、お嬢ちゃんの名前はなんていう名前なんだ?」


 会った時より寸断に柔らかい笑顔で私に話し掛けてきた。


「月野司と言います。こちらでいうと司・月野かな?」


「ツァーサ・ツキュノ?」


「………違います。つ・か・さです。」


「ツ「そうです。」」


「クァ」


「違います。カです。カ!」


「カ「そうです。」」


「サ。」


「それを続けて言ってみて下さい。」


「ツ…カサで合ってるか?」


「少したどたどしいですけど合っています!」


 なぜが二人して達成感に喜び、笑った。

 その後も『月野』の名字も二人で、言い合った。傍から見れば私は先生役で、屋台のオヤジは生徒役のような奇妙な二人であった。




 *****




「それじゃあ、お嬢ちゃん。何が見たいんだ。お嬢ちゃんが行きたい所に案内するよ。」


「………。」


「?。どうしたんだ?お嬢ちゃん?」


 ………。


「どうしたんだ?」


 私が何も言わないのを変におもったのか屋台のオヤジはもう一度『どうかしたのか?』と訊ねてきた。

 だが、私は言いたい!!「『どうかした?』とはお前だろう!?」と!!

 寧ろ叫ばなかった私を褒めてほしい!

 いままで二人して私の名前を言い合っていたのはなんだったのだろう!!

 寧ろ無駄骨ですか!!

 無意味だったんですか!!

 呼ぶつもりが無いなら初めから聞かないでほしい!

 何のための呼ぶ練習だったんですか!!

 私は悲しくなりつつも一応聞いといた………かなり悲しくなりましたが!!


「……なんでツカサって呼ばないんですか?」


 屋台のオヤジは困った顔をしながら頭を掻いた。

 幾分か、また顔が赤くなってきた様にも思える。

 なにかおかしな質問でもしただろうか?


「……あ~、あのな、お嬢ちゃん、俺は余りそういうのには慣れてなくてな。」


「は?。何がですか?」


「あ~、だから、そのな。」


「はい?」


「あ~、え~と、だからな、女性を呼び捨てになんてことは余り、したことがなくてな。……慣れてないんだ。」


「………でしたら呼び捨てではなくさん付けしてはどうですか?私でしたら司さんとか。」


「いやいや。駄目だろ。」


 ………何が!!


「……一体何が駄目なんですか?」


「いや、未婚の女性を名前で呼ぶなんてのは絶対にしてはいけない事だろう。俺と嬢ちゃんは夫婦ではないのだから。それに俺はそういうのには慣れていない。だからそういうのははっきり言って無理だ。すまんな。お嬢ちゃん。」


 ………。

 …………。

 ……………。

 ……マジですか!?

 明らかに30後半ですよね?

 それに、美形とはいかなくても二枚目男前な屋台のオヤジはそれなりにモテそうに見えるのに?

 この世界の女性は見る目が無いのか?

 それとも屋台のオヤジ自身に問題があるのか?……いや、ありそうだけども……。



 私と屋台のオヤジの間には先程までの二人で達成した喜びに付属していたと思える親しさは今では見るかげも無くなり、気まづい雰囲気だけが漂っていた。


「………。」


「……まあ、俺の事はいいとして。それより、どこへ行くか決めようか。」


 気まずい空気を一掃するように再び、屋台のオヤジが咳払いし、話し掛けてきたがそんなものでこの気まずい雰囲気が回復出来るわけがなかった。


「……あのー‥。」


「どうしたんだ?」


「……ひとつ聞いてもいいですか?」


 なんだ?というふうに先を促す屋台のオヤジに気まずいながらも私は気になったことを伝えた。

 むしろ私の質問こそが気まずさを増加させることも私は知っていた。ただ、あの迷信が真実か知りたかっただけ。

 言うなれば、私の好奇心。


「……もしかして、童貞ですか!?」


 少し、肝心な部分が早口になってしまったがきっと相手には伝わっているだろう。


「………。」


「………。」


「………。」


「………。」


 沈黙が重く痛い。

 屋台のオヤジは固まったように1mmも微動だにせず動かなくなった。



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