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12話 頭の中に花が咲いている!!

 


「………。」


 …………………………をいっ!


 何、勝手なことしてくれてんですか!?

 誰がそんなこと頼みましたか!?

 何、その遣りきった感溢れる晴れやかな顔!!

 全然、やり遂げていませんから!!

 明らかに有り難迷惑ですから!!

 寧ろ、アナタの場合、迷惑だけですから!!

 どうしてくれるんですか!?

 私のささやかな『結婚式一生できない』案と『一緒に住むまでの時間が私が死ぬまでぐらいとかがベスト』案希望は今、木っ端微塵になくなりましたよ!!

 小さな思いだったのに!!

 しかも1分以内ってどういうことですか?

 早くないですか!?

 誰かに感謝した気持ちを返してくれ!!


 私は私に感謝された誰かに対して闇金貸のごとく暴言を心の中で吐いた。

 言葉には出せない程の暴言だ。

 ただ、私に感謝された誰かが居るかどうかはわからない。

 つまり、私の自己満足だった………。




     *****




 私は居るかもわからない誰かに暴言を心の中で吐いていた。

 もちろん奴の存在は無いに等しかった。


「それじゃあ、僕はもう行くから♪司、がんばってね~♪」


 奴はそう言うとくるりと後ろを向き去っていこうとした。


 クシャッ


 私は勢いよく奴の肘部分の布を掴んだ。


 決して奴が恋しいとかでは断然ない。


 奴の行動に問題がある。


 ありえない。


 ありえない。


 ありえない。


 死んでもありえない。


 ………放置。


 奴は私をこの森に放置しようとしているのだった。


「どうかした?大丈夫♪頻繁に会いに行くよ♪」


 奴は超絶美形な顔をしてそう言った。綺麗な笑顔付きで。


 ありえない。


 ありえない。


 ありえない。


「………。」


「司、僕もう行かなくちゃ♪寂しいのは分かるけど、手離してね♪」


 奴はそう言うと私の手を包み込むようにし、そっと手を服から外そうとする。

 絶対離すもんか。

 更に手に力を込める。


「大丈夫♪約束するよ。明日、必ず、会いに来るからね♪だから、今は手を離してね。」


 奴はそう言うと私の前髪をかきあげおでこにキスをしようとした。


 私は奴の服から手を離し脇腹へ持っていき、上向きで拳を握る。


 “ドスっ”


 再び、奴の鳩尾に私の渾身のストレートが奴の唇がおでこに届く前に炸裂した。

 そして奴はまたもや地面と友達になった。

 またの名称を地面に這い蹲るという。


 奴から聞いたことのある「ヴ~」という呻きが聞こえた。

 勿論、無視。


 それよりも

「何考えてるんですか?あなたは。人を此処に連れて来といて自分の用だけ言ったら後は放置ですか?それが未来のもしかしたらあなたの花嫁になるかもしれない人にする行為ですか?」


 私は最後に『最悪ですね』と言い奴に冷めたまなざしを送った。

 奴の報復に関しては今はどうでも良い。

 寧ろ私としては今現在の状況のほうが大事なのだ。

 明日には『死』が待っているかも知れないのだから。


 奴は地面からヨロヨロと立ち上がった。手は鳩尾を押さえたままだ。

 先ほどのより効いたようだ。寧ろ2度目の鳩尾だったからだろうか、かなりダメージを引きずっていた。

 ざまーみろ。


「なゴフッ、な…んで、お腹をスト…レートで殴るのッ…かな?照れ隠し?」


 奴は息遣いも荒くそう言った。

 かなりの病魔に頭が冒された悪魔だ。

 病魔の名は『マゾと大変態』だ。


「つ…かさ…はかわ…いいなぁ~♪」


「………。」


 頭の中に花が咲いているらしい。

 花畑なみに。



 急に奴は一度背筋を伸ばし深呼吸した。


 何で?


「ごめんね。司の事、別に放置しようとしたとかじゃなくスッカリ忘れていたよ。人間て食べるものが無いと死ぬんだったね。本当気づかなくてごめんね。」


 奴は本当にすまなそうに私に謝った。


 ただ、大いにズレていることに奴は気づかない。

 問題は食事だけではないのだ。

 全ては現状。森に居る事だった。


 ちなみに奴の息遣いは元に戻っていた。

 ………深呼吸?






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