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2,鑑定式

 僕たちは冒険者になる約束をしてから毎日一緒に特訓した。まだ自分の属性は知らないし、スキルも発動してないけど… ベスターは剣術、そして2人で魔力強化の特訓をした。魔力の強化は、枯れた花や切れ木に魔力を注ぎ込みたくさん消費すること最大魔力量が少しずつ増えていくらしい。これは図書館の一番下の本棚に他の本で隠すように置いてあったぼろぼろの本に書いてあった情報だ。


「はぁはぁ…もう一回!魔力を感じてそれを体の中心に集めて、放出…」

 僕はこの特訓を初めて3か月になるけどまだ花を綺麗に咲かせられない…

 枯れた花をまた綺麗に咲かせられるようになるのにはまだまだかかりそうだった。僕は孤児院の当番で午前中が特訓にあてられない時もあるけど、残りの時間を全部使って特訓に専念した。



「咲いた!!ベスタ―!咲いたよ!!」

「やったじゃねーか!!さすがルーセントだよ!」

 ルーセントは鑑定式の2週間前についに花を咲かせることに成功した。



 年末になり僕たちの鑑定式の日が来た。

教壇の上にあるあの鑑定石に触れることで僕たちの属性やスキルが分かる仕組みになっている。


この世界の属性は火、土、水、風の四大属性から始まり、そこから派生する岩、雷、音属性など様々な属性がある。 全ての始まりである四大属性は属性魔法持ちの中でも貴重で、鍛え方によっては派生属性まで属性を広げることができる属性である。つまり、四大属性を持って生まれた者が属性をいずれ2つ3つ持つことができるひと握りに入れるんだ。


 じゃあ一般の人は魔力を持っているだけなのかって?

実はこの世界にはすべての人が必ず発現するスキルというものがある。これは生まれつきではなくて鑑定式で発現する。例えばだけど、読書が好きな人は人より早く読める速読スキルを発現させるし、植物を育てるのが好きな人は成長加速スキルを発現させる。


 他にも鑑定式で稀にこの世界の唯一神であるディアーロの加護をもつ人が現れるそうだ。しかし、書物ではここ500年ほど加護を持った者が現れていないと本に書いてあった。僕たちは洗礼を受けたあと鑑定石に順番に触れて行く。順調にみんなの属性やスキルが明らかになっていく中、ベスターの番がやってきた。


 ベスターはゆっくり、しっかりとした足取りで鑑定石に近づいた。

ベスターが鑑定石に触った瞬間太陽のような赤いようなオレンジのような光が広がった。

そしてベスターが触れた鑑定石には


《         ベスター         》

《         属性:火         》

《       スキル:剣技強化       》

《       ウラノス神の加護       》


と書かれていた。

「流石だベスタ―だよ!火属性に剣技強化!!最強だよ!」

「ん…?ウラノス神の加護?どういうことだ?」

ベスタ―は僕の方を向くと問いかけた。

「ルーセントは知ってるか?ウラノス神。」

「…いや…初めて聞いたよ。図書館の本は全部読んだけどどこにもウラノス神なんて書いてなかった」


周りの人がざわめき始めた

「ウラノス神って…ディアーロ神じゃなくて?」

「どういうことだ?神のご加護はいいことなんだろうけどねぇ」

「でもほらその子あの赤髪と仲のいい子でしょう?やっぱり呪いなんじゃない?」



【…そもそもこの世界は唯一神で、ディアーロ神しかいないはずなのに…どういうことだ?】

唯一神であるこの世界で初めて耳にする神の加護に皆驚き戸惑っていた。


 しかし、そこで司祭が

「神の加護に間違いなどございません。私たちが崇める神ではありませんが、ウラノス神も神であることには間違いありません。500年ぶりの加護持ちが現れました。とても素晴らしいことです。」

 

 と祝福をしたことで渡りからは次々と拍手喝采が起こった。

【なんにせよベスターは本当に凄い!神の加護だなんて…】

 司祭は初めてのことであるため調べる必要があり追って連絡すると言い、ベスターにはそれまで今まで通りに過ごすように伝えた。


「ルーセント!やったよ!俺やったよ!ほんとにびっくりだ!神の加護があったなんて…!これで2人で冒険できるな!」

教壇から階段を飛ばし降りると僕のもとに駆け寄った。

「次はルーセントの番だ!」

そう言ってベスターは僕の背中を押した。


 僕は恐る恐る会談を上り鑑定石に近づいて石の前で深呼吸した。

そしてゆっくりゆっくり手を鑑定石に手を触れた。

 ≪ぽわぁ≫

 石は他のみんなと同様にほのかに白い光を放ち、結果が映し出されていった。


《        ルーセント         》

《        属性:⊂◆^¶        》

《       スキル:§≦▽⊿〓       》


【なっ、なんだこれは?!属性もスキルも読めない…どういうことだ??】

「なんだ?これは…こんなの始めてだ。これは属性もスキルもないと言うことか?!」

司祭が僕の結果を見て驚きながら言った。

「え?属性もスキルもない?そんなことあるんですか?!どうして…どうして僕だけ??」

「どういうことだ?こんなことありえるのか?きっとなにかの間違いだ!」

ベスタ―は司祭に駆け寄っていった。

「ルーセントもう一度触ってみろ!」

「う、うん!」

 ≪ぽわぁ≫

「まただ!もう一度」

 ≪ぽわぁ≫

「そんな!」

結局僕は何度触っても結果は変わらなかった。

僕は体から変な汗が噴き出していた。

「やっぱり、お前は呪われてるんだよ!」

同じ孤児院の一人がそう叫んだ。そこからぽつぽつと僕を批判する声が出てきた。その声は多く、そして大きくなっていった。そこには普段優しくしてくれていた人々もいた。

「やっぱり普通じゃなかったのよ。あいつは呪われた子よ。」

「シ、シスター?」

その声は孤児院で僕を唯一気にかけてくれていたシスターだった。

僕は震える足を叩いて、出口に向かって走ってその場から逃げ出した。晴れていた空は曇っていき、そして大粒の雨を降らしていった。



 鑑定式が終わった後僕は孤児院でいつも以上に孤立した。いじめはいつもより酷くなり、ずっと無関心だった大人達からは冷ややかな目で見られるようになった。シスターは態度が一変し、僕に強く当たるようになった。


「やっぱりお前は出来損ないで呪われた人間なんだよ!属性もスキルもないなんておかしいだろ!目も髪も赤いし!」

『待ちなさい』

 ずっと僕に無関心だった院長が僕たちの間に入った。そして地面にうずくまっていた僕を見た。


「さすがに今回の事は孤児院にとって都合が悪い。ルーセント、申し訳ないが15歳の成人でここを出る予定だったが今すぐここから出て行ってくれないか…?」

「え…?どういことですか?」

「すまない。しばらく生活できるように金は用意する。それで許してはくれないだろうか…」

「そんな!院長先生!僕は呪われてなんかいないんです!みんなと何も変わらないんです!」

職員の男性は僕を孤児院の外まで引きずるとあの本を床に投げつけていった。

「もうここには来ないでくれ。呪われた子供を保護しているなんて聞こえが悪すぎる。消えてくれ。」

「…ひっくちは冒険者になる約束をしてから毎日一緒に特訓した。まだ自分の属性は知らないし、スキルも発動してないけど… ベスターは剣術、そして2人で魔力強化の特訓をした。魔力の強化は、枯れた花や切れ木に魔力を注ぎ込みたくさん消費すること最大魔力量が少しずつ増えていくらしい。これは図書館の一番下の本棚に他の本で隠すように置いてあったぼろぼろの本に書いてあった情報だ。


「はぁはぁ…もう一回!魔力を感じてそれを体の中心に集めて、放出…」

 僕はこの特訓を初めて3か月になるけどまだ花を綺麗に咲かせられない…

 枯れた花をまた綺麗に咲かせられるようになるのにはまだまだかかりそうだった。僕は孤児院の当番で午前中が特訓にあてられない時もあるけど、残りの時間を全部使って特訓に専念した。



「咲いた!!ベスタ―!咲いたよ!!」

「やったじゃねーか!!さすがルーセントだよ!」

 ルーセントは鑑定式の2週間前についに花を咲かせることに成功した。



 年末になり僕たちの鑑定式の日が来た。

教壇の上にあるあの鑑定石に触れることで僕たちの属性やスキルが分かる仕組みになっている。


この世界の属性は火、土、水、風の四大属性から始まり、そこから派生する岩、雷、音属性など様々な属性がある。 全ての始まりである四大属性は属性魔法持ちの中でも貴重で、鍛え方によっては派生属性まで属性を広げることができる属性である。つまり、四大属性を持って生まれた者が属性をいずれ2つ3つ持つことができるひと握りに入れるんだ。


 じゃあ一般の人は魔力を持っているだけなのかって?

実はこの世界にはすべての人が必ず発現するスキルというものがある。これは生まれつきではなくて鑑定式で発現する。例えばだけど、読書が好きな人は人より早く読める速読スキルを発現させるし、植物を育てるのが好きな人は成長加速スキルを発現させる。


 他にも鑑定式で稀にこの世界の唯一神であるディアーロの加護をもつ人が現れるそうだ。しかし、書物ではここ500年ほど加護を持った者が現れていないと本に書いてあった。僕たちは洗礼を受けたあと鑑定石に順番に触れて行く。順調にみんなの属性やスキルが明らかになっていく中、ベスターの番がやってきた。


 ベスターはゆっくり、しっかりとした足取りで鑑定石に近づいた。

ベスターが鑑定石に触った瞬間太陽のような赤いようなオレンジのような光が広がった。

そしてベスターが触れた鑑定石には


《         ベスター         》

《         属性:火         》

《       スキル:剣技強化       》

《       ウラノス神の加護       》


と書かれていた。

「流石だベスタ―だよ!火属性に剣技強化!!最強だよ!」

「ん…?ウラノス神の加護?どういうことだ?」

ベスタ―は僕の方を向くと問いかけた。

「ルーセントは知ってるか?ウラノス神。」

「…いや…初めて聞いたよ。図書館の本は全部読んだけどどこにもウラノス神なんて書いてなかった」


周りの人がざわめき始めた

「ウラノス神って…ディアーロ神じゃなくて?」

「どういうことだ?神のご加護はいいことなんだろうけどねぇ」

「でもほらその子あの赤髪と仲のいい子でしょう?やっぱり呪いなんじゃない?」



【…そもそもこの世界は唯一神で、ディアーロ神しかいないはずなのに…どういうことだ?】

唯一神であるこの世界で初めて耳にする神の加護に皆驚き戸惑っていた。


 しかし、そこで司祭が

「神の加護に間違いなどございません。私たちが崇める神ではありませんが、ウラノス神も神であることには間違いありません。500年ぶりの加護持ちが現れました。とても素晴らしいことです。」

 

 と祝福をしたことで渡りからは次々と拍手喝采が起こった。

【なんにせよベスターは本当に凄い!神の加護だなんて…】

 司祭は初めてのことであるため調べる必要があり追って連絡すると言い、ベスターにはそれまで今まで通りに過ごすように伝えた。


「ルーセント!やったよ!俺やったよ!ほんとにびっくりだ!神の加護があったなんて…!これで2人で冒険できるな!」

教壇から階段を飛ばし降りると僕のもとに駆け寄った。

「次はルーセントの番だ!」

そう言ってベスターは僕の背中を押した。


 僕は恐る恐る会談を上り鑑定石に近づいて石の前で深呼吸した。

そしてゆっくりゆっくり手を鑑定石に手を触れた。

 ≪ぽわぁ≫

 石は他のみんなと同様にほのかに白い光を放ち、結果が映し出されていった。


《        ルーセント         》

《        属性:⊂◆^¶        》

《       スキル:§≦▽⊿〓       》


【なっ、なんだこれは?!属性もスキルも読めない…どういうことだ??】

「なんだ?これは…こんなの始めてだ。これは属性もスキルもないと言うことか?!」

司祭が僕の結果を見て驚きながら言った。

「え?属性もスキルもない?そんなことあるんですか?!どうして…どうして僕だけ??」

「どういうことだ?こんなことありえるのか?きっとなにかの間違いだ!」

ベスタ―は司祭に駆け寄っていった。

「ルーセントもう一度触ってみろ!」

「う、うん!」

 ≪ぽわぁ≫

「まただ!もう一度」

 ≪ぽわぁ≫

「そんな!」

結局僕は何度触っても結果は変わらなかった。

僕は体から変な汗が噴き出していた。

「やっぱり、お前は呪われてるんだよ!」

同じ孤児院の一人がそう叫んだ。そこからぽつぽつと僕を批判する声が出てきた。その声は多く、そして大きくなっていった。そこには普段優しくしてくれていた人々もいた。

「やっぱり普通じゃなかったのよ。あいつは呪われた子よ。」

「シ、シスター?」

その声は孤児院で僕を唯一気にかけてくれていたシスターだった。

僕は震える足を叩いて、出口に向かって走ってその場から逃げ出した。晴れていた空は曇っていき、そして大粒の雨を降らしていった。



 鑑定式が終わった後僕は孤児院でいつも以上に孤立した。いじめはいつもより酷くなり、ずっと無関心だった大人達からは冷ややかな目で見られるようになった。シスターは態度が一変し、僕に強く当たるようになった。


「やっぱりお前は出来損ないで呪われた人間なんだよ!属性もスキルもないなんておかしいだろ!目も髪も赤いし!」

『待ちなさい』

 ずっと僕に無関心だった院長が僕たちの間に入った。そして地面にうずくまっていた僕を見た。


「さすがに今回の事は孤児院にとって都合が悪い。ルーセント、申し訳ないが15歳の成人でここを出る予定だったが今すぐここから出て行ってくれないか…?」

「え…?どういことですか?」

「すまない。しばらく生活できるように金は用意する。それで許してはくれないだろうか…」

「そんな!院長先生!僕は呪われてなんかいないんです!みんなと何も変わらないんです!」

職員の男性は僕を孤児院の外まで引きずるとあの本を床に投げつけていった。

「もうここには来ないでくれ。呪われた子供を保護しているなんて聞こえが悪すぎる。消えてくれ。」

「…う、そんな、、、ひどいよ、、ぼくが、ぼくがなにをしたんだ……」

 僕は涙が止まらなかった。

希望に満ち溢れた鑑定式がこんな結果を巻き起こすなんて…


 どうして僕だけ…

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