(4)小さな変化とメロンパン
待て待てまだ朝7時だぞ
店開いてるのか
慌てて宮本を追いかける。
「あったよ♪」
宮本は嬉しそうに、メロンパンを手に取る
「物流に感謝だな」
「あ!仁たんも感謝出来るのか!」
したり顔で、見つめる宮本
「当たり前だろ」
俺は思わずつっこむ
「その笑顔だよ!楽しいとかまっすぐ思いをぶつけてくれるの嬉しい」
嬉しい…会ってそんなに経ってないのに、宮本は感情を言葉にして伝えてくれる。
俺には到底出来ない。
「…」
「そんな、仁たんにメロンパンあげる」
俺は、小さく礼を言って受け取る
「ジュースも買うけど、何飲む?」
「…要らない」
自分にある劣等感で落ち潰されそうになって、
気付いたらぶっきらぼうな答えになる。
「メロンパンでお口パッサパサになるよ」
「水でいい。」
「そういう時は、水がいい!でしょ?」
「…水…がいい」
少しずつでも変わりたい。変わり方もわかんないけど。
「よくできました! んじゃお兄さんが差し上げます」
「…?歳下にみえるけど」
お兄さんと胸を張る宮本は自分より小さいし、歳上には見えない。
怪訝そうに見る俺を覗き込むように見つめてくる。
「え?迷える子羊よ…お主はいくつだい?」
「27です」
俺の答えに宮本はニヤッとして
「俺30歳♪ 俺の勝ちぃ~ なんか言う事1つ聞いてもらう♪」
えらく横暴な勝敗に笑いが出てくる。
「そんなんで言う事聞いてたらキリがない」
「確かに♪ まあー何をお願いするかはおいおいで!
んじゃー四国に向けてしゅっぱーつ」
何か確信があるわけではないけど、小さい変化が自分の中に生まれている気がした。