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第79話 突然の別れ?

「ほ、ほら、帰り道に魔物とか出たら危ないし、ボク送っていくよ!」

「そ、そうです! それです! ワタクシもそう思います!」


 二人は、必死の形相でマルクに詰め寄る。


「で、でも、師匠にも会えましたし……ライムもいますし……僕は大丈夫だと思います。それに、そこまでしてもらったら悪いです……」

「ライムちゃんもそう思う」


 しかし、丁寧に断られてしまった。


「そ、そうだ! ボク、マルクの生まれた国に住もうかなぁって思ってたところなんだよね! ちょうど移住したい気分だったっていうかー? そんな感じ?」

「わ、ワタクシも、この国での布教活動はあらかた住んだので、そろそろ活動の場所を移そうかなと思いまして! 救うべき人々は、他にもたくさんいますから!」


 追い込まれ、苦しい言い訳に走る二人。


「それは……リタお姉ちゃんとクラリスさんの自由なので、特に止めたりしませんけど……」


 マルクは、なぜそうまでして付いて来ようとするのか不思議に思いながら言った。


「じゃあ決まりだね! ボク、移住する!」

「そういうのは……もっと良く考えてから決めるべきだと思いますよ……?」

「冒険者は考えるより行動するのが先だよ!」

「いくらなんでも無謀すぎます……」

「無謀なところがボクの長所だからね!」


 マルクの言葉に、リタはまるで耳を貸そうとしない。


 それもこれも、全ては理由をつけてマルクに同行するためだ。


「ワタクシも、聖女として新たな土地で頑張りますっ!」

「クラリスさんは……その……頑張ってください」

「なんだか雑に流された気がします……うぅっ!」


 特に自分の行動に関してマルクから言及されなかったクラリスは、かえって寂しくなり涙を流す。


「な、なんか……マルクくんの周りって……ユニーク? な人が多いね……ははは…………」

「ライムちゃんもそう思う」


 一連の流れを見せられたカサンドラは、苦笑いしながら呟いたのだった。



「そ、それじゃあねー! またメイド服が着たくなったら、いつでもくるんだよぉ!」

「それは遠慮しておきます……」


 紆余曲折を経て、とうとう<女神の秘薬>を受け取ったマルク達は、カサンドラと別れて山を下る。


 後は、マルクの姉が待つ国に帰るだけだ。


「次は師匠と合流して、カーミラさんとお別れした後、海沿いにある港町へ行きます。……リタお姉ちゃんとクラリスさんも、それでいいんですね?」


 後ろを振り返って二人に問いかけるマルク。


「異議なーし!」

「ええ、構いません! 早くお別れを済ませましょう!」


 リタとクラリスは、どこか楽しげな様子で言った。


 自分達と同様の危機がカーミラにも迫っていると思うと、愉快でたまらないのである。


 しばらく山道を下っていると、向かい側から歩いて来る人影があった。


 ――カーミラとルドガーだ。


「いやー、エルネストは最後まで暴れて大変だったよ☆」

「往生際の悪さだけはSランクね」


 どうやら二人は、衛兵に突き出したエルネストの話題で盛り上がっているらしい。


「師匠! カーミラさん!」


 マルク達は、向かい側からやって来た二人の側へ駆け寄る。


「あら、マルクちゃん。お薬はもらえたのかしら?」

「はい、ばっちりです!」


 カーミラの問いかけに、そう答えるマルク。


「なくさないよう、私が預かっておこうか☆?」

「師匠に渡す方が心配なので、自分で持ってます!」

「そ、そうかい……☆」


 マルクの何気ない一言が、ルドガーの心をえぐる。


「あなた、師匠のくせして人望ないわね」


 カーミラは、落ち込んでいるルドガーにとどめをさした。


「……ところで、カーミラさん」

「どうしたのマルクちゃん。急にそんな改って」

「今まで、ありがとうございました! カーミラさんには感謝してもしきれません!」

「あらあら……そんな風に感謝してもらえるようなことなんて、何もしていないわ!」


 実際、自分好みの少年の後をつけ回していただけなので、カーミラの言っていることは事実である。


「そんなことないです! 僕たちはこれから国に帰るので、カーミラさんとはお別れですけど、元気でいてくださいね!」

「……………………え? お別れ…………?」


 あまりに突然のことだったので、カーミラは固まった。脳が理解を拒んでいるのである。


「いやー、久々に旧友である君と話せて楽しかったよ。それじゃあ、達者で暮らせよ☆」

「ばいばい、カーミラ」


 マルクの言葉に同調し、さらに追撃をしかけるルドガーとライム。


「ええええええええええええええええええええええええっ!?」


 カーミラに、絶体絶命の危機が訪れた。


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