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第67話 勇者エルネストの憂鬱 その2

「いたぞ! エルネストだ! 引っ捕らえろ!」

「クソッ!」


 下水道から出たエルネストは、すぐに衛兵に見つかり、街中を追いかけ回されていた。


「しつこい奴らだ! 俺はゴルドムの悪事に直接かかわってない!」


 そう叫びながら街中を全力疾走し、路地裏へ逃げ込むエルネスト。


「詳しい話は牢屋にぶち込んでからゆっくり聞いてやるッ! 追え! そっちに逃げたぞ!」


 その後を、複数人の衛兵が追う。


「しつこい奴らだ……! これだから話の通じない無能は……っ!」


 エルネストはそう呟きながら、とっさに近くにあった木箱の中へ身を隠した。


 その後すぐに、衛兵達の足音が木箱の方へ近づいてくる。


「……おかしい……こっちへ逃げたはずなんだが……」

「まだ近くに居るはずだ。探すぞ!」

「あの変態ロリコン人身売買犯罪勇者め……必ず見つけ出して捕まえてやる……!」


 衛兵たちは、そのままどこかへ行ってしまった。


「……ふん、俺の存在に気付かず行ったか。――まったく、視野が狭いな。そんなことでは、これからの時代やっていけないぞ」


 エルネストは、ぶつぶつと不気味なことを呟きながら木箱の外へ出る。


 衛兵に再び見つかってしまう前に、この場を立ち去ろうとしたその時だった。


「――――待ちな」

「あ?」


 突然、背後から何者かに声をかけられ、エルネストは振り返る。


「貴様は…………!」


 彼の前に現れたのは、元パーティメンバーの男、シリルだった。


「よう、久しぶりだな。――できることなら二度とそのツラ拝みたくなかったぜ」


 ヘラヘラと笑いながら、ゆっくりと近づいてくるシリル。


「ありえない。貴様は……エイラ諸共ケルベロス()のエサになったはずだ!」

「リタ――あの生意気なメス犬が教会に寄付して助けてくれたらしいぜ。まあ……手を噛んだことくらいは許してやろうって気になったよ。蘇生されたときはクソみたいな気分だったけどな」

「余計な事しやがって……あの雌犬《ビ●チ》!」


 不愉快そうに顔をしかめるエルネスト。その時ふと、あることに気づく。


「……ビッチといえば、エイラはどうした? 今日は一緒じゃないのか?」

「あん? テメェどういう連想で俺の女のこと思い出してんだ?」

「質問に答えろ」


 シリルは、小さく舌打ちした後言った。


「……あいつは一度死んだことがトラウマで言葉を話せなくなっちまったよ。お陰で、呪文もまともに唱えられやしない。……だから置いて来た」


 ――それなら、奇襲の心配はないな。


 エルネストはそんなことを考えながら身構える。


「……愉快な女だ。無駄口が減って、少しは生産性が増したんじゃないか?」

「黙れッ! それもこれも全部テメェのせいだエルネストォッ!」


 シリルはそう叫びながら、槍を構えてエルネストと対峙した。


「……おっと、主人に牙を向くとは一体どういうつもりだシリル? 死んで脳みそが腐ったか?」


 そんなシリルを見て、エルネストはさらに挑発を重ねる。


「うるせぇ! 俺はてめぇのそういう態度が前から気に喰わなかったんだよッ!」

「なるほど……手遅れのようだ。可及的速やかに貴様を『教育』する必要があるな」


 そう言いながら、エルネストは剣を引き抜く。


 ――どうやら、戦闘は避けられなさそうだ。


「見捨てただけならまだしも、テメェが犯罪やらかしたせいで俺まで巻き添え食ってCランク落ちだ! 成り上がって美女に囲まれる俺の夢をぶち壊しやがって!」

「夢なんてものは所詮手の届かないまやかしだ。目標を見据えて初めて手が届く。――――《《目覚めて》》良かったじゃないか、シリル」


 激昂するシリルに対し、エルネストは小馬鹿にしたような態度をとる。


「エルネストぉああああああああぁぁぁぁぁッ!」

「かかって来い。セミナー(講習)の時間だ」

「テメェをとっ捕まえてSランクに返り咲いてやるうううぅぅぅぅッ!」


 因縁の対決。はたして、その勝負の行方やいかに。


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