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第36話 ボス戦

 マルクを引き入れることができず、おまけに煽られて、ゴルドムは激昂する。


「テメェらやっちまえ! ガキどもを始末しろ!」

「「「わ、わかりましたボス!」」」


 指示に従い、三人の手下たちが、それぞれ武器を構えた。


「…………っ!」


 勢いに任せて断ったが、純粋な戦闘能力だけで言えば、おそらくゴルドムが勇者パーティの中で一番高かっただろう。


 おまけに、向こうは四人でこちらは二人。ライムがどこまでやれるのかも、未だによくわかっておらず、かなり分が悪い。


 マルクのほおを冷や汗が伝った。


 ――もしかしたら、一度従うふりをして、不意打ちするべきだったかもしれません。


 ――だけど僕……嘘ついてもすぐばれちゃいますし……。


 マルクがそんなことを考えている間にも、手下たちはじりじりと距離を詰めてくる。


 その時だった。


「ライムちゃんにまかせて!」

「…………え?」


 なんとライムが先陣を切って手下の一人に攻撃をしかけたのだ。


「てや!」

「ぐお!? なんだこのガキ!?」


 ライムは、手下の男一人に飛びかかって、ぽかぽかとタコ殴りにする。


「ぐへへ、そんなの効かねえぜ……?」

「くらえ!」

「――へ?」


 そしてとどめに、ライムは右手を赤い液体のようなものに変化させ、男の顔を覆いつくした。


「ごふっ……!? ぐっ、があぁっ!?」


 突然窒息させられ、苦しそうにもがく男。


 しかしどうすることもできず、男は手足をばたばたとさせた後、気絶して動かなくなった。


「いっちょあがり」

「す、すごいですライム!」

「ライムちゃん、さいきょー!」


 マルクに褒められたライムは、得意げな顔をしながら手下その1を手放す。


「ひ、ひぃっ!」

「化け物だあああああああ!」


 一部始終を見ていた残りの手下達は、恐れおののき完全に戦意を喪失していた。


「おい、待ちやがれテメェらッ!」


 手下たちはたまらず、二人そろってその場から逃げ出す。


「ライムちゃん……ばけものなの……?」


 化け物呼ばわりされ、少しだけしょんぼりするライム。


「ふざけないでください! ライムは化け物なんかじゃありませんっ!」 


 怒ったマルクは、逃げた手下二人の背に向かって、魔法を放ち追撃した。


「ファイアーボールッ!」

「ぐおおおおおおおおおおおおおお!」

「やめてくれええええええええええ!」


 こうして、あっという間にゴルドムの手下三人は一掃されてしまったのである。


「おいおい、マジかよ……」


 あまりのあっけなさに、言葉を失うゴルドム。


「この役立たずどもが……!」

「はぁ……はぁ……これに懲りたら、大人しく――」

「黙れこのクソガキどもがあああああああああああああああッ! F**k you!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 ゴルドムは絶叫し、斧を持ったままマルクへ突撃してきた。


「わわっ!?」


 無造作に振り回された斧が、床や壁をえぐる。見た目通りの怪力だ。


「死ね!」

「リフレクトッ!」


 マルクは自分目掛けて振り下ろされた斧を、魔法ではじく。


「くそがああああああ!」

「いい加減諦めてくださいっ! もうあなたの計画は失敗したんです!」


 しかし、それでもなおゴルドムは攻撃を止めようとしない。


「ファイアボールッ!」

「効かねえよっ!」


 マルクの放った魔法は、ゴルドムが振り払った斧によってかき消された。


「そんなのって……ありですか……?!」


 力押しで攻撃を続けるゴルドムに、マルクはどんどんと後退させられ、追い込まれていく。


「マルクから離れてっ!」


 その隙をついて、ライムは背後からゴルドムに攻撃を仕掛けた。


「――あ?」

「ひっさつ! ライムちゃんキックっ!!!!」


 ライムは、後ろから思いっきりゴルドムの急所を蹴り上げる。


「うぐおぉっ!?」


 ぽろりと兜が零れ落ち、青ざめた顔でその場にうずくまるゴルドム。


「あわわわわ……」


 その様子を目の前で見てしまったマルクは、一緒に青ざめた。


「Jesus! Arrrrrrgggghhhhhhhh!!!!! Ahhhhhhhhhh!!!!!!!」


  ゴルドムは激痛のあまりのたうち回り、そして苦悶に満ちた表情のまま気絶した。


「びくとりー!!!!!!!」


 両手を突き上げて勝ち誇るライム。


 こうして、ひとまず危機は去ったのである。


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