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どうして鬼滅の刃は特定層の漫画家からウケが悪いのか?

作者: curuss

 どなたか忘れてしまいましたが――


「何もかもを登場人物が説明してしまう」


 との批評を。

 そうかなと意識してアニメを拝見していたら、なるほど説明台詞は多かったです。

 遊郭編の第五話など、ファン目線でも陳腐に思えたシーンも。


 吹き飛ばされる主人公

  ↓

 過呼吸かの如く苦しむ

  ↓

「ヒノカミ神楽を連発した反動がきた!!

 疲労の蓄積で筋肉が強張る」


 ちなみに、そのシーンまでに『ヒノカミ神楽は連発できない』とか『かといって、どうやら水の呼吸も向いてないみたいだ』などと説明してます。

 なので教科書的には――


 吹き飛ばされる主人公

  ↓

 過呼吸かの如く苦しむ

  ↓

「連発した反動が!! 呼吸を! 早く!」


 な感じに台詞を削るでしょう。

 それが『オサレ』だったり『センスのある漫画』とされているからです。

(ちなみに私自身も、修正案が正解と思っています)


 もう本気で漫画制作に取り組んでいる人ほど、この「何もかもを登場人物が説明してしまう」を不格好と断じるはずです。

 ジャンルは違いますがラノベでも同じく、都合の良い説明台詞はカッコ悪いとされています。

 むしろ、それらを如何に避けるかが創作の肝ですら?

 厳しい漫画家さんなら『未だ評価にすら値しない』として、途中で読むのを止めてしまうでしょう。


 そもそも『鬼滅の刃』は第一話からにして失敗だらけで……なんとか軌道に乗れたのも禰豆子と再合流してから――二巻辺りからという。

 もし一巻で止めたら酷評も止む無しでしょうし、一巻分は読んだのだから妥当な評価とも。



 しかし、この創作作法ですが、最適解ではなかったのかも!


 説明を抑えれば抑えるほど、誤解される可能性も高まります。

 いかに行間へ隠しても、それを読み取って貰えなかったら伝わりません。

 定番な設定も、それは漫画好きという狭い世間の常識でしかなく、読者に無条件な理解を求めたら独善的かも。


 つまり――


・まだ漫画すら読みこなせない低年齢層

・漫画に親しくなく、定番の設定や展開すら初見で、説明の必要な層

・申し訳ないが、極端に理解力の低い層


 にも刺さらせるには、徹底的に説明する他ありません。

 そして対応層の広さは、商業的に大きなメリットへ転化されます。

 10万人にしか読めない作品のMAXヒットは10万部に過ぎず、100億人に読める作品のMAXヒットは100億部ですから!

 半面、デメリットとして――


 超カッコ悪い台詞回しに!


 また添削目線で読んでしまう同業者ほど『鬼滅の刃』を酷評しがちな理由とも?

 だって「何もかもを登場人物が説明してしまう」が多くてカッコ悪いですから!



 しかし、それでいて言葉のチョイスなどで――


 感動的なセリフが多いのも、この作者さんの事実!


 これだけダサい説明台詞だらけなのに、要所要所はガッチリ抑えています。

 ハッキリいって同世代の創作者になるのは遠慮したいほどの才能を感じます。

 人気の半分以上は、要所要所の名台詞でしょう。

 それも敢えて特定するのなら、各話の最後かと。



◎邪推


 元々、二重人格なのか、それとも戦闘シーンが嫌いなのかと疑うレベルでしたが――


 もしかしたら育成中に傷をつけられたのかも?


 ようするに――


「君のアクションシーン、誰が何やってるのとか、結果どうなったのかとか、分かりにくいんだよね」


 などと酷評()()繰り返された可能性を疑っちゃったりも。

(欠点の指摘だけでは成長できません。その対応策も考えていかないと)

 で――


「こうなったら登場人物に懇切丁寧な解説させちゃる!」


 とでも振りきっちゃって、吾峠メソッドが誕生した可能性も微レ存!?

 だって、それぐらい――


『〇〇にも悲しい過去が~』の時と、熱量の差があり過ぎてww


 勝手に「この作者がやりたいのは各キャラの掘り下げであり、戦闘シーンは添え物であろうな」と感じちゃうのは、おかしいのでしょうか?

(テンプレートなまでに女性作家傾向でしょうし、悪い意味で固定概念に影響され過ぎ?)


 これは悲しい過去パートが完全な一人称であり、現在軸は漫画的な一人称と三人称の混ぜ合わせなのが理由の可能性も。

 意外と漫画的な人称変化は、テクニカルで難しかったりします。

 一話の間にヒーロー、ヒロイン、三人称(神の視点)と変わるのすらザラだったりしますし。

(というかヒーロー視点なのに、モブの考えが吹き出しとか、もの凄い便利。漫画はズルい!)


 ちなみに小説で人称変化がタブーとされていたのは、読者が受け止めにくいからだったりもします。

 ザッピングに貪欲なサイバーパンク系ですら、章ごとに人称の主体を変えるので精一杯でしたし。

 まあ、あれはあれで日本の漫画に影響を受けたアンサーらしいのですが。



〇過去の類似例


 攻殻機動隊というか士郎正宗の作品群も――


 「何もかもを説明してしまう」


 の例だったり。

 まあ、あの世界背景を無理なく受け止めるには、サイバーパンク系小説を10冊前後読破しておく必要があります。

 なので欄外説明の嵐も致し方なし?


 でも、その甲斐あってか、攻殻機動隊は受け手の層が広いです!


 他に『設定資料集を予習しておかないと全く楽しめない作品』なども、逆説的に「何もかもを説明してしまう」に分類できる?

 問題点は原作にないことだけだけですし?



〇まとめ


・確かに「何もかもを登場人物が説明してしまう」はカッコ悪いが、一定のメリットも存在する


・しかし、専門家の視点を持っていると、それを許せなくなってしまう



〇課題


 スマートな「何もかもを説明してしまう」と同じ効果の技術を模索する



 以上を持ちまして、今回は〆させてもらいます。

 とっぴんぱらりのぷう!

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― 新着の感想 ―
[一言] いや、うーん。すみませんでした。 片方の主張が詳しく、もう片方がダサいという感覚的な物でまとめられていたのでイラッとして書いてしまいました。もし不愉快に思われたのなら申し訳ございません。です…
[良い点] 何もかもセリフで説明する。 なるほど! そんな効果があったんですね! ストンと納得しました! 参考にしたいです! [一言] 『二巻辺りからという。』 これまた納得してしまいました! ジャン…
[一言] ムカついたから、鬼滅の凄い所を書いてやる。 そもそも説明が多いのは、物語の主人公である炭治郎が一般人から始まるからだ。学習とは反復による成果だ。全てが発展途上である炭治郎にとって、何が起こ…
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