論語とセミナー
こんにちは、加藤良介です。
めんどくさい、新人研修や自己啓発系セミナーで、取り上げられがちなネタを仕込んでみました。
苦痛な時間を少しでも和らげるためのエッセイ。はっじまるよー♪
皆様。自己啓発系の研修やセミナーに行ったことがあるでしょうか。
色々な種類がありますが、一番多いのがビジネス系のセミナーではないでしょうか。
私も会社の命令で、何度か足を運んだことがあります。
(/・ω・)/
丸一日、長いのは泊まり込みで、講師の有難いお説教と、自己変革のカリキュラムをやらされます。
初めの頃は嫌で嫌でたまらず、同僚がの一人が「一万円くれたら代りに行ってやると言われたら、今すぐ払う」という台詞に、笑いながら共感したものです。
しかし、ある時期からこの手の研修やセミナーを面白がれるようになりました。
今なら一万円で私が請け負いましょう。(- ω -)/
別にセミナーが楽しくなったわけではありません。この手の自己啓発系は今でも嫌いです。
では、何に面白さを感じるようになったかと言うと、それはズバリ。人間観察。
これが面白い。( ̄▽ ̄)//
研修をしてくれる先生と、授業を受ける生徒、双方を観察していると、色々なものが見えてきます。
人間観察の場として自己啓発セミナー。ありだと思います。
先生は一つの話を相当練り込んで話しますし、生徒側は嫌々聞いている者から、無心で時がたつのを待っている者、そして、熱心に聞いている者。実に様々です。
ディスカッションの場などに、それが如術に現れて面白い。( ̄▽ ̄)//
嫌悪感と不快感を何とかオブラートに包もうと話す人や、当たり障りのない感想をペロペロっと話す人、熱心に持論を展開する人。(←私はここですけど) 様々です。
私が足を運んだセミナーは、どちらかと言うと民族主義的な性格の強いもので、中道左派と言う実体のないものを自称している私としては「はっ」みたいな題材が多い。
( > _ < )
例を上げると「日本人とはなんぞや」みたいな題材で、最後は日本スゲー、先人スゲー、お前らカンバレーで終わるのですが、それはそれで一つの意見ですし、そのプロセスは案外楽しめます。
自己啓発系のセミナーは洗脳セミナーみたいな話が出てきますが、それは、特殊な例外だと思います。少なくとも私が参加したセミナーは洗脳ではなく、感化に重点を置いていましたから。
いい年した人間は、そうそう洗脳されたりいたしません。
監禁したり、暴言、暴行などの過剰なストレス下では起こりえるでしょうが、流石にそこまで、イカレタ研修も少ないでしょう。
ああ、でも、昔行ったセミナーで電通の鬼十則を暗唱させられたな。
あれはヤバイ。(´゜д゜`)
例の事件以降は無くなりましたが。
案外、楽しく先生や同じ生徒の話を聞いている私ですが、時折、聞き流せないフレーズが飛び込んできます。Σ(・ω・ノ)ノ!
その一つが、明治の偉人にして大実業家、諭吉を一万円から蹴落とした男、渋沢栄一。彼が唱えた「論語と算盤」のお話なのです。
「論語と算盤」を簡単に解説すると、
「健全な経済成長は、金勘定と、社会に奉仕する道徳性の両輪を動かすことによって成し得る」と言う考え方です。
利得優先の経済活動では人間のエゴが暴走してしまうので、公共性、道徳性でエゴをコントロールしましょう。あらゆる仕事は利益だけではなく、社会への奉仕にも繋げなければならない。
これ自体に、私はなんの文句もありません。(=゜ω゜)ノ
流石、渋沢栄一。言う事に重みがありますなぁ。って感じなのですが、これを話す先生の物言いに引っかかりを覚えてしまうのです。
それは何か。
答えは簡単。
この話をする先生のほとんどが、恐らく「論語」を読んでいない。
これに尽きます。(。-`ω-)
お前は熟読したのかと問われれば、答えは「否」なのですが、それでも、要約本ぐらいは読んだことがありますし、儒教の創始者である孔子についての知識も一応持っています。
ですので儒学を少しはかじった。いや。舐めたぐらいはしております。
その程度の知識の私から見ても、講師の先生が儒学、論語について無知だと分かってしまうのです。
因みに、孔子は何ぞやと申しますと、大昔の中国の元祖自己啓発セミナー講師、とお考えになって差し支えないかと思います。
現在の自己啓発系セミナーの講師は彼の遠い弟子みたいなものです。
何と申しますか。そもそも論語と商売は水と油なのですよ。
孔子は商売に重きを置かず、土地による収益を重視する農業至上主義者です。
更に投資や産業開発より、節約によって財政再建しようとする緊縮財政論者です。
弟子に天才的商売人がいたのに、商売に対しては終始冷淡でした。
そんな男の言行録である論語は、本来資本主義とは相いれない存在なのです。
これを始めに話した渋沢栄一は、昔の知識人ですから当然「論語」は熟読済み。
その上で「論語と算盤」と言っているのに対して、現在の講師の皆さんは、論理の根底に広がっている「論語」の知識が少ない。
知識が低いので、本来、矛盾する資本主義と儒教的価値観との差異を説明できないのです。
説明できないは不正確ですね。
もっと、酷くて矛盾があること自体を理解していません。
理解しないまま話を進めるので、私は、何度も、
「何言ってんだ。こいつ。(。´・ω・)?」みたいな顔をしてしまいます。
申し訳ございません。
しかしですな。「論語と算盤」と言うのであれば「論語」の知識は必要最低限じゃろが。
「商売は卑しい」扱いしていた男の論理と、資本主義の融合は相当難しいお話ですよ。
もしかしたら矛盾点は理解しているが、話が長くなるので割愛しているのかもしれませんが、そこを割愛すると論理が破綻いたします。
大体、論語を一、二時間で語ろうというのが無茶なのですよ。
私なら前振りの時代説明だけで一時間はかかります。そこから孔子の生涯、論語解説。算盤にたどり着くころには、日は暮れ声が枯れているでしょう。(;・∀・)//
それなのに講師の一人が、そこ辺りをすっ飛ばして「商い」という文字には、ある種の神聖性があるとか言い出しましたし。
正に、何言ってんだって感じでしたよ。Σ(・ω・ノ)ノ!
我慢できずに、「商い」という文字にはモノを動かすという意味はありますが、神聖性は希薄ですと、しゃしゃり出てしまいました。
先生の話の腰を折ってごめんなさい。でも、あのまま放っておいたら、宗教の話に流れそうで怖かったんだもん。
やだよ。資本主義と宗教の融合なんて。
絶対に手に負えないよ。(;゜Д゜)//
セミナーで「論語と算盤」のお話をするのは結構ですが、渋沢栄一と論語、儒学、朱子学、陽明学、その他の諸子百家の最低限の知識だけは持って、お話頂きたいものです。
それらを踏まえて「論語」の資本主義的再解釈だったら喜んで聞くのに。それが無い。
本来の「論語と算盤」はそのクラスのお話だと思うのですよ。
不完全な「論語と算盤」の話をされると、私は尻の座りが悪くて仕方がないのです。
講師の皆さん、お願いいたします。m(_ _)m
さてさて、「論語と算盤」問題について述べてまいりましたが、これと同じぐらい困るセミナーアルアルが、織田信長スゲー論です。
ある講師は信長とナポレオンを比べて、信長がいかに素晴らしいか、滔々と述べてくれました。
別に信長とナポレオンを比べて、信長スゲーと言う結論に文句がある訳ではありません。それも物の見え方一つでしょう。
しかしですな。ノッブとナポを比べるのであれば、ナポの知識も持ってないと駄目でしょう。話を聞いている限りナポの知識がほとんど無い。
なぜ、それで比べようとした。(;゜Д゜)
ノッブが戦争に強いって、そりゃその通りだけど、ナポはそのはるか上を行くでしょうが、アウステリッツの戦いを知らんのかい。神がかり的用兵術でしょうが。ノッブには無理ですよ。
その他も、当時から現在に続く社会に与えた影響力は、人類史に燦然と輝いております。ノッブはどう過大評価しても、東アジア限定のような気がします。
いいでしょう。百歩譲ってナポが大したことないとしても、肝心のノッブの知識が江戸時代の講談や戦後すぐの研究結果がベースなのは不味いでしょうが。
定説はとっくの昔に変わっていますよ。
漫画のキャラを例に出しているようなものなのですが、理解されていませんよね。
長篠の戦の火縄銃の三弾撃ちはフィクションですよ。一次資料どころか二次資料にも出てこないんですから。登場するのは江戸時代の軍記物からです。信憑性はほぼゼロです。それを革新的と熱弁されましても。
話が長くなるので割愛いたしますが、楽市楽座の研究も通説からは大きくかけ離れているのが、今のトレンドです。
ドラゴンボールの悟空スゲーって言われているのと同じなんですが。
空気を読んで黙って聞いていますが、ハーマイオニーみたいに右手をピンと上げたくて、たまりません。
でしゃばりは感心しないな。グリフィンドール10点減点。( ̄д ̄)
後は、大戦中の特攻隊の話とかも困りますよね。軍オタの血が騒ぐ。
違いますよ先生。(;゜Д゜)//って言いたい。
私は左翼系のセミナーに行ったことが無いのでわかりませんが、あちらではどんな話をするのでしょうか?
日本サイテーみたいな話なのかな(。´・ω・)?
参加したくはありませんが、話の内容は興味がありますね。
結論。
セミナーや研修で安易に歴史上の人物を例に出すのは、お止めになられた方がよいと考えます。
私みたいなめんどくさい歴オタが絡んでくるかもしれません。そうなると研修自体がおじゃんになるかもしれません。
それらも含めて、自己啓発セミナーには面白い面があります。
行かれる方は、ここ辺りに注目すると案外、楽しい時間になるかもしれません。
こちらを感化しようと、あの手この手を繰り出す講師側と、洗脳されてたまるかという生徒側のせめぎ合い。
それが、自己啓発系セミナー。
喜んで行かれる方も少なくありませんしね。(*^▽^*)//
終わり
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
コロナのご時世、数は減っているでしょうが、会社から行けと言われるこの手の研修程、うっとうしいイベントもないとは思います。
しかし、どうせ参加するなら楽しもうよという趣旨のエッセイです。
くだらない話の中にも、きらりと光るものがあるかもしれません。
砂金は泥の中に埋もれている物ですしね。(´▽`)//
ご意見、ご感想、お待ちしております。
基本的に返信しておりますので、お気軽にどうぞ。