表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ママがかぜをひいたひ

作者: 織花かおり

小さなお子さんがいらっしゃる家庭では、こんな日常があるのかもしれませんね。


ママがかぜをひいた。

こほんとこほんと、せきがきこえる。


かいしゃからかえってきたパパはわらっていった。

「へぇ、めずらしい。おにのかくらんだな」


「おに?ママが?うふふふふ。おにのかくらんってなあに?」

いもうとのめいこがパパのふとももにだきつきながらきく。

「おにみたいにじょうぶなひとがびょうきになることだよ」


もう!パパもめいこも、のんきなんだから!

ママは、おねつがあるんだよ!

おねつがあると、すごくくるしいんだから!


ママは、おとといあたりから、しずかで、げんきがなかった。

わたしは、しんぱいでしんぱいでしんぱいで。

だって、いつもママはおおごえでわらって、ふんふんふんっておうたをうたってげんきだったから。


だから、トイレにおきたときにそっとみたの。

きのうもよるおそくまで、たいそうぎにゼッケンをつけていた。

そのまえの日は、せんたくものをたたんでいた。


パパとめいこにはまかせておけない!

ママをたすけなきゃ!

わたしは、ふとんにねているママのそばにいった。

おかおがあかい。

「マ…マ」

ママがめをすこしあけて、わらった。

「ようちゃん。ママ、だいじょうぶだから、ごはんたべておいで」


「ママ、わたしおてつだいしたい。ママのそばにいたい」

「だめ。かぜがうつったらたいへんでしょう」

「マスクする。てあらい、うがいもする」


ママは、すこしかんがえてわたしのほうをみた。

「じゃ、あまえちゃう。おみず、ちょうだい」

「はい!」


わたしは、いそいでれいぞうこをあけた。

すると、おみずとオレンジジュースがはいっていた。

『おみずより、オレンジジュースのほうがおいしいよね』


わたしは、コップにオレンジジュースをそそいだ。

ちょっとこぼしちゃった。

でも、はやくもっていかなきゃ。

ママがまっている。


ママは、オレンジジュースをみておどろいた。

けれど、すぐににこっとわらって、のんでくれた。


そして、わたしはママがいつもしてくれるように、やさしくおでこをなでた。

ママ、はやくげんきになって。

もっともっとなにかしたい。


「ママ、さむくない?」

「だいじょうだよ」

こほん。


わたしは、じぶんのふとんのもうふをひっぱりだした。

おもいから、ずるずるとろうかをひきずっている。


するとおふろからでてきたパパが、もうふをひょいともちあげた。

「ようこ。ほこりがたつだろう。それに、ママはちゃんとあったかくしているからだいじょうぶだ」


わたしのもうふは、いらなくなった。


「オレンジジュースをもっていったのは、ようこか?おくすりをのむときは、おみずだぞ」

「おねえちゃん、まちがえちゃったの?」

パパといっしょにおふろにはいっていためいこが、わたしをのぞきこむ。


「あっ、それから、ジュースこぼしたら、ちゃんとふきんでふいておかないとだめだぞ。気をつけような」


ぽろっ。

なみだがこぼれた。

いちどながれると、とまらなくなって、わたしはうわんうわんないた。


ママがよろよろとへやから出てきた。

「ようちゃん。ありがとう。ママ、うれしかったよ」

ママは、わたしをぎゅっとした。

「ママ、ママ~!」

「ありがとう。うれしかったよ」


そうしたら、パパがママとわたしをいちどにぎゅっとした。

「ようこ。ごめんな。パパがわるかった。せっかくてつだってくれたのに」

パパのてがあったかい。

「めいこも~」

めいこが、わたしのそばにむりやりわりこんできた。


「ふふ。くすぐったいよ、もう」

わたしは、わらってしまった。

「ママ、はやくかぜなおしてね」

「うん」

「よし!いまからパパがママのためにとくべつしょうがゆをつくるぞ」

「わたしもてつだう」

「OK!めいこもてつだってな」

「うん!」


ママが、かぜをひいたひ。

わたしは、ふらふらして、オレンジジュースもおくすりをのむから、あまりのめなくて、おいしくないしょうがゆをのんだママがかわいそうっておもったけれど、ママはずっとわらってた。

わたしは、ママがわらってくれたから、すごくほっとした。

ねえ、ママ、あしたはいっしょにねられる?


おわり



最後までよんでくださり、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
織花かおりの作品
新着更新順
総合ポイントが高い順
作成:コロン様
― 新着の感想 ―
[良い点] 娘さんの優しさに感動です♪
2020/11/14 19:48 退会済み
管理
[良い点] 企画からです。 頑張り屋さんでしっかりもののお姉ちゃんですね! ほっこりします。
[一言] 母が風邪を引いたときに何をしていただろうと思い返しました。 特に思い出せないのが悲しいです。 こういう無邪気な気持ちを忘れて久しいですね。思い出したいものです。
2020/11/09 19:11 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ