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レイ戦記  作者: 倉羽瑛太
8/14

レイの場合

エリザは、自分の危惧が正しかったことを悟った。目の前にいる炎の男は、僅か二年でニルヴァでも上位の能力者である自分と正面から渡り合えるだけの力をつけていた。このままでは、万に1つでも、グレイヴに手が届かない、とも限らないかもしれない。その程度の、ほんの些細な可能性であるが、見逃すわけにはいかない。ここで確実に討つ!

 「ダイヤモンド・ワイバーン!奴を噛み砕け!」

しかし、氷の翼竜はすぐに炎の竜に食われ、消滅した。そのまま炎龍は襲い掛かるが、これを難なくエタニティで切り裂く。が。

「囮か!」

レイが目前にまでいつの間にか迫っていた。接近されれば手数で向こうに分がある。

「メテオショットガン!!」

「ぐっ!エタニティが!」

しかしエリザは、エタニティを折られただけで、それ以上のダメージは受けなかった。事前に、敵が所定の位置に到達すると発動するように仕込まれたダイヤモンド・ダストが発動し、巨大な氷塊がレイを襲ったためである。エリザはそこから針を出現させて追撃を図ったが、これはレイの炎柱に阻まれて失敗した。更にレイは炎の中から炎銃を放ち、勝負を決めに来た。エリザは自身も光線を放って打ち消したが、怒りに震えていた。

「!!クイーンズアローを真似たな、こいつ!許さん!!」

エリザは光線を乱射した。レイのそれと同じように、防御不能の光線なので、躱すか打ち消すしかない。だが、回避にしても、全身運動と指先の僅かな調整の差がある。すぐに追い込まれ、炎銃で打ち消すしかなかった。それも当然、エリザの計算内である。

「クイーンズアローは超高等技能だ!それを勝手に見様見真似で、しかも改変するなど!!許されぬ暴挙!!」

なおも光線で追い詰めるエリザ。

「ギリギリのバランスで成立させた能力をお前は乱した・・・私のものを上回る威力の代償として、連射はできまい、せいぜい10発が限度・・・それに対して私はいくらでも放てるのだよ、力尽きるまでな!」

 ついにレイが10発目の炎銃を放ち、エリザのクイーンズアローを打ち消した。だが、レイは、炎銃を使い切ったが、悲観してはいなかった。

(まだ4段超越は余裕を残している・・・それに・・・)

炎龍を二体作り、エリザを襲わせる。だが、あっさり光線に貫かれ、消えた。エリザが嘲笑う。

「どうした?弾切れか?ならば、死ね!!」

エリザの光線をギリギリで回避する。

「いつまでも、避け切れないだろう?・・・なに!」

レイは、しかし、無策で炎銃を見せてエリザを怒らせ、クイーンズアローの猛攻を呼び寄せたのではなかった。

(あいつの光線だって、消耗は大きいはず・・・確実に俺の一撃で仕留めるためには、へばらせないといけないんでね・・・それに)

レイは巧みな動きでいつの間にか、エリザの間の出口に立っていた。

「じゃあな、また来るぜ!」

「私の劣化コピーの弾込めをするつもりだろうが、させない!」

エリザは最初の罠のダイヤモンド・ダストで呼び出した氷塊を変形させて出口をすぐに塞いだ。さらに、

「クイーンズアロー!」

光線をついにレイに直撃させた。レイの撃ち抜かれた右足はそのまま凍り、動けなくなってしまった。

「やっと終わるな・・・まったく、部下全員と、要塞をこんなにも滅茶苦茶にしてくれた、恨み、この一撃で晴らさせてもらう!さらばだ!クイーンズアロー!」

だが、エリザはレイが4段超越から3段覚醒に変化していることを見逃していた。

「炎銃!!」

「何!?・・・ぐふっ」

レイの両手から放たれた炎銃が、エリザのクイーンズアローを打ち消し、もう1つがエリザの腹を撃ち抜いていた。勝負は決した。

「ぐっ・・・貴様・・・撃ち尽くしたと思っていたが・・・」

「先込め分は撃ち尽くしたさ。だから、再チャージしなきゃいけなかったが、まさか四段超越が解除しちまうとは思わなかった、ギリギリだったよ・・・」

レイは説明を切り上げた。本当は、四段超越解除の上に、エリザに撃たれて動けなくなったために、ようやくチャージができたのだが、それは言わなかった。これ以上挑発して、自爆でもされれば、今のレイでは逃げられないからだ。

「じゃあな、氷の女王」

エリザは、自身に迫る巨大な炎砲をじっと見つめて、そして飲み込まれて消滅した。

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