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レイ戦記  作者: 倉羽瑛太
7/14

2〜ライの場合

2

出撃するレイを見送り、援護という形で脱出させる兵士の整理を終えたライは、自室で座り、敵の襲来を待っていた。どれくらい待っただろうか、ついにその時が来た。巨人の拳の一撃で基地は半壊し、ライの部屋が露出した。それを見たライは、静かに微笑み、三段覚醒した。全身から雷が迸り、確かに力が満ちるのを感じたライは、自然と敵に向かっていった。氷の巨人はライに対して、女王より授かった氷剣で斬りかかったがライは難なく回避。そして、倉庫から引っ張り出してきた拡張装備の1つ、エナジーミサイルを全弾放ち、直撃させた。さらに、ミサイル装備をパージすると同時に、バズーカ砲を何発も撃ち込んだ。これはライのエナジーを先込めして放つものである。弾切れになるまで撃ち込んだ後、ライは更なる追撃を加えようとしたが、もう一体の巨人の攻撃によって阻まれた。

「ちっ・・・確実に1体ずつ仕留めようとしたが、そううまくも行かないか・・・だが!

ライは冷静に反撃に転じ、蹴りを加え、巨人の頭部を吹き飛ばした。

「仕組みからして、再生するだろうが、足止めにはなるな!」

再び距離を置き、もう一丁のバズーカ砲で先ほど攻撃していた巨人に更なる攻撃を加えた。そして、弾を撃ち尽くすと同時に、巨人は跡形もなく砕かれた。しかし。

「これで1体・・・なんだと?」

巨人の破片が、もう1体の巨人に集まり始めていた。

「合体するのか・・・!さすがに楽には行かないとは思ったが、これは思ったよりハードだな・・・拡張兵装の残りは、回復装備しかないが、退くわけにはいかない・・おわっと!」

合体を終えた巨人が、氷弾、もはや塊である、を飛ばしてきた。回避するが、巨人が、巨体に似つかわしくない速さで迫り、剣で斬りつけた。ライはそれを雷丸で防いだが、そのまま吹き飛ばされてしまった。今度は巨人が先ほどの仕返しとばかりに、続けざまに氷を撃ち込んできた。しかし、ライは雷の壁でそれを防いでいた。

「まったく!」

ライは再び巨人に立ち向かった。

「雷砲!」

手から雷を何発も撃ちだしたが、巨人の外皮を削るだけで、あまり効いているいるようには見えなかった。

「おおおおお!!」

それでも全身に撃ちこみを続けるライに。巨人が堪り兼ねたのか、接近し、剣で斬りつけてきた。

「雷丸!最大稼働!!」

雷丸から閃光が迸り、巨人の剣を砕いた。その瞬間にライの気が僅かに緩んだのを巨人は見逃さなかった。

「がはっ・・・」

巨人の拳はライにクリーンヒットしていた。吹き飛んだライに、さらに追撃のために放たれた氷弾は、今度は確実に有効打となった。

「ぐっ・・・回復装備がなければ死んでいたな。がはっ・・・あっても、このザマだが・・・」

ライは立ち上がったが、それがやっとであった。

「もう殴られるわけにはいかないが・・・来る!」

巨人の接近に備えたライであったが、敵も考えている。ダメージで動きの鈍くなったライに、確実にとどめを刺すべく、周囲を高速で飛び回るに留め、なかなか攻撃をしない。

「ぐっ・・・だめだ、追いきれない、この身体では・・・しまった!」

巨人がついに攻撃に転じたが、それはライの予想した動きではなかった。基地の資材を投げつけてきたのである。破壊のために、ライはカウンター用に貯めた雷撃エナジーを放出せざるを得なかった。

「砕いたが・・・完全に見失った・・・!!!ぐわああ!」

ついに、巨人の一撃がライに直撃した。ライはギリギリで反応したが、弱い雷砲を撃つことしかできなかった。巨人は、致命傷を負ったはずのライに確実なとどめを刺すため、吹き飛ばした方向へ向かおうとした。その時であった、巨人が自身の違和感を認識したのは。ライを殴り飛ばしたはずの拳が、腕ごと脱落していたのである。巨人には目も口も無いし、当然痛覚も無い。もしあれば、痛みと怒りで方向をあげていただろう。そのような怒りの滾ったエナジーを放出しながら、今やさしたるダメージを受けた様子もなく、笑みを浮かべて腕を組んで立っているライの方に向かっていった。まだ左腕があるのだ、焦らず撃ちこめば良い!だが、ライは、

「俺が闇雲に射撃していたと、本当にそう思っていたのか?」

と呟き、またしても雷砲を放ち、左腕も落とした。バランスを崩して倒れた巨人を見やり、

「お前の体は歪にデカいからな、どこかに無理が生じるんだよ・・・スクリーニングに手間があれだけかかったわけだが、わかってしまえば、自然、解体ショーになる・・・お前がやるべきは、拙い追撃ではなく再生とダルマ型にでも変形することだったな・・・焦ったんだよ、お前は。」

雷丸で頭部をまず切り落とした。

「これで、再生以外の行動はできないな・・・動きを完全に止めさせてもらったよ。何せ、初披露の最大の大技なんでね?」

ライは両手を合わせ、ゆっくりと離した。手と手の間には、激しい雷が迸っている。

「再生もできないほどに細分してやるよ・・・スパーク・ブレイク!!!」

両手をつなぐ雷を断ち切り、顕わになった激しい両手の雷を巨人に叩きつけた。巨人の体に直撃したスパークは更に一層激しくなり、巨人の体を砕いていった・・・

「そんな姿になってまで、お勤め、ご苦労様・・・」

半分は自分に向けた言葉だった。

「さすがに、疲れたな・・・メダル発動状態すら維持できないのは、マズいな・・・身を隠す、いや、レイが残り全部倒すか・・・レイは、うまくやれているだろうか・・・」

結局、その場でライも気絶するように倒れてしまった。

 レイは、要塞に到着する寸前で四段超越した。そして、上空から突入する寸前に炎龍を放ち、巨人を消滅させていた。当然、これはエリザの機嫌を損ねた。

「お前は、私の部下を何人足蹴にすれば気が済むのだ?」

「お互い様だよ、いや、市民すら巻き込むお前たちの方がもっと悪いんだからな?」

「なんだと!!」

「まあ、贖罪の時が来たのさ、潔く受け入れな・・・炎銃!」

ほぼ不意を突いたレイのレーザー攻撃は、しかし、エリザの頬を掠めるだけに終わった。

「さすがに氷の女王だな、限界を超える反応速度だ。」

「貴様・・・私のレーザーまでも・・・許さん!!」

レイの炎龍とエリザの氷嵐が激突した。それは、まさしく決戦のゴングの音であった。

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