決戦のとき迫る
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その日、レイは基地の騒ぎで起こされた。
「なんだなんだ?訓練の騒がしさじゃないな?おい、何が起きてる?」
部屋から出た際に、偶然通りかかった兵士にレイは尋ねた。だが、兵士は青ざめた顔で、どうにも落ち着かない様子で、
「も、もうおしまいですわたしもわたしもあなたももも」
と、きちんと発言できない有様であった。仕方がないので、司令部に向かうレイであった。
「まったく・・・ライ、どうなっているんだ?」
ライはしかし、すぐには答えず、センサーモニターを眺めていた。やがて、ゆっくりと振り返り、こう答えた。
「今までにない巨大な反応がこちらにまっすぐ、2つ来ている。恐らくばれているんだろう。いま、偵察員を向かわせてみた、間もなく連絡が届く。」
「来ました!・・・敵は、巨大な氷の巨人が二体!!偵察員はやられた模様!」
連絡員が悲鳴に近い叫び声をあげた。ライはしかし、冷静だった。
「この基地も、放棄の時だな・・・おそらく迎撃しても、兵士たちでは歯がたたないだろう。」
「おいおい、俺がいるだろ?逃げなくてもいいだろ?」
「いや、レイ。お前には別の任務がある。この攻撃は、おそらく敵の戦力のほとんどを費やしたものだろう。センサーに引っかかったエナジー量から推定するに、複数人で巨人を操っている。だから、それに敵が集中している今こそ、逆にエリザを叩くチャンスだ。幸い、奴の居場所はわかっているからな、射出装置で直接、乗り込んで叩いてもらいたい。」
「けどよ、こっちに来ているのはどうするんだ?逃げきれないぞ・・・まさか!」
ライは、しかし、自信があるようだった。
「大丈夫だ。俺にも、三段覚醒がある。お前とは違って、悪いが拡張兵装もあるんでな?」
レイは、完全に了承して、射出装置に向かった。
「あっちで待ってるからな、レイ、出撃します!」
レイの射出を見届けたライは、指示をつづけた。
「残った兵はBルート経由による迂回路で要塞に向かえ!これは攻略戦だ!」
「しかし、隊長はどうなさるのですか!残ります!」
「いや、お前たちではあの氷の巨人はどうしようもないだろう、俺が好きに暴れるためだと思って、な?」
「・・・了解しました。では、基地の自爆準備完了次第、我々も出撃します。」
「頼んだぞ?」
ライは装備を整えるべく、自室に戻った。地力ではどうしようもないだろう。しかし、俺には、サポートの兵装がある。勝算はある。ライは静かに、その時を待った。