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レイ戦記  作者: 倉羽瑛太
12/14

大陸にて2

レイに向かって、氷脚が叩きつけられる刹那に、彼は考えていた。

(炎砲で迎撃するだけなら容易だが、それでは反撃の隙が作れない。直撃した、少なくと

もそのように見せて、溶かすか?いや、手応えのなさで警戒される。だから、可能性に賭

ける!多分、今なら正しくやれるはずだ)

そのまま脚が叩きつけられる。

(五段進化!!!)

一方、追撃者たちは氷脚の直撃を確認していた。

「直撃を与えた。」

「確かな手応え、無事ではないな。」

「さて、後は一人だ、今の調子で、俺の援護」

氷の追撃者はそこで絶命した。氷脚の中から、レーザーで撃ち抜かれたのだ、そう、炎銃

である。

「思った通りだ、この五段進化の青い炎、敵の攻撃力を焼く!」

「こいつ、向かってくる!!」

「だが、速度はさっきより遅い、落ち着いて、雷撃!!」

確かにレイの速度は二段解放未満にまで落ちており、到底残り2人に対応できそうにはな

かった。しかし、その炎は攻撃を全て無力化している。

「五段進化で、新たなステージに入ったんだよ、俺は!」

「くそ、だがその速度で我々には!」

「だから、五段進化二段解放!!

かつての二段解放のように、激しい青い炎がレイを包んだ。

「また、負荷に慣れ直さないといけないのか・・・さしずめ、二週目ってとこだな。だか

ら、二段解放でも、前より速い!」

「いきなり加速して、翻弄される・・・ぐわああ!」

「まずは雷のお前から・・・次!」

しばらくの空中戦の後、あっさり1人を撃破したレイは、そのままの勢いで最後の1人に

迫る。

「水壁!!!火だと?消してやる!」

「試すか、三段覚醒、炎砲!!!」

レイの青い炎砲は水壁をいとも簡単に撃ち抜き、そのまま使用者も破壊した。

「くっ・・・三段覚醒はやりすぎたかな・・・ムサシか、お前もバテバテじゃないか?」

「よお、レイ・・・今のすごかったな、俺はしばらく満足に動けない、しばらく頼むぜ?

「おいおい、俺も結構疲れてるのに・・・さて、この後どうしようか。当てがないのが厳

しいな。」

「いや、ある。」

「本当か?」

「師匠の元居た国だ。カントルという、これまた大国だ。潜り込む隙があるだろう。」

「本当に、周到だな、感謝してもしきれない。」

そこまで言って、レイも座り込んだ。更なる追手は心配だが、今は体力が限界だ。

「こっちこそ、君の力がなければうまくいかなかったさ。さて、暫く休んで、向かおうぜ

・・・」

 少し休むと言うときは、大抵長く休む。2人は結局、そのまま夜を明かしてから、出発

した。

「追手はなかったな、過小評価されてるな、俺達。」

「その方がいいだろう、そろそろ未帰還に疑問を抱くだろうし、師匠の国に行こう。多分

、君のノエル先生もカントルの人間だろう。あの国が、イーサンを支援していたようだか


ら。あの国に行くのは、縁故だけってわけじゃないのさ。」

「もしかして、ニルヴァの敵対国?」

「正確には、グレイヴの敵対国だ。あいつを打倒するのが国家プロジェクトらしい。そう

考えると、奴の化け物っぷりもよくわかるな。・・・まあ、ここまでしか俺は知らない、

受け売りさ。」

「なら、再びアピール作戦だな、カントル国郡に入って、それでチャンスを窺おう。」

「そういうこと。じゃあ、行きますかね?」

2人は、ノルガノ領土の辺境を通りながら、遠回りしてカントル国に入った。この遠回り

は有益で、道中、野生生物(これが強力な熊など、極めて強い)や、ついに差し向けられ

た追手との戦闘など、レイにとって貴重な修行となり、到着するころには、四段覚醒に相

当する状態までマスターできた。そして。

「ここが、カントル国か。」

「師匠をまずは探すのでいいかな。」

「そうだな。いるかわからない先生より、確実にいる師匠だ。」

2人が出発しようとしたときである。身なりを整えた男が立ちふさがった。

「ほほほ。お待ちしておりました。私、カントル国軍長ヒカル様の執事であります、リヒ

トと申します。さて、生憎ではございますが、お二方には、軍本部へお越しいただきます

。」

だが、明らかにリヒトという男は臨戦態勢を取っていた。

「友好的な関係を築きたいわけではなさそうだな?」

「ほほほ。ヒカル様より、思い上がりの矯正も命令されましたのでね。」

「2人相手にその余裕は確かに思い上がりだな!大和!」

いきなりムサシが斬りかかったが、簡単に杖で止められた。

「ふむ。観察報告通り素晴らしい攻撃力。軍団長の世話役たるこの私には通用しませんが

。」

「お前、戦闘員ですらないのか・・・?なのにこの力、冗談だろ?」

「ほほほ。これが大陸のレベルというものでございます。」

「ふざけるな!!」

何度も斬りかかるがすべて受け止められる。それどころか、必ず数発は杖で追撃し、確実

にダメージを与えていた。

「ぐっがはっ・・・こいつ、遊んでやがる・・・」

「ほほほ。グレイヴは私の一億倍は強いですよ?少しは頭が冷えましたかな?む?」

炎銃がリヒトの背後から放たれたが、これも簡単に回避した。

「これはこれは、こちらの方はまだまだお熱うございますな。どれ・・・伸杖!」

杖は虚空を突いたかのように見えたが、レイは吹き飛ばされた。

「炎を最大展開していなければ今ので、死んでいた・・・だが、現実は無傷!炎龍の舞

!!」

「俺も忘れるなよ!!大和!!」

「「連携、龍刀!!!!」」

何体もの龍と絶妙に連携を取りながらムサシが斬るこの連携で、追手を振り切ってここま

で来たのだ。自信はあった。

「ほほほ。これはまさに、青春ですな。どれ。」

リヒトは伸杖で龍を消しながらムサシとやりあっていた。青い龍は直ぐに復活するのだが

、その都度消された。

「ふーむ。我流でこれほどとは、やはりヒカル様は流石ですな。ふむ。」

「なにごちゃごちゃ言ってやがる、大和!!」


「ああそうか、要件を申し上げるのを忘れていましたな。その前に・・・」

リヒトは速度を上げ、2人を移動で翻弄した。

「くそ、これじゃあ八紘一宇も当てられない・・・」

「炎銃も当たるはずがない・・・」

「ほほほ。給仕モードでございます。別に最初からこれでもよかったのですが。」

リヒトの杖が2人にそれぞれクリーンヒットした。ムサシはこれで気絶した。

「がはっ・・・」

「無効化しきれない・・・」

レイはそれでも立ち上がり、対抗しようとした。リヒトはそれをもう一度涼しい顔で杖で

打ち上げ、こう言った。

「あなたがたの素養、私も試したくてね。要件は、我が軍へのスカウトでございます。」

レイは墜落した時には既に気絶しており、結局要件は聞かずじまいとなった。

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