NO.7 あと三日の戦闘準備(後編)
前回のあらすじ
妖精に置いてかれた主人公カレン。「なんで置いてくの!?一緒に行こうよ妖精さん!」
作「結構長くなっちゃいましたが、これからもお願いします。それと、評価ありがとうございます」
「戦闘神殿、息子を助けてくれんかの?」
と、少年が言った。
「はい?」
妖精に誘われて暗い路地裏を歩いていくと広場のようなところに出た。
一面真っ黒だがな。
妖精に置いてけぼりにされ周りを見渡していると少年に声を掛けられた。
「わしの息子を助けてくれんかの?」
もう一度少年が言った。言い方は爺なんだけど?
息子って言ってるけど、お前の見た目少年だかんな?
「その......息子さんは誰ですか?」
まあどうでもいいか。
「ガロンじゃ」
「誰ですか、それ」
「貴殿が寝泊まりした王都の王様じゃ」
は、そいつかよ!
レフィールの父親ガロンか!
武器屋の主人みたいな名前すんな!
めっちゃ私の偏見だけど武器屋の主人にしかもう聞こえない。
「すべて筒抜けじゃよ」
え、まじかよ。
このショタやりよる。
「ショタとは何ぞや。まあ話を進めていいかの?」
はい、進めてください。ショタには触れないでください。
「貴殿は今日合わせて三日後に起こる戦争に巻き込まれたんじゃろ?あのバカ息子のバカ孫がやってきて頭を下げて懇願したんじゃろう。しかし貴殿は反応を示さず無視をするとバカ孫が逆ギレして結局戦争に加担したんだろう。そして、今は自分の助けた人間と装備を整えているんだろう。違わないだろう?」
なんだこのショタ、すべて分かってる。
というか、見た目はショタ、中身は爺。
なんか一部違うけど某アニメにしか見えなくなってきた。
「そうですよ、なんでわかるんですか?」
「フッフッフッ、ワシが分からん訳ないじゃろう!ワシはこれでもバカ息子の父親なんじゃぞ!」
バカ息子の父親はバカ親父だね。
「ム、貴殿に面白いものを売ろうと思ったんじゃがな。貴殿がいらぬというのならワシはこのまま消え去ろうかの。せっかくワシが貴殿の寝泊まりしている王国について教えてやろうと思っておったのに。悪い噂についてだがな?」
悪い噂と言った瞬間ピクンと反応してしまう。
人間悪い噂には敏感なんですよね、大好きなんですよね。
どんな噂だろうと思いにやーっと笑うと少年が言う。
「良いゲス顔じゃな。そのゲス顔に免じて教えてやろう!」
意外と話が長かったのでカット。
簡単に言うと、王様ガロンと王子レフィール毎年起こる戦争に勇者や古代兵器を使い、戦争に勝てばその者を褒めたたえた後に自分たちの"人形"にするのだ。"人形"というのは暴れないように、声を出さないように殺害した物だ。そして私とレイ、ルイスがその"人形"になりかけているという。
これを延々と1時間も話されたのだ、脱線しながら。
しかし、これをどう片づければいいのか。その前に戦争かな。
「まあ、これは噂じゃがな!信じても信じなくても良いがな!」
「はあ......。あ、忘れてたんですが面白いものって何ですか?」
「ム、気になるか!少し待っておれ」
そう言って闇に溶け込む少年。五分ほど経つと少年が両手いっぱいに物を抱えてきたのだ。
クロにしか見えない。
クロがなに~というように生えてきたが、首を横に振るとしょぼんとして元に戻る。
すまんな、今は出てこなくていい。
少年が物を床に置くと言った。
「勝手に持って行って良いぞ!ワシには使い方が分からない物が多いからの!」
では、お言葉に甘えて。
少年が持ってきた物を見ているとすべて日本にあるものだった。
日常道具もあれば、拳銃や折り畳みナイフなどがあったのだ。
どこで手に入れたのかは分からないがこれはうれしい。
こちらの世界の物であれば使い方が分からないのだ。
夢中になって探すと良いものを見つけた。
ちょうどいい、ケース付きだ。
それに、いつものマスクも見つけた。
「これらもらうね」
そう言ってカレンは80cmサイズの縦長ケースを背負いマスクを首にかけた。
「それだけでいいのかい?」
「うん、大丈夫です。しいて言えば、補充できないのが辛いかな」
「それを貸しなさい」
優しく言う少年に中身を取り出し渡すと、持ち手の部分に白い魔法陣が浮き出す。びっくりして奪い取ろうとしたが躱される。
「ほれ、これで補充しなくても大丈夫にしておいたぞ!貴殿は魔力がないからの、魔力がなくても"リセット"といえば良かろう!」
そう言って返ってきた。すこし、軽くなった気がする。
「ありがとうございます」
「お礼はまだいらん、あんのバカ息子を助けてから言わんか」
「っ分かりました!」
思わず敬礼しそうになってしまった。
「では、また会おうかの」
そう言って闇に入っていく少年。まだ名前を聞いてないと思い出すと、声が大きくなる。
「名前を......教えてください!」
「ワシの名前は"闇時の死人"じゃ。よく覚えておけ。ではまた会おう!」
そう言って少年アペプーラは闇に完全に溶け込んだ。
アペプーラがいなくなると周りが明るくなる。時間は結構進んでいた。朝出発したものが夕方になっていたのだ。
というか、暗い所から明かるいところに出るとものすごいチカチカする。
少し待つと今の明るさに慣れてくる。そして、走りだす、夕飯に間に合うように。
数時間前。
ルイスの戦闘準備
訓練場にて素振りをしていると店主がやってくる。
「おい、良いのは見つけたのか?」
体が大きいので声も大きい。ビクッと反応してしまうがすぶりしていた剣と盾を見比べて選んだ。
「あの、これでお願いします」
差し出したのは刃渡り50cm程の透き通るような水色の剣と、1m程の黒の盾だった。
「ほう?それを選ぶってのは良い目利き持ちじゃねえか」
「あ、ありがとうございます......」
なんかにらまれてる?
「んじゃ、会計の方だが......そうだな、白金貨四十枚の四億ペルーってのはどうだ?」
「え、た、高くないですか?!」
高すぎる。
あの剣が高いのはわかるがさすがにおかしすぎる。店主を見上げるとにやりと笑われた。
「まあ高いよな。んじゃあ、俺と戦え。俺と戦って勝てば防具もおまけして値段も本来の価格に戻してやる。どうだ、やるか?」
この店主はルイスが弱いとでも思っているのだろうか。まあ、ハンターギルド内では弱いほうではあったが。
「ああ、やるぞ!」
「武器はそれを使っていいぞ。その代わり俺のをさばくことはできるかな?」
そう言って店主が持ってきたのは刃渡り160cmを超す大きな両手剣であった。
簡単に持ち上げ振り回している。
「死ねぇぇぇえええええ!!!」
店主が両手剣を思いっきり振り下ろす。
「......ッ!?」
ギリギリで盾で受け流すが受け流した後も勢いは止まらず地面が抉れる。抉れた衝撃によって後方に吹き飛ばされる。
「まだまだぁああ!」
立ち上がる間もなく二撃目が来る。
今回は受け流すことができずに盾で受け止める。
火花が少し飛び散った。
受け止めているとミシミシと体から嫌な音が聞こえてきた。
終わる!
「【影縫い】!」
苦しまぎれに叫び自身の影に溶け込む。
店主がびっくりしている今が攻め時だ。
影の中に入ったのは久しぶりだ。暗くて少しひんやりとしている。周りを見渡せば真っ黒、上も下も、空間自体が真っ黒だ。影の中は水の中に入った感じに似ている。
【影縫い】というのは影に入り込み相手の影から出てくることができるスキル。スキルレベルが上がっていけばいくほど相手が離れていても影から出ていくことができる。影の中に入ったとき自分の影は青い光で表示され、相手の影は赤い光で表示される。影の中では時間は進むことはない。
少し離れた先に赤い光が表示される。泳ぐように赤い光の真下に行くとスキルを解除する。
店主の背後の影の中から勢いよく飛び出し、明るさに目がくらんだが感覚で剣を振るう。
「馬鹿なっ!」
店主が後ろを振り向くがもう遅い。
ギンッ!
(「はじかれた?!」)
言葉通りはじかれた。
普通の人ならば反応できないのに、どうして。
「行けると思ったろ?悪ぃな、俺はお前みたく弱くはないんでね!」
店主が両手剣を思いっきり振り下ろす。先ほどと同じように受け流そうとするとヒョイと両手剣を持ち上げた。体勢が崩れて前のめりなると真上に細長い影ができる。
店主の両手剣だ。
このままだと斬られる。
しかし、自分の影にしか入れるわけではない。
(「【影縫い】!」)
店主の両手剣の影に溶け込む。そして両手剣を動かした瞬間に盾を立たしてスキルを解除。ちょうど頭の真下、ということは......。
「悪いな」
盾が店主の男の急所にぶち当たる。
声にならない叫び声をあげ倒れる。
「これでいいかな?あと、ごめんなさい」
一応謝っておくが相手には聞こえない。
数十分後、やっと起き上がった店主。
「悪ぃな、さっきは。本来の値段は、剣の方は白金貨四枚、盾の方は白金貨一枚だ。装備の方は軽いやつだろ?ただでやるぞ」
そう言って比較的軽い革鎧を出す。見た目はボロボロだが防御力は高いらしい。
「ありがとうございます」
ルイスは白金貨五枚を出し武器防具を装備すると外へ出ていく。
店を出ると少し陽が傾き始めていた。
「少し走るか」
レイの戦闘準備
お試し用の矢を使って矢を撃つ。すると店主のベルフィアが入ってくる。
「どう、決まったのかな?」
「あ、はい!あの、この弓と矢をください!」
そう言って差し出したのは深緑色の弓だった。
矢は鉛で出来た刃だ。
なぜ鉛を選んだかというと、貫通能力はなくても殺傷能力が高いからだ。
「分かったよ、他に欲しいものはある?」
「はい、肘あてと膝あて、胸当てが欲しいです。できる限り軽いものが欲しいです」
「そう、これがいいかもね」
ベルフィアがレジの下から装備を取り出す。
「あ、ありがとうございます」
お金を払おうと懐から白金貨の入った袋を取り出そうとする。
するとベルフィアが言った。
「でも、この金額はお嬢ちゃん払えないと思うよ。すべてを合わせて白金貨三枚は必要だね。お嬢ちゃんにこんなの払えるかなぁ?無理なら体で払っても良いんだよぉ?その小さなかr「ダンッッ!」え?」
「払えますけど、なにか?」
白金貨三枚をレジに叩きつける。
うざくて気持ち悪い顔から驚いた顔に変わるベルフィア。
レイは袋からもう二枚を取り出し見せつけるように言った。
「足りないなら、これも追加しますよ?」
「い、いや、大丈夫だよ。どうぞ持って行って!」
慌てた様子でレジの上にあった武器防具を手渡し奥へ消えていった。お金は忘れずに持っていったらしい。レジの上にお金は置いてなかった。
レイは武器防具を装備すると店を出て行った。
「もうこのお店には行きたくないなぁ。良い武器屋だったのに」
店を出た時にはまさかの真っ暗だった。武器選びに時間がかかりすぎてしまったのだ。
「やばいやばい、お父さんに叱られちゃう!」
レイは走った、たぶん間に合わないと思いながら
おまけっぽいもの
作「お疲れ様でした、たぶんこの後出てくることはないと思いますよ」
店「ああ、分かっている」
作「男の急所潰されましたものね。さぞ、痛かったろうに(作者は痛みが分かっていない」
作「お疲れ様、変態ベルフィア」
ベ「へ、変態?!僕は正常だぞ!」
レ「変態、きもちわるい、(自己規制)、もう会いたくない」
作「だそうで、では」
ル「その、すまない。あなたを倒すにはあれが一番いい方法だと思い......」
店「いや大丈夫だ。だが、この痛みはお前にもわかると思うはずだ。絶対に俺以外にはやるなよ」
ル「スイマセンデシタ......」




