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NO.3 自己紹介

前話で男性と少女を助けたカレン。

カレンが帰ってきたのは外へ出てから20分後のことだった。カレンの両手には3羽のニワトリがジタバタと暴れていた。

駄目なことであるが、カレンにはその時どうすればいいのか分からなかったのだ。

「ねえフヨウ、鳥のさばき方知ってる?」

『主様、まさかその鶏は下の村から盗んできたのですか?』

「正解」

にやーっと笑うカレン。人殺しよりはまだましだろう。


この会話を疑問顔で見る男性と少女。それに気づいたフヨウが少し光る。

≪フヨウが言語共有機能を共有開始しました≫

『これで、会話は成立しました。話して見てください』

しかし、誰も話そうとはしない。そりゃそうだ、さっきまで言語が違うから話せるわけがない。そのまま数分時間が過ぎ、しびれを切らしたクロがカレンの背中を強く叩く。

「痛い!」

カレンが叩かれた背中をさすっていると、少女の顔が明るくなった。

「あの、言葉聞き取れますか!」

ちゃんと声が聞き取れた。


うれしい、うれしすぎる。


このまま言葉がつながらなかったら独りぼっちかと思った。


嬉しさからカレンは、少女の手を取りぶんぶんと縦に振った。

「大丈夫、聞こえてるよ!ありがとう!」

「いえいえ、お礼を言うのは私のほうですよ。父を助けてくださり、ありがとうございます」

「丁度、聞こえたものですから。助けないのはさすがになあ、と思いまして」

あ、親子という予想は当たっていた。助けるというよりは......この先はやめとこう。


あれ、そう言えば、少女と男性っていてるけど名前聞いてないな(自分も皆もわからなくなってきそう)。

自己紹介はまず自分からだから......。

「初めまして、私の名前はカレンと言います。ある理由でここにいます、よろしくお願いします」


変なことはあまり言わないほうがいいかな?

相手がステータスを表示して欲しいなら表示するつもりだけど、偽装できたらいいなあ。


「あ、私はレイと言います。10歳です。あの、ステータス表示できますか?」

10歳!自分と3歳差だね。

というか、ステータス表示するのね。後で表示しようか、さっきすべてのスキルが解放されましたってことも気になるしね。ステータス表示はフヨウがしてくれるよね。


『はい、可能です。レイ様のステータスを表示します』


==========

『レイ』

種族:人間

状態:普通

Lv:23

HP:220/220

MP:130/130

攻撃力:20

防御力:13

物理耐性:27

魔法耐性:15

ユニークスキル:

【射的Lv.4】


耐性スキル:無し


通常スキル:

【弓術Lv.3】【状態異常付与Lv.1】


称号スキル:無し


==========

あれ、自分よりレベルが高い、なのに弱い。

これは、自分が特殊だからか?


うーんと唸りながら考えているとレイの父親が恐る恐る聞いてきた。

「えーっと、今大丈夫ですか?」

「あ、大丈夫ですよ。どうぞ始めてください」

怖がらせちゃったな、考えるときは一人のほうがいいな。

「俺はレイの父親のルイスと申します。38歳です。先ほどは助けてくださりありがとうございます。傷も治してくださり、どうお礼すればいいか。本当にありがとうございます」

おー、少し堅いおじさんだな。

堅い人はあんまり好きじゃないな、なんたって対応が面倒くせぇ。

「そんなに堅くならなくていいですよ。私の方が小さいですから」

「あ、はい、分かりました」

まだ少し堅い......。


『ルイス様のステータスを表示します』


==========

『ルイス』

種族:人間

状態:普通 疲れ(小)

Lv:35

HP:700/700

MP:200/200

攻撃力:100

防御力:120

物理耐性:200

魔法耐性:120

ユニークスキル:

【看破Lv.3】


耐性スキル:

【刺突耐性Lv.3】【状態異常耐性Lv2】


通常スキル:

【盾術Lv.4】【剣術Lv.5】【影縫いLv.3】【ファイアLv.2】


称号スキル:

【ハンターLv.--】

==========

いや強いわ、レイのお父さん。

【影縫い】って影の中を移動できるスキルか、めっちゃ強くない!?


あ、あとは私のステータスか。

どうしようか、変なステータスでないことを祈ります!

「フヨウ、ステータス表示していいよ」

『了解しました。カレンのステーt「グーーーゥ」なんの音でしょう?』

カレンではない、フヨウはまず生きてない。

レイとルイスを見るとレイが顔を真っ赤にしてお腹をおさえていたのだ。ルイスはカバンの中をあさったが、食料が入っていないのか少し落胆していた。


さっきのはレイちゃんのお腹の音だったのね。

おなかすいてるんだね、さっき取ってきた(盗んできた)ニワトリを調理しましょうか。

「少し待ってて、ご飯作るから」

「え、いいんですか!?」

レイちゃんの目がすんごいキラキラしてるよ。

いつからご飯食べてなかったのよ。

「すいません、流石にごちそうになるわけには......「グーーーゥ」すいません」

お腹の音が聞こえましたねえ。今度はルイスさんでしたね。

もう作らないという選択肢はありませんよ。

「ありがたく頂戴します」

「お願いします」

二人が頭を下げる。

「ねえ、お二人さん。味は保証しないからね」

これだけは言わせてもらった。暴走専門の私は料理をあんまりしたことないからね。


結果、カレンはフヨウに指摘をしてもらいながら鳥鍋を作った。

鍋やお皿は洞窟の奥から出てきた。

なぜか祭壇のようなものの上に、きれいな鍋と皿が置いてあったのだ。鍋と皿はきれいに洗っておいた。


鳥の骨を鍋で煮込み出汁が出たら骨を取り出し、肉を投入。

鍋に入りきらなかった肉は干し肉に。

野菜がないと寂しいので近くの農家にて少し譲ってもらった(今度は盗んではいない)。ナイフがないので野菜を手でちぎって鍋に投入。

全体に火が通るまで10分。

10分待ってふたを開けるとあら美味しそうな匂いが。


皿に盛り付け二人に渡す。

二人は匂いに釣られて食べ始める。

まじで味は保証しないからな?

「う、うまい!」

「おいしい!」

え、まじ?

カレンも皿によそって食べる。

「ん、初めて作るにしてはおいしい。フヨウのおかげだ」

『ありがとうございます、主様。しかし、主様のお力も必要でしたよ』

「ありがとう、フヨウ」


3人は黙々と鍋を食べていたが、ふと気になったことがあった。

「「あの」」

カレンとルイスの声が重なる。ルイスがレディファーストとでもいうかのように手で差し出す。


「えっと......二人はどうしてこんなところにいたんですか?ここらは強い魔物が多いとフヨウに聞きました。私から見るととても冒険しに来たって感じはしないです。なんていうか......「それ以上は言わなくていいよ」え?」

「君がニワトリを盗んできた村から追い出されたんだよ。濡れ衣でね」

「そうなんですか、それはご愁傷様」

「君を疑うつもりはないんだが、君は"昨日"あの村に行ったかい?」


......なんだこれ、威圧感がすごい。


意識を保ってなければ押しつぶされそうだ。

それより、威圧感を出すようなスキルはルイスさんはもっていなかった。

ルイスさんの濡れ衣って家畜の窃盗?

私は今日この世界にきたばっかりだからまずありえない。


まさか、鎌を掛けている?

それだったら早く答えなければ犯人と思われてしまう。

そう言えば、ルイスさんのユニークスキルに【看破】があった。

もしこの質問で私が嘘をつけば犯人扱いされるということか。


「どうなんだい?」

「私は行ってないです」

「......そうか。疑って悪かったね、少し気になったもので」

そう言うとルイスさんからの威圧が消える。

「いえ、大丈夫です。他に質問はありますか?」

「うん、単刀直入に聞かせてもらうよ。君はどうしてここにいるんだい?ここは古代兵器が祀られているところだろう」

え、そうなんだ。ごめん今初めて知った。ここは......本当のことを言うか。いや、ステータスを見せたほうが早いな。

そうしよう。


「フヨウ、私のステータスを表示して欲しい」

『......分かりました。カレン様のステータスを表示します』

「え?」

「おいおい、嘘だろ?」

二人はカレンのステータスを見て彼女の正体に気づいた。

おまけ

レイ「お父さんこれ何?(父のバックから石がついた首飾りを取り出す」

ルイス「あ、それは......」

レイ「これ何?」

ルイス「えっと、その......」

レイ「捨ててくるね」

ルイス「待って、捨てないで!大事なものだから!(娘の手から奪い取ると鞄にしまう」

レイ「なんで捨てちゃいけないの?」

ルイス「駄目なもんは駄目なの!」


フヨウ『言った方がいいでしょうか?』

カレン「言わないでおこう。たぶんこの先必要だから」

フヨウ『分かりました』

カレン「お金として」

フヨウ『え?』

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