三好in史実西日本と三好西日本転移√
前に没シュートしたの出てきたから勿体無いので投稿
昭和20年、日本は運命のマリアナ決戦を控えていた。その準備も着々と整えていた、しかし復活した米艦隊はそれを遮るかのように日本海軍一大根拠地であるトラック諸島を強襲した。日本海軍も布陣していた基地航空隊の迎撃で被害は大とまではいかなかったものの、在泊していた輸送船等が被害を受けた。
また、米艦隊接近の報に残存船舶を逃がすために戦艦武蔵以下の艦艇は米艦隊に突撃を敢行。
武蔵はサウスダコタ級戦艦四隻を沈めるも米空母部隊からの攻撃で爆弾31発、魚雷37発を受けて撃沈、艦隊司令官の白石少将らは武蔵と運命を共にしたのである。
武蔵らの犠牲は無駄ではなく、米海軍はマリアナへの侵攻を一月遅らせるはめになり日本軍はマリアナでの入念な迎撃準備を整える事に成功したのである。
「いよいよか……」
第一機動艦隊司令長官から第一連合機動艦隊司令長官へ昇任した将和は柱島沖にて停泊する旗艦加賀にてそう呟いた。第一連合機動艦隊は第一艦隊、第二艦隊、第二機動艦隊をも統合した一大機動艦隊である。なお、第二機動艦隊は艦隊が集結している事を悟られないためにタウイタウイに投描している。
「明朝0500に出撃する」
将和はそう言って自室に帰ろうとするが、ふと雨が降ってきた事に気付く。
「おかしいな、予報では降らないはずだったが……」
そうぼやく将和だった。天気は小雨から次第に大雨に変わり雷を伴う雷雨へと移行したのである。そしてそれは0459に起きた。
特大大きな雷が柱島に落ちたのである。落ちた瞬間、辺りは一瞬にして一面真っ白の世界に覆われたのである。
「おぉ、凄いな……」
驚く将和だったが視界が回復するとおかしな事に気付いた。
「……おい待て、何で大和と武蔵が此処にいるんだ……?」
「そんな馬鹿な……大和はタウイタウイにいて武蔵はトラック沖で沈んだのですよ?」
将和の問いに草鹿は苦笑するがおかしな報告が次々と入り込んでくる。
「長門と陸奥がいるぞ!!」
「馬鹿な、長門はそこにいるぞ。陸奥は昭南だぞ!!」
「なぁ、あれって瑞鶴だよな?」
「俺らが乗ってるのも瑞鶴だぞ」
混乱を極める艦隊に大和と思わしき艦から発光信号が届いた。
「『貴艦ハミッドウェー沖ヨリ甦ッタ也ヤ?』」
「ッ!?」
その発光信号に将和は驚愕した。まさか……まさかなのか?
「大和に発光信号!! 今は昭和何年何月と現GF長官の名前を知らせろ!!」
「長官?」
「まさか……まさか本当に……」
そうボソボソと言う将和に大和から再度返答が来た。
「昭和18年6月1日で古賀大将がGF長官……?」
(やはりか……)
草鹿達がざわつく中、将和は一つの確信をしていた。
(恐らくは史実の日本に転移したのか……何の因果なのか……)
そう思う将和である。そして幾多の交信を経てから将和は東京で緊急会談をするために東京へ向かう。
「吉田外相も居られたのですか?」
「たまたま広島県知事と面会をしていてな。政治に関しては私が最高位だから任せてくれ」
「分かりました」
吉田の言葉に将和は頭を下げる。二人は東條と会談を行う。
「西日本が入れ換わる……俄には信じがたい事ですが実際に起きた事ですからのぅ」
東條はお茶を飲みつつそう言う。
「この事態はそうですが我が日本は元より総理の日本もアメリカと戦争をしています」
「……如何にも」
「共通の敵は存在しているわけです」
「……それで三好大将は何を求むので?」
「我が西日本と東日本で同盟を締結、アメリカとの戦争を乗り切るのが最適でしょう」
将和の言葉に東條は無言で頷いた。ここに至り西日本と東日本は同盟を締結で合意、対米戦の協力で一致したのである。
「副首都という名目で師正王様と吉田さんには大阪にいてもらいます」
「分かりました」
将和が過ごした世界の関東大震災では師正王は被災を免れており今は陸軍少佐として広島で勤務していたのだ。
(問題は……東日本への兵器の輸出だよなぁ……)
「ちと問題ですな」
「だな杉山」
たまたま広島の部隊に視察に訪れて転移に巻き込まれた杉山と話をする将和。
「でもうちの兵器で統一しないと負けるぞ」
「ですよねー」
「それに八幡製鉄所は此方が握っているしな」
「必然的にそうなりますね」
協議して西日本で製造生産された兵器を東日本に供給する事も同意し直ぐに国内の部隊に順次配備されていく。更に協議して絶対国防圏を策定、ソロモン諸島、ニューギニアにいた部隊はラバウルまで後退。これにより陸軍はニューギニアでの餓えは半分無くなりソロモン諸島の部隊もマリアナ方面に配置転換した。
マーシャル、ギルバート諸島の部隊もマリアナ方面に配置転換し撤退を知った米軍は易々と占領していくのである。
「……こいつは匂うな」
「ブルもか」
ハワイ、オアフ島の太平洋艦隊司令部で司令長官のチェスター・ニミッツ大将はハルゼー、スプルーアンスらと共に不可解な行動をする日本軍の話をしていた。
「マーシャル諸島は兎も角としてもだ。ニューギニアを手放す事は有り得んぞ。前も増援を送ろうとしてダンピールで船団を壊滅させたじゃないか」
「そうだ。だが奴等が撤退をしているのは事実だ」
「……マリアナ方面で決戦を考えているのでは?」
「うむ。それも視野に入れてはいるがマッカーサーはビアク島に奴等が終結させているという情報も掴んでいる」
これは日本側が流した欺瞞情報だったがマッカーサーはこれを真実としていた。
「作戦を早めるか?」
ハルゼーが言う作戦とはトラック諸島を攻撃するヘイルストーン作戦を意味していた。しかしニミッツは首を横に振る。
「焦りは禁物だ。焦ってはミッドウェーのナグモ・タスクフォースになる」
ニミッツはそう決断するがその判断は誤りだった。そして1944年2月17日、空母9隻を主力とするミッチャー中将の機動部隊がトラック諸島を攻撃するが、攻撃隊が目にしたのはトラック諸島上空を飛行する500機余りの陸海軍戦闘機であった。
『後ろに突かれた!? 助けてくれ!!』
『このジーク、速いぞ!! 新型のジークだ!!』
『あぁ神よ……』
『何だ、……何なんだこのジャップは!?』
『ジークの他にも新型がいるぞ!!』
攻撃隊はトラック諸島上空で壊滅した。戻ってきたのは僅かであり米機動部隊は航空機491機を喪失してしまうのである。
「何だこの被害は……」
『レーダーに反応!! 敵攻撃隊です!!』
「何!?」
ミッチャーの機動部隊を襲ったのは将和が率いる第一連合機動艦隊から発艦した戦闘機78機、彗星120機、流星120機であった。
「全軍突撃せよ!!」
攻撃隊を率いている三好将弘少佐はト連送を発信し攻撃隊はミッチャーの機動部隊に襲い掛かったのであった。
「空母6隻撃沈か」
将和は加賀の艦橋でそう呟いた。
(この半年……兎に角も撤退して資源の輸送や新型機の配備をしまくったから食えるだけ食ったか……)
報告書を見ながら将和はそう思う。
「さて、どう出るニミッツ?」
マリアナへ出撃するには空母が足りない、ニミッツが頭を抱えるのを脳裏に浮かべて将和はニヤリと笑うのであった。
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