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第3章 7話 再会とケツバット。

「ナラン様!!」


「ナキアミ君か、久しぶりだね」


「……お帰り、なさいませ……」


「……うん、ただいま」


 今は飛行船発着所にいる。

 そこでガン泣きのラッキーガイと元魔王のおじさんが感動の再会を果たしている。

 元魔王のオッサンの嫁さんと娘さんも一緒だ。ニコニコしてる。

 ラッキーガイの後ろには、騎士だの下級貴族だの平民だのがびっくりする位集まってみんな涙を流している。

 元魔王のオッサンの人望すげえな。


「オラァッっ!!」


 バスンっ!!


「あいだぁっ」


「だから部下はちゃんと見極めろって言っただろバカ野郎っ」


「さーせんっ、先輩さーせんっしたあーっ」


「すいませんでしたって言えバカっ、俺じゃなくて国民に謝れバカっ」


 バスンっ!!


「あいだぁっ!!」


 感動の再会をしてる後ろでは、元魔王のオッサンを送ってきたナピーナップのヒゲ王がこの国の四代?五代前?の王様にケツバットをしてる。

 あのヒゲ本当にケツバットしに来たな。

 感動の再会との空気の差がすごい。




 昨日ロケット発射ボタンを回収し、王の間に戻ったらなぜか涙を流してる上級貴族達がいて、京が俺の頭に王冠をのせてなぜかまた俺が王様に返り咲いてからナピーナップに電話をして、ヒゲ王に元魔王のオッサンを連れて来てもらった。


「そうかあ、自分気づきませんでした。そう言えばあの魔王のおじさん、追放されたとか言われてましたよね。可哀想ですごい泣いちゃった。恥ずかしい」


 東くんが昨日を思い出して恥ずかしがってる。

 すごい泣いてたもんねえ。泣いた赤鬼みたいだったよ。


「京、ところでなんで昨日の上級貴族達は泣いてたんだ?」


 なんか王の間に戻ったら上級貴族達がめっちゃ泣いてて、しかも結構な割合の貴族達がなぜか仕事やめて隠居してしまった。

 昨日は全体的に様々なオッサン達と赤鬼が泣く一日だったな。


「自分達のやって来たことに気づいて己を恥じたのだろう。貴族の籍を返納してきたやつもいるそうだ。……全く、どこの世界にも人の上に立つということの意味を知らんやつが多すぎる」


 いや、そんな権力者の心得みたいのをしみじみ言われても……。


「安田様」


 ん?あ、元魔王のオッサンだ。挨拶に来たのかな?


「安田……王様?、王様になっちゃったんですか!?」


 元魔王のオッサンは俺の頭に乗ってる王冠を見てびっくりしている。

 あら?言って無かったっけか?


「王様になった」


 良い笑顔で言ってやった。



 とりあえずみんなで城に戻ることになった。

 元魔王のオッサンの歓迎会的なやつをやるらしい。

 それぞれ何台かの馬車に別れて乗り込む。


「しかし、びっくりだなあ、あのオッサン始めて会った時はホームレス丸だしだったのに」


 城に向かう馬車の中でオッサンとのファーストコンタクトを思い出す。


「私は始めて見た時から、ひとかどの人物だと思ってたぞ」


 京がなんか偉そうなこと言ってるな。

 お前、オッサンの首をヒジで切り落とそうとしてなかった?




「うわっ、なんだ!?」


「魔物か!?」


「なんだこれ?、なんかかわいいぞっ」


 なにやら馬車の外が騒がしい。


「どうした?」


 馬車の窓から外を見る。

 なんか町のど真ん中で騎士達が集まってるな。


 リンリンリンっ。


 まんじゅうが突然騒ぎだした。

 あ、使い魔が戻ってきた。のリンリンリンだ。

 ……使い魔?


 俺達は馬車から降りる。


「ちょっと、退いて退いて」


 集まってる騎士達の間を通り抜ける。


 あ、ホントにまんじゅうの使い魔だ。

 鳥型のやつ。

 出張中のカワウソ大人組に持たせたやつだよな。

 どうしたんだ?


「安田くん、足に何かついてるよ」


 鈴木さんが何かを発見して教えてくれる。

 ホントに足に何かついてる。

 紙だな。結んである。


 俺は足についてる紙をほどいて開く。

 役目を果たしたとばかりに使い魔がカプセルに戻ってまんじゅうの口の中に入る。

 ん?紙に何か書いてある。


 何か見つけたので来て下さい。クレープより。


 カワウソ族の魔法使いクレープさんからの手紙だ。

 ……伝書鳩みたいだな。


 ……ていうか何かってなんだべ?

 おかしいな。

 出張してるカワウソ達は定期的に鑑定して安否確認している。

 昨日は特に問題無かったんだが。


 ウルトラ鑑定。



名前   クレープ・グレイシードラゴン ♀

年齢   31才

職業   樹術魔導師

種族   コツメカワウソ族

称号   樹木の友


レベル  30

HP   121/121

MP   212/212



説明


出張から帰る途中森の中でつまずいて転びました。

なんとつまずいたのが、数百年前の隠し倉庫の取っ手でした。

古代の倉庫にはなんか色々入っています。

今クレープさんが現地の騎士達と見張っているので、現地に行って中身を回収なり処分なりして来てください。



「あら」


 なんだべ、隠し倉庫って。

 まあ、呼ばれてるし行くべか。


「クレープさんが呼んでるみたいだわ」


「どうするの?行くの?」


 うーん。今は俺が王様だからなあ。

 王様居なくなったらまずいか?

 いや、視察って名目で行こうか。

 えーと、じゃあ。


「ナランのオッサン」


「あ、はい」


 騒ぎを聞いて馬車を降りてきてた元魔王のオッサンに話しかける。


「オッサン、今日から宰相ね」


「え!?この国宰相の役職はありませんが!?」


 あ、無いんだ。

 俺王様なのに今始めて知ったわ。


「じゃあ今日から宰相の役職を作るから、宰相任命」


「ええ!?」


 元魔王のオッサンびっくり。

 魔王になったり宰相になったり大変だと思うんだけど、適任だと思うのでよろしく。


「ナ、ナラン様が宰相……」

「おお、素晴らしい」

「凄い。この国が変わる」


 ほら周りにいる下級貴族とか、騎士とかみんな喜んでるし。


「じゃあ、王様はちょっと視察に行くので、留守をよろしく宰相さん」


「お、お待ち下さいっ、いくら今は安田様が王とはいえ、そんな勝手は上級貴族達が黙っておりますまい」


「安心しろホームレス、この国のろくでもない類いの上級貴族は逮捕されるか、自主的に隠居している。今ならいくらでもホームレスの好きにできるぞ」


 第一次安田政権時代と第一次唯川政権時代の圧政で、この国の上級貴族ほとんど居なくなったからね。


 ていうか京はこのオッサンのことホームレスって呼ぶのか。

 魔王、宰相、ホームレス、最下層から最上位まで呼び名の幅が広いオッサンだなあ。


「ええ!?逮捕!?、隠居!?」


「じゃあ王様の留守の間、この国の事は全部任せるから、よろしくね。ラッキーガイ、新宰相の補佐をよろしくね」


「は、はいっ、お任せくださいっ」


 いい返事。


「ナラン殿、安田殿がこうなったら無理だぞ。あきらめて受け入れよ」


 ヒゲ王が後押しする。


「ええ?あー、わかりました。この身が安田様のお役にたてるならば、慎んでお受けいたします」


「「「「うおおおおおおぉぉ!!!!」」」」


 おお、集まって来てた野次馬や騎士や貴族の大歓声だ。

 やったなオッサン。


「ナランっ」

「ナランっ」

「ナランっ」

「ナランっ」


 凄いオッサンコールが鳴り響く中で、俺達はまた飛行船発着所に戻った。





鑑定結果


北ササラ国の西の都市、ミンストレルにクレープさんは居ます。

飛行船で二日位の距離です。



「西にあるミンストレルってとこにクレープさんいるって」


 俺は飛行船の中で目的地を伝える。


「あ、やべ、カワウソ達いないと飛行船操縦できないやんけっ」


 やべ、忘れてた。

 今から誰か連れてくるか?


「まかせろ、ヤスダ、私できる」


 なんか片言でしゃべってるのは東くんの仲間の少女ヒューイ、年は13才だ。

 ちなみに職業は暗殺者だ。こえー。

 気のせいかも知れんが超久しぶりにこの子と話した気がする。

 ずっと東くんと一緒にいたんだけどね。


「まじか、お前分数の計算もまだ出来ないくせに飛行船の運転できるのか?13才なのに?」


 勉強教えてるが、こいつは勉強得意じゃないタイプだ。


「カワウソに習った。私、実践派だから」


 実践派なの?ああそう、まあ、じゃあ任せよう。


 ちなみに東くんの仲間はあと二人いて、一人は胸のデカい魔法使いがサイカ国ってとこにいて、もう一人はカガミという名の目立たない女の子だ。

 目立たない方は今も目立たずに東くんの横にいる。


「……なんか失礼なこと考えてませんか?」


 失礼なことを考えてたし、この子とも超久しぶりにしゃべった気がするし。


 じゃあ、もう夕方だけども、出発っ。

 俺たちのカワウソ村飛行船が西に向かって飛び立つ。




 暫く飛んで夜になった。

 平原に飛行船止めて、みんなで夕食。

 カワウソ族のコックのモモさんがいないので、安田さん特製スキヤーキで夕食。

 この世界の卵は、何物も生で食べることにトライするチャレンジャー民族日本人が昔からいるので、勿論生卵を食べられます。


「私、暗殺者の訓練してるから徹夜得意、まかせろ」


「だめ、子供は寝れ、はよ寝れ」


 なにやら私は夜通し運転イケるぜ、みたいなことを抜かしてるやつがいるが寝かせる。

 寝ろ13才。



 そして朝、朝食を食べにカワウソ村の魔法の部屋の扉を開けて中に入る。


「おはよう」


 朝の挨拶。


「お、おはよう安田くん」


 ん?鈴木さんがなにやら狼狽えた顔してるな。

 また体重増えてたのかな?


「おはようございます。安田さん」


 ん?、なんか知らない声の人に挨拶された。

 なんだ?カワウソ村の食卓におサルさんみたいな髪型した美女がいるぞ。

 だ、誰だこいつ。



挿絵(By みてみん)



ウルトラ鑑定

 

名前    アズマ(地球名、東秀千代) ♂♀

年齢    17

職業    剣士

称号    無双

レベル   34

HP    253/253

MP    0/0


戦闘力   1380 


装備

ミスリルの大剣(黒)

魔法銀の軽鎧


所持スキル


剣撃無双


剣術レベル4


たて斬り、横斬り、一線突き、真空牙、切り裂き、千手剣撃


体術レベル3


正拳突き、まわし蹴り、飛び膝蹴り、鉄拳


パーティーメンバーステータス確認



説明


勇者アズマが男女逆転薬を飲みました。



 なんでこんなワケわからんタイミングで飲もうと思った!?

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