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第3章 13話 エルフあらわる。

 ふわふわと浮く飛行船に乗って外をまったり眺める優雅な時間。

 今安田パーティーは飛行船に乗って王都に帰る途中だ。

 せっかくだし、違うルートで帰ろうということで行きとはまた違う景色を楽しんでいる。


 でっかい山々が遠くに見える。山脈ってやつだな。

 雄大な景色を見ながら食うアジフライ弁当もまたおつだ。


 余談だが、この世界に来て最初に手に入れたアイテムの最上位の魔法の袋は入れたものの時間が止まるのでアジフライ弁当も作りたての熱々で食べることができる。超便利。


 みんな窓の側で景色を眺めてる。

 もう優雅だわー。優雅過ぎてもう心の状態がなんなのかよくわかんないもの。

 優雅ってなんだろう。

 必殺技で使われそうな漢字だわ。優雅。


「あっ!!」


 んん?なにやらピンタさんの一人娘ペペちゃんが急にデカい声だしてなにやら部屋の外に向けて走り出した。

 さっきまで窓の外を眺めながらデザートのバナナを食べていたのに……。

 ……まあ、子供はおかしなことを急にするからねえ。

 俺はまた窓から景色を眺める時間に戻る。


 窓の外には変わらず雄大な山脈が見えている。

 そして、空に舞うカワウソも見える……。

 ……ん?


 なんか今カワウソが飛んでなかったか?


「ペペっ」


 ピンタさんの叫び声で我にかえる。


「ペペちゃんっ、なにどうしたの?飛び降り!?」


 同じく我にかえった鈴木さんが慌てる。

 そうよなっ、あれさっき外に走ってったペペちゃんよな。

 魔法の部屋から飛行船に出て、そのままスカイダイブしたのか!?


 ウルトラ鑑定っ。


鑑定結果


窓の外を眺めてたら魔物に追いかけられている人を見つけたようです。

ちなみに正確には人ではなくエルフです。



 ええ!?

 人なんかいたか!?


「まんじゅうっ、外行けっ、ペペちゃん追っかけてフォローしろっ」


 リンリンリンっ。


 ちょっぱやでまんじゅうがペペちゃんを追いかける。

 思考が乱れとるっ、なんだちょっぱやってっ。


「龍臣、ペペはどうしたんだ?」


「魔物に追っかけられてる人だか見つけたらしいっ、ピンタさん飛行船の方向転換っ、面舵っつうんだっけ?、ペペちゃんを追っかけて」


「はっ」


 窓の外見れば遠くの方に火の玉みたいのが見える。

 ペペちゃんの使い魔カブトムシのアクゲンタヨシヒラだ。

 あのカブトムシは巨大化してペペちゃんを乗せて飛べる。

 空中で巨大化してペペちゃん乗せて飛んでったようだ。


 少し遅れてまんじゅうが飛んでったのが見える。

 これで、とりあえず安心だな。


「あ、ほんとだ。人いますね」


「……うむ、確かにいる。三人がデカいコウモリに追っかけられてるな」


 東くんと京が追っかけられてる人が見えたらしい。

 ……ええ?なにも見えないけど。


「鈴木さん見える?」


「……いやー、全然見えないね」


 しばらくすると、遠くの方にホントにとお~くの方にゴマ粒位の点々がわちゃわちゃしてるのが見えてきた。

 ええ?あれ?

 あのゴマ粒が人?

 こいつらどんな視力してんの?アフリカの民族みたいな視力だな。


「そういやさっきは人って言ったけど正確にはエルフらしいよ」


「え!?ホント?エルフに会うのはじめてだね。この世界にエルフいたんだね」


「自分も会うのはじめてですね」


 鈴木さんがちょっとビックリしている。

 ていうか異世界生活では結構先輩の東くんでも会ったことないのか、みんなエルフ初遭遇だな。


「私は会ったことあるぞ」


 京が変なこと言う。


「いや、お前この世界来たのこの間じゃないか」


「そうだな。でも地球にも居たからな。エルフ」


 嘘だべ?

 え、まじで?

 鈴木さんと東くんも、え、まじで?て顔してるわ。


 唖然としてたら、景色の向こうのゴマ粒の辺りが光った。

 多分アクゲンタヨシヒラの火魔法だ。

 うん、近づくにつれてはっきり爆炎が見えるようになった。

 まあ、爆炎なんてはっきり見たくなかったけどもね。


 しばらくしてやっと現場に飛行船が着いた。

 まんじゅうが水撒いてる。回復と鎮火目的かな。


 京の爆弾発言は忘れることにしよう。





「カワウソ様、ありがとうございます」

「ありがとうございます」


 助けた人達にお礼を言われて、でっかいカブトムシに乗ったペペちゃんが照れている。


「こらペペっ、飛行船からいきなり飛び降りちゃだめでしょっ」


 ペペちゃんが母親であるププルさんに怒られている。

 飛行船から飛び降りちゃだめってすごい説教だな。


「あなた達はカワウソ様の仲間の方々ですか?」


 お?助けた三人の中の一人が話しかけてきた。

 おお、まさにエルフ。

 金髪で耳が長くて緑の服を着て弓を背中に担いでいる。

 もうエルフ以外の何者でもないな。

 ちなみに三人とも男だ。


「そ、その冠は!?」


 あ、なんか東くんの頭に乗ってる冠見てエルフが跪いた。

 どうやらこのエルフ達もこの国の国民らしい。


「王の一行とは知らず、ご無礼をいたしました」

「命を助けていただきありがとうございます」

「ありがとうございます」


 印籠出された後の悪者のように平伏してしまった。


「あ、あの、立ってください。当たり前のことをしただけですので」


「「「は、はいっ」」」


 三人のエルフが顔を赤くして立つ。

 ちなみに今日の東くんは女だ。

 そう、東くんはもともとものすごい柔らかい口調とものすごい優しい心根を持っている。そして最近美人になれるようになった。

 つまり二日に一回ものすごいいい女になる。

 彼らはその心からの美貌に見事にやられたようだ。


 ただお前らのその幻想は明日死ぬ。


 話を詳しく聞くと彼らはあの山脈の向こうにある森に住んでいるらしい。

 普段はエルフらしく森からあまり出ないのだが、年に一回位近くの村で森ではあまり手に入らない米や麦なんかの食糧を買うらしい。今回の食糧難で村では手に入らなかったので、魔法の袋をしこたま持って山脈を越えてこっちまでやってきたらしい。


「それで、目的の食糧は買えたのですか?」


 東くんがにこやかに話しかける。


「は、はい、なにやら食糧難はなんとかなったらしく譲ってもらえました。ただ運悪く帰りに魔物に襲われてしまいましたが……」


 東くんと話してるエルフが顔を赤くして答える。

 顔赤くするなよ。なんか悲しい気持ちになるから。


「災難でしたね。……山越えは大変でしょうし、よろしければ飛行船で村まで送りましょうか?いいですよね?安田さん」


「いいよ」


 エルフの村見たいしね。


「あ、ありがとうございますっ」


 そして、ちょろっとエルフの村に寄っていくことになった。




 発進した飛行船でふわふわと山脈方面に飛ぶ。

 山脈の上を飛行船で越えると、向こう側に確かにひっろい森があるわ。


 ウルトラ鑑定。



場所名 ナンダナギサの森


説明


広さ220k㎡の森、楓の木なんかがたくさんある。

森の中にはエルフの村があり、村の名産はメープルカステラ。

ちなみにエルフの平均寿命は600年くらい。

この世界のエルフはわりとテンプレの中のテンプレ。

森から滅多に出ず、弓が得意で金髪でハンサムと美人揃いで長生き。



 エルフ、想像していたより圧倒的にエルフ。

 ……まあ、メープルカステラはとりあえず食べよう。


 森の上空を飛んでいると、なにやら木がない箇所がある。


「あ、村はあの辺りです。あそこに飛行船を下ろしてください」


「飛行船下ろすのにはちょうどいい空間だけども、なんで森のど真ん中にあんな空間があるの?」


 俺以外にもメープルカステラ食べに飛行船で来る人が?


「なんでも昔、勇者様が空飛ぶ乗り物で来た時に村総出でこの辺りの木を伐採したとか、それ以来ちょいちょい使ってるみたいです」


 エルフの森見物に来た日本人が他にもいるんだな。


 そして飛行船を着陸させてみんなで地面に降りる。

 エルフの三人の内の一人が走って森に入っていった。

 先触れってやつだろう。







「おお、凄いな」

「すごいねー」

「ナピーナップとはまた違った趣がありますね」


 少し歩いて到着したエルフの村を見て、各々が感想を口にする。

 エルフの家はみんな木の上にあるみたいだ。

 ツリーハウスみたいなヤツだな。

 木と木の間に橋があって家同士を行き来できるようだ。

 いやー、ファンタジーはこうでないと。

 人間の町はダメだ。どっかで見たことある牛丼屋とかあるからな。

 弓とか麻の服とか、自然と共に生きてる感があって実にいい。

 ファンタジー世界で日本の近代文明の匂いさせたらやっぱ駄目よ。

 牛丼屋とラーメン屋が軒を連ねる人間の町はダメだ。



 エルフの村を眺めてると、なにやら助けた三人の内の一人が走って戻ってきた。

 後ろにエルフをたくさん引き連れている。


 ザザザザザっ。


 東くんにエルフがみんな跪く。


『ようこそ、東王様、私この村の長のヒッコロと申します。このような粗末な村でございますが、ごゆるりとお過ごし下さいませ』


 奥から一人のエルフが現れた。

 ここの村長か。


挿絵(By みてみん)


 フリー○様のヤツみたいなのに乗ってるけど……。


『こんな姿で申し訳ありません。なにぶん腰が悪いものでして』


 変なのの中からしゃべってるからか機械音声みたいな声になってる。

 ファンタジー世界のくせに介護機器だけ日本の文明を遥かに越えてやがる。

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