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第3章 12話 快盗のイメージ。

「やめてくれます!?毎晩毎晩わけのわからないデカいロケット盗まさせる変な気持ちわかります!?頭おかしくなりそうなんだけど!?」


 ツルツルおじさんがキレ気味だ。


「……なに言ってんだか全然わかんない」


「わかるでしょ!?私の正体……」


「ああーっ、もう聞こえない聞こえないっ、もう騎士団のとこ行って今日の分のロケットのありか教えてくるっ」


 耳をふさいで騎士団が待ってる会議室に走り出す。


「やめてえ!!騎士団に言わないでえっ」


 おじさんの断末魔みたいのが聞こえた気がしたけど、気のせいだろう。


「やめろ龍臣」


 バチンっ。


 あいだっ。


 京に殴られた。


「ほれ快盗、これが残りのロケットのありかと隠し部屋の開き方が書いてあるメモだ」


 あっ、うちのパーティーメンバーだけに渡した超極秘書類をっ。


「ああ、ありがとうございます。……あと30ヶ所もあるの!?」


 おじさん涙目だ。


「泣くなっ、快盗はもっと気高くあれっ、もっと自分を高めろっ、研鑽しろっ」


「安田さん、鬼じゃないんだから」


 鬼みたいな顔してる高校生に鬼呼ばわりされた。


「……安田くんの中の快盗のイメージってなんなの?」


 鈴木さんがなんか言ってる。


「行け行け快盗、ここにいると龍臣にまたとんでもないことやらされるぞ」


「は、はいっ」


 あっ、京にうながされてツルツルのオッサンがどっか走っていっちまう!?


「待てえっ、快盗サイボーグ化計画はまだ着手すらしてないぞっ!!」


 最強の快盗を誕生させる計画がっ。


「怪盗をサイボーグにしてやるなよ」






 ……あーあ、快盗がどっか行っちまった。


「や、安田様、どうしました?」


 もはやいく理由も無いいつもの会議室でナナセさんがなんか話してるが、快盗どっか行っちまったから、もうめんどくさい。

 この捜査会議もう意味ない。


「気にするな。進めてくれ」


「は、はあ」


 京が会議進めようとするが、もう意味ないしな。

 ん~……。

 そう言えば快盗はまだしも、この騎士団には随分働かせてしまったなあ~。


「ナナセさん、あのアジフライの店はお持ち帰りもできるの?」


「え!?、あ、はいテイクアウトもやっておりますが」


 地球出身の俺がお持ち帰りで、異世界人にテイクアウトって言われたな。

 まあ、なんでもいいや。


「……じゃあ、今日はお弁当持ってピクニックに行こう。みんな用意して」


「え!?ピクニック!?」




 という訳で鑑定で選定した町外れの小高い丘に来ましたよ。

 中々の見晴らしの良さ、そこにブルーシート的なものを引いて、みんなでお弁当を食べる。

 このアジフライ冷めても旨いなあ。

 しかし、騎士団の面々は黙々と食べてるだけだ。

 ちっとも楽しそうじゃない。

 権力者のわがままにむりくり付き合わされる人々丸出しだ。

 まあ、実際その通りなんだが。


「モンブランさん、じゃあ予定どおり装備品彼らにあげてもいい?」


「ええ、いいですよ。せっかく作ったのに使わないのもあれでしたしね」


 まんじゅうの口から出てくる装備品が最上位なのがあって、初期にカワウソ達に作ってもらった装備品は大量に余っているからな。

 この世界だとカワウソ製の装備品も十分に一級品だ。

 売るのもなんかあれだしね。せっかくだしお世話になった人々に贈呈しよう。


「第一回、カワウソ製装備品争奪くじ引き大会~っ」


 場がざわついた。

 特に騎士団の辺りがざわついた。

 よしよし、好感触だ。


「えー、ルールは簡単です。騎士団の方々にはこちらにあるくじを引いてA賞、B賞、C賞と書いてあるくじに応じた商品を贈呈します」


 箱の中に紙切れが入っている超分かりやすいくじ引き形式。

 一番下のC賞でもカワウソ製の中々のヤツだ。

 ちなみにB賞はモンブランさんが結構うまいことできたといっていた鎧。



アイテム名 カワウソ印の鋼鎧

分類    防具

レア度   B-

防御力   40

価格相場  2500000G~3000000G


効果及び説明


カワウソ族の鍛治師が作った鎧。カワウソマークが胸のところについている。

カワウソ達の優しさが打ち込まれているためステータスVIT+8。



 というステータスがちょっと上がる鎧だ。


「この鎧がB賞です」


「す、すげえっ」


「あのC賞もカワウソ様が作ったんだろ?十分一級品じゃねえか」


 お、いいリアクションだな。

 名もなき騎士達よ。


「あ、あの安田様?その鎧がB賞なのですか?じゃあ、え、A賞は?」


 ナナセさんの台詞にまた場がざわついた。

 騎士達もそう言えばって顔している。


「……じゃあちょっとまって」


 俺は持ってきたスコップでおもむろに地面を掘る。


 ザックザック、ザックザック。


 なんでこの人突然地面掘り出したの?て顔で見られてるが事実突然地面を掘り出したから仕方ないけど。


 ザックザック、カンッ。


 あ、あった。

 地面を掘ってたら土以外の感触がスコップから伝わってきた。

 俺はスコップに当たった棒状の金属をずるっと引きずり出す。


「……?」


 なんかみんなに小汚ない棒みたいの出してきたぞって顔されてるな。事実小汚ない棒出したから仕方ないけど。


「まんじゅう、水で綺麗にしてくれ」


 リンリンリン。


 まんじゅうの回復魔法の水で小汚ない金属の棒が綺麗になる。

 うん、銀色の綺麗な槍になった。



アイテム名 清銀神真槍

分類    武具

レア度   A-

攻撃力   73

価格相場  12500000G~15000000G


効果及び説明


なぜか町外れに埋まっていた文明崩壊以前の古代の伝説の槍。

装備すると、スキル欄にエリアヒールのスキルが追加される。

範囲回復できる希少な武具。

だいぶ昔の勇者の従者の装備品。



「えー、このなぜか町外れに埋まっていたよく分からない伝説の槍がA賞です」


 A賞の商品の御披露目だ。


「「「「う、うおおおおおっ!!!!」」」」


 大盛り上がりだ。

 これでピクニックは成功だろう。

 やっぱ露骨な賄賂は効果ばつぐんだなー。


「安田くん、なんでこの丘選んだのかよくわからなかったけど、あの槍あったから?」


 いつも通り理解が早い鈴木さんが話しかけてくる。


「そう、あとなんか別な原っぱにもデカい宝石の原石があったけど、ロケーション的に丘のがピクニックっぽいでそ」


「宝石の原石?ほんとに?」


「うん、まあ探したら色々あるよ。多分これは日本でも一緒なんじゃないかな?」


 俺が地球でこの能力を持ってたら、徳川の埋蔵金をみつけられたのになあ。


「ああ、……そうかもしれないね。川底から金出て来てとかニュースで聞いたことあるしね。地面の下にあるもの手に取るようにわかるなら、確かに」


 ね、俺の場合地面見るだけでなに埋まってるのかわかるからね。

 温泉でもなんでも……温泉?


「……ああ、温泉も見つけられるな」


「や、安田くん、やめようね。温泉は色々すごく大変だよ。ほんと大変だから」


 うーん。ダメかな。

 鈴木さんの感じだと温泉事業って大変なんだろうか?



「やったああああぁっ」


 お、俺が温泉プランに考えを巡らしていると、なにやらナナセさんのかわいらしい叫び声が響いてきた。

 あ、ナナセさんが、伝説の槍をひき当てたらしい。

 騎士団で一番えらい人は運もいいんだなあ。

 騎士達もホクホク顔だ。


 そして騎士団の機嫌とりピクニック作戦は大成功に終わった。



 そして町に帰って、夜。


「じゃあそろそろ王都に帰るべか」


 鍋をつつきながらみんなにそろそろ帰ると話す。

 もう、ロケットの処理も大丈夫だべ。


「そうだね。後は快盗のおじさんに任せても大丈夫じゃないかな」


 鈴木さんも賛同してくれる。


「でも安田くん、騎士団の人達にはお礼をしたんだから快盗のおじさんにもなにかしてあげたら?」


「……ええー、そういうのは俺の快盗のイメージと違うなあ、快盗は基本欲しいものは全部悪人から盗まないと」


「欲しいもの全部盗むとかただの頭おかしい人ですよ、安田さんの中の快盗のイメージってなんなんですか?」


 東くんが俺の中の快盗のイメージを聞いてくる。

 まあ一言で言うなら……。


「ポケットからなんでも出す人?」


「ドラえ○んじゃないですか」


 違うよっ、そっちじゃないよっ。


「まんじゅうちゃん、プレゼントボックスやらせてくれるかい?」


 あっ、鈴木さんがまんじゅうのプレゼントボックスやろうとしてるっ。

 あっ、まんじゅうも抵抗しないっ。


「ん?安田くん、なにこれ?」


 あーあ、引いちゃった。



アイテム名 俊足ブーツ

分類    防具

レア度   B+

防御力   28

価格相場  6500000G~8000000G


効果及び説明


足が早くなるブーツ、装備するとAGI+15、スキル欄に壁走りのスキルが追加される。



 あーあ、やっぱり快盗におあつらえ向きの装備出ちゃったし。


 そして不本意ながら快盗にプレゼントを残し、俺達は王都に戻ることになった。



挿絵(By みてみん)

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