7.躾けは最初が肝心。
7話目です。
切りが悪かったので訂正いたしました。短くなっています。
ボーパルラビット討伐の翌日、僕等は冒険者ギルドの食堂に居た。
ルジェルは勿論配膳の仕事で、僕は昨日の情報を得るためだ。
昨日の今日で、食堂はいつもより賑やかだ。
「じゃあ、ロベルト、報奨金の十金貨、昨日と今日で使っちまってもいいんだな。」
「ああ、みんなの力だ。どんどんやってくれ。」
「あれだけ大騒ぎして、死人まで出て、十金貨ポッチじゃ割に合わねえなあ。浮ばれねえー。」
「バカな話さ。」
「で、あいつで作った剣、ドラゴンスレイヤーじやないって本当か?」
「ああ、精々、五金貨ていどの片手剣がいいとこだ。」
「じゃあ、十金貨使って、五金貨の剣か。貴族様も浮ばれねえー。」
「バーカ。剣への加工に三金貨だ。」
「浮ばれねえー。」
「バカな話さ。」
「でも、スラッシュが使えるぞ。」
「あいつのスラッシュ、凄かったなあ。死人も出たし、槍の柄を真っ二つにされた時ゃ、死ぬかと思ったぜ。」
「お前はまだいい。ホランドは、買ったばかりのバックラーが真っ二つだ。」
「それで、やけ酒か。浮ばれねえー。」
「バカな話さ。」
「で、シルベーヌ嬢は、どうしてあんな隅っこで。」
「「探索範囲を広げる」とか言って単独行動してただろう。」
「ああ、やってた。やってた。」
「ボーパルの暴れている姿、見損ねたって、拗ねてる。」
「浮ばれねえー。」
「バカな話さ。」
「そんな中、ロベルト、お前は凄げえよなあ。」
「何が。」
「よく、スラッシュの嵐を掻い潜って、仕留めたよなあ。」
「あいつは討たれに来ていた。」
「だから、むこうから姿を現せたのか。」
「ああ、ここで、討たれてやるから、これ以上、他のウサギに手を出すな。って思いがにじみ出ていた。」
「ボーパルも浮ばれねえー。」
「バカな話さ。」
そんな会話が飛び交う中、僕は気が気でなかった。
二匹(ビーグル犬モドキと小人モドキ)が大人しくしてくれないのだ。
ビーグル犬モドキは、お客さんの骨付き肉を、超至近距離でガン見し、ヨダレを垂らしている。
肉が、客さんの口元と皿を、上下する度に、ビーグル犬モドキの頭も動く。
お客さんには見えていない様だが、見えている僕にとっては心臓に悪い。
だが、犬モドキは、まだいい。
小人モドキ・・・シャンディだが・・・・・・
「おっ、おっ、オッパイ。ボイン。ボイン。」
・・・・・シャンディ、つつくんじゃない。しがみつくんじゃない。お願、マジで止めて。
見えていないし、聞こえていないから良いが、シャレにならん。
僕の社会的地位が。
これが僕の深層心理だというのか・・・違う、・・・断じて違う!
シャンディ、おじさんは、そんな、オッパイ星人に君を育てた覚えは無い。(昨日生まれたバッカで育ててないけど。)
あ、見えている人がいた。
シルベーヌさんとロベルトさんだ。
モドキ共が動く度に、視線が動いている。完全に見えている。・・・終わった。
そんな、僕よりも盛大に終わった奴がいた。
マリアンヌ(超巨乳)さんのオッパイに、シャンディがしがみついている時、たまたま配膳中のルジェルが通りかかった。
もちろん、マリアンヌさんにシャンディは見えていないし、しがみついている事を感じてもいない。
ルジェルは、シャンディを取り除くために、摘まもうとする。
霊的な存在の為、シャンディの身体をすり抜けるルジェルの右手。
すり抜けた先の、マリアンヌさんの超巨乳をルジェルが掴んでしまう。
「ルジェルちゃん。・・・まだ、小さくて幼いと思っていた君が、大きくなって、女の子の胸に興味を持つようになった事、お姉さんとてもうれしく思うわー。」
「あの、これは。」
「なんて言うと思ってるの、このエロガキは。来なさい。悪い子にはお仕置きです。」
「誤解だー。それに仕事中だし。」
「犬でも猫でも悪い事をしたら、その場で叱らないと躾にならないの。いいから来なさい。」
「マリアンヌ嬢の躾かあー、おっさん的には・・・ありだなあ。」
「チビ助、浮ばれねえー。」
「バカな話さ。」
奥の衝立の陰から、お尻をぶたれる音とルジェルの悲鳴が聞こえる。
原因である小さい二匹は、ぶたれる音を聞く度に、ビクっとしているが、騒がしいままだ。
シルベーヌさんと目が合った。
何故か胸隠す。僕がやらせている訳じゃないです。本当に。(感覚は共有ですが。ホントすみません。)
ロベルトさんが、こちらに来る。
「まだ、無理見たいだなあ。」僕にしか聞こえない大きさの声で呟く。
「バルド、捕まえてこい。」
三十㎝ぐらいのマッチョな熊(2足歩行)が現れ、瞬く間に二匹を捕まえ、首根っこを掴んで戻って来た。
「お前ら、向こうでバカ猫と一緒に遊んでろ。」シルベーヌさんの方を見ながら言う。
マッチョ熊が二匹をつれて、シルベーヌさんに近づくと、長靴を履いた猫的なモノが現れた。
マッチョ熊と長靴猫の監視元、大人しくさせられている。
「ガイドは何時からだ。」
「??」
「この事を、ランベルトさんには?」
「昨日の今日で、まだです。」
やれやれ、って仕草をするロベルトさん。
「ランベルトさんには、明日午前中に、コレージュで説明しろ。それから、午後一でギルド会館に二人で来る事。」
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