表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チェンジリング  作者: 香美味
5/37

5.ランベール草原(前)

5話目です。

 一晩、冷やしていので随分楽になった。武道を習っているお陰で、とっさに衝撃を逃がせたのもよかったと思う。

 同じ攻撃をルジェルがあの小さな体で受けたと思うと、今でも怒りがこみ上がる。

 あれは、ブラックジャックという武器だと思う。全然対応が出来なかった。


 骨には異常が無いので、腫れが引いたら明日にでもコレージュに行けるだろう。

 卵入りオートミールを食べながらブラックジャックの攻略法を考える。

 因みに、卵は、今朝早くルジェルが差し入れに来たらしい。怪我をしたと聞いて驚いていたそうだ。


----------------------------------


 数日が過ぎ、腫れも引き青痣も消えかけたころ、冒険者のロベルトさんが訪ねて来た。

 冒険者がコレージュにやってくる事は珍しくない。オープン参加の講義もある。回復薬目当ての冒険者もいる。

(怪しげな薬の場合、素材を直接ルジェルに渡すと、周りにバレバレなので、僕に渡してくる。)


 ロベルトさんは、C級の冒険者である。年の頃は三十代半ば、かなり残念なチョイ悪親父である。

 良い人、悪い人の分け方なら良い人で、キッチリした人、ダメな人ならダメな人だ。


「おい、小僧。チビ助はいるか?」(小僧とは僕の事で、チビ助はルジェルである)

「ロベルトさん意外にモテるから、あんな薬必要無いかと思っていました。」

「意外には余分だ。それと、あんな薬の世話にはならん。」


「おじさん何か用?」

「ボーパルが出た。チビ助、ボーパルの出そうな所、心当たりは無いか?」

「ボーパル?」

「ハルドが殺された時、お前も近くに居たんだろ。その時の魔物がおそらくボーパルだ。いつも一緒にいるチビ共に聞いたんだが、いま一つ要領を得ない。」


「あのウサギ?」

「ウサギ! じゃあ間違いない。ボーパルだ。」


 ボーパルラビットはホーンラビットやワーラビットなどウサギ型の魔獣の変異種で鋭い爪を持っている。

 希少種で、確認情報はほとんど無い。


「いつもの北東の草原から少し外れた所だけど、案内する?」

「いや、討伐要請はD級以上だ。因みに、E以下は草原への立ち入り不許可だ。」

「立ち入り不許可!そんなぁ。期限は?」

「捕まるまで続きそうだ。」

「そんなあー。」

「爪が良い素材になる。成長すれば龍でも斬り割ける鋭さになると言われている。」

「すごい。」

「だが、おそらく未だ幼体だ。それほどの鋭さは無い。討伐の重点依頼要請でも出なきゃ無視している。」

「重点依頼要請。」

「どこかのお偉いさんがドラゴンスレイヤーを夢見たのだろう。おかげで、三日間総出で、ウサギ四百匹。」

「四百匹!」

「まだまだ増えるぞ。北東は行ったし他当たるか。邪魔したなあ。・・・・お前らー、来るんじゃねえぞ。」


「僕のせいだ。」ルジェルが小さく呟いた様な気がした。


「探しに行くのですか?」

「ランベルト先生。」(いつの間にか後ろにランベルト先生が立っていた。)

「止めても行くー。」

「止めませんよ。冒険者は自己責任です。」


「先生、僕も行きます。」

「回りをよく見て、自重して、くれぐれも彼を暴走させない様お願いします。」


---------------------------------


 僕等は、日暮れまでボーパルを探した。ルジェルは緑の濃い草(馬とかが好きそうな)を採っては袋に入れていた。


 冒険者達はウサギを見つけたら、とにかく殺して、それから爪を確認しているらしい。

 間合いが数メートルは有るらしく、迂闊に近づけない為、普通のウサギとの識別が困難だからだ。


 こうしている間にも、生態系を狂わせるほどの数のウサギが、殺されているのかと思うと気が気ではない。

 だが、そう簡単に見つかるものならば、既に見つかっていただろう。


 結局、その日は見つからなかった。

 

 途中、例の龍を見た。二人ともポカーンと通り過ぎるまで見ていた。

 上を向いたせいで無意識に口が開き、ルジェルはかなり間抜け面だった。(僕も気を付けよう)


「明日は、おじさんに聞いてみよう。」(おじさんも分らないから聞きに来てたでしょ。と思わず突っ込みそうになった。)


 ルジェルとは、明日早くから探す約束をして別れた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ