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多分、異世界だったとて

作者: 若山 竹子
掲載日:2026/02/07

「起きなさい!!遅刻するわよっ!」耳元で怒鳴り声が聞こえて飛び起きた。「うわぁっ。」時計は起床予定時刻を過ぎている。慌て、パジャマを着替える。指先を払ってパジャマを階下の洗濯かごに転送し、制服を自分の身体に転送。けれど「ぐうっ!」ベルトがきつくなっていて食い込むっ!階段をスロープにして滑り降りるが「ふぎゃっ!」階段で寝ていた猫が巻き添えをくらい、毛を逆立てて走り去る。「おはようー。」「早く食べて。遅刻したら内申点に響くわよっ!」テーブルに皿が飛んでくる。目玉焼きとトーストにレタス。「アニキ、コーヒーくらい、手で入れなよ。」スプーンを操って、インスタントコーヒーのビンの蓋を開けて。ふよふよ動かすより、手を使う方が早い。「今、パン持ってるから、塞がってんだよ。」「ご馳走様、行ってきます。」無視して玄関に向かう弟。「あーお弁当と水筒!」ビュンと頭上を弁当箱と水筒が飛ぶ。「っぶね。」「当たらないようにしてるわよ。あんたも早く行きなさいよ。」理不尽。

空中飛行スケボータイプで走っていく。「おう、おはよう。」「おう、今日は間に合うな。」途中でクラスメートと会い、学校へ。駐輪(?)場におくと、自分たちのクラスへ。「転送できたらなぁ。」「人がいたら危ないだろ。」「自分の席ならいいだろ。」「前にそれやって、たまたま座ってた女子生徒の上に落ちて、大騒ぎになったやつ居たぞ。」「1組の安藤だろ。」「女子の上ってだけならまだしも、服がくっついて大変だったらしいじゃん。」そんな話しをしている内に、自分のクラスに到着。「おはよう。珍しく早ぇえじゃん。」後ろの席のやつがからかい混ざりで言ってくる。「うっせ。」チャイムがなる。扉が自動に開き、先生が滑るように入ってきた。「はい、先に課題集めるよぉ。」指先を振ると、各生徒の机からノートが飛んでいく。「あれ、島君、ノートは?」「やべ、忘れました!」「じゃ、今頃、君の部屋から学校に向かってるだろうね。」「うわぁ、やっちまった。」頭を抱える生徒を、他の生徒と一緒に笑う。授業を受けて、あっと言う間に昼休み。「あ、おかずの唐揚げ、俺のちくわと交換しない?」「レートが違う。」なんて飯を食ってると、「俺、思い付いたんだけど!」友達がカップ麺と水の入ったペットボトルを持ってきた。「何すんの?」「この水を熱して、カップ麺に入れりゃ、温かいの食えるんじゃね?」「頭良いな!」「おっしゃ、やるぞ!」カップ麺を机に置き、蓋を半分開けてスタンバイ。ペットボトルの水を手に乗せ、集中。「おおっ?」「沸いてきたんじゃねっ?」とたんに、ブシャーっと爆発。「あっちぃ!」「バッカ、蓋!開けとかねぇから!」「うわ、やべっ!」

先生に叱られたのは言うまでもない。


「ただいまー。」家に帰ると弟がリビングで勉強していた。「兄貴、あまりバカな事しないでよ。」「何が。」ノートに書く手を止めず、視線も教科書に落としたまま、「兄貴達がやってる事、一年の僕達の耳にも入るからさ。叱られたんでしょ?恥ずかしいよ。」「…。」ぐうの音も出ない。弁当箱と水筒を流し台に置き、自室へ。ベッドに倒れこみながら「…おかしいなぁ。」魔法が使えたら。なんて、子供の時に夢見てた。けど、実際使えても、あまり生活がガラリと変わった気がしない。多分、使い方や技術によるものだろうけど。制服をハンガーにかけ、部屋着に着替える。財布を持ってコンビニへ。スマホなど電子決済は悪質な魔法で軒並みハッキングされるため、現金に逆戻りとなった。連絡手段はというと…。ヒューンと、透明な紙飛行機が俺の目の前まで飛んできた。手に乗せると、形を崩して光る文字になり文章になる。「“ついでに、チョコアイス買って来て”…。」ぐしゃっと手を握り文章を潰す。

「いらっしゃいませー。」コンビニに入ってかごに、ジュースとお菓子、頼まれたアイスをいれていく。レジで代金を払う。「ありがとうございましたー。」

ジュースを飲みながら歩いていると、公園で小学生数人が木の上を見上げている。「?」と側に寄ってみる。「どうした、ボールでも引っかけたか?」近くの子に聞くと、「なんか上でバサバサしてるの。」指さす方を見ると、確かに何か動いている。が、距離があるのと茂った葉と枝が邪魔でよく見えない。「枝や石を投げたら?」「生き物だったらケガさせちゃうよ!」あ、そっすね。すんません。転送するにしても、対象が見えてないからなぁ。うーん、と考えてふと周りを見ると、小学生達が期待の目で見てる。うっ。「…。ちょっと、登ってみるよ。」コンビニ袋をベンチに置いて、木に足をつける。魔法で足先だけ吸着させて登っていく作戦だ。「うっ。くぅ。」作戦自体はうまくいったが小枝が引っ掛かり、クモの巣が…。なんとか動く物の近くにたどり着く。手を伸ばし掴んだとたん、それ自体がグンっと動き、バランスを崩して木の下に。「うわぁっ!」ヤバイっと思って目をつぶったが、ふわんっと衝撃が柔らかい。目を開けると小学生達が両手のひらを下に向け、「空気のクッションだよ。」…。正しい使い方だよ、まったく。「動く正体、なんだったの?」俺の手元を覗きこむ小学生達。「あぁ、えっと…。」俺の手に握られていたのは、一冊のノート。「…。」表紙に『科学』と書かれ下部には、『3-5 島 かいと』「なんだ、ノートか。」「忘れ物かなぁ。」小学生達は興味が無くなって、散り散りに遊びに行く。ノートはふわりと浮き、学校に向かって飛んでいった。俺は、コンビニ袋を持って帰宅する。「遅かったじゃん。」「…ああ、ちょっとね。」コンビニ袋を弟に渡すと、そのまま自室に戻った。しばらくして階下から、「アニキー!」と、弟の怒りの声。知るか、ちくしょう。

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