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皇子の嫁取り神事とその結果について  作者: みのすけ


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3/4

皇帝の焦燥

「な……劉信リューシンが負けるとは……」


皇帝の口から絞り出すような声が出て、居並ぶ諸侯はハッと御前に視線を向ける。

皇帝の目線の先には東家の大広間が映し出されている。自慢の息子である第一皇子が敗れたことはどれほどの衝撃だったのだろうか、皇帝の口元は開いたままであった。


遠視の術を使い、神事の様子を合議の間で見られるようにしていた。

まるで天井から見下ろすような角度で映し出されており、第一皇子と東家一の姫の表情は分からない。

一方で軍戯の盤上と周囲の様子は一目で分かる。そのため第一皇子の盤面が劣勢になる様が、刻々と映し出されていた。


このようなことは神聖な場を覗く行為だが、皇帝がゴリ押して実現させたのだった。「神事の最中に不正行為がない事を証明するため」との理由だが、もちろん建前である。


神事が終わるまでは、仮令皇帝といえども勝負の場に立ち入ることができない。今までは神事が終わってから直ぐに東領から早馬が出て、王都に結果が知らされていた。その後帰城した皇子から報告を受けて初めて詳細を知るという流れだった。


皇帝は勅令でもって取り付けた嫁取りの様子を諸侯に見せつけるつもりだった。神事に参加できるのは帝位を継いでいない皇室の男子3人までと決まっている。合議の間に控える大多数の者は神事の内容すら知らないのだ。これからのことを考えると、皇室に正当性があるよう納得させなければならない。そのためにこのような場を設けたのだった。


だが当然皇子が負けることは想定していない。皇帝の中では面目がつぶれることよりも、嫁取りに失敗したことの方が響いていた。


東家の姫を妃に迎えれば、そして子が生まれれば、皇室に龍神の加護が得られる。龍神の加護は水の力、龍神に愛されれば王都も東領のように豊かな土地になる。


これは歴代の皇帝が望んだが成し得なかったこと、すなわち皇室の悲願だ。それを我が世で叶える。さすれば我の名は偉業と共に末永く残されるだろう。


なにより、あの時に手に出来なかったものを手に入れることができる!


思い出すのは25年前に我と軍戯で勝負した銀の髪の美しい娘。後にも先にも、あの様に美しい娘はおらなんだ。油断してかかり後一歩及ばず、口惜しい思いをした。


寝ても覚めても彼の娘のことが忘れられず、月日だけが経ってしまい今に至る。皇帝としてこの国の最高位に就いてなお、彼の娘に再び会う事は叶わなかったからだ。


東家は代々神官を務める一族、東領は皇室の力が及ばない不可侵の領地。この国であってこの国でない、皇帝が手を出したくても叶わない領域なのだ。唯一合法的に干渉できる機会が、この嫁取り神事なのだ。


遠視の術に映る姫は、彼の娘と同じ銀の髪。顔は見えぬとも美しい娘だと確信している。今度こそ手に入れたい!


一番確実かと思っていた劉信リューシン……彼奴の過剰な自信が仇となったか?


我が子の中では長男が一番優秀だ。皇妃が実家の力を使い皇帝になるべく教育を施した息子は、我に似て文にも武にも秀でている。幼い頃から持て囃され、自分に絶対的な自信を持っている。時に過剰に見える程に。


他方、周囲を自分の気に入りの者だけで固め、それらの意見だけを聞くきらいがある。自分が選んだ者が正しいと疑わず、上に立つ者としては少々心配になるが……。


気を取り直して、あと2人……ひ弱な三男アレはそもそもダメだが、まだ次男がおる。頭は足りぬが武芸には秀でておるし、女では勝負にすらならないだろう。まだ機会はある。

最後までお読み頂きありがとうございます。


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