Épisode1-9
―――――――〈瑠莉side〉――――――――
魔物に襲われてから3週間がたった。
勉強をしている時に、ダルマンから呼ばれる
「ルリ!ちょっと庭まで来てくれ。」
何だろう……
「ルリ様少し息抜きの時間にしましょう。戻られたら声を掛けて下さいね。」
「はい!ありがとうございます。」
庭に向かって廊下を歩いていると、
………ズキン。
「いたっ……」
玄関を出ると頭痛がした。
「おーい!ルリこっちだ!」
声がする方へ急いで向かった。
瑠莉がダルマンの近くに行くと、隣には四角い物に布が被せておいてある。その後ろにはライディとダルマンの従者が5人ほど立っている。
「3週間前に魔物に襲われたことを覚えているかい?」
「はい。」
それがどうしたんだろう。
瑠莉は不思議そうにしている。
「実は、この目で見てみたいと思い魔物を捕まえてきた。」
「え?」
「ウサギの子どもを連れてきた。この檻の中にいる。」
そう言って、布を取るとあの時と同じ見た目のウサギがいた。ウサギは、暴れているが苦しんでいるようにも見える。
「ルリのタイミングでいい。やってみてくれないか?」
そういわれたが、自分自身どうすればあれが出来るか分からない。
でも、このウサギを助けたい。やるしかないか!
瑠莉は檻に近づきウサギの目線に座ると手を伸ばし、ウサギと自分に言い聞かせるように瑠莉は呟いた。
「大丈夫だよ……」
すると、手元が輝き白い光りが出てきた。前回よりも強く光っている。あっという間にウサギを包み込んだ。
瑠莉は眩しくて思わず目をつぶってしまい、ダルマンや、従者は口を開けて驚いている。
光りが収まるとウサギは普通のウサギに戻っていた。
従者は、拍手をしはじめた。
「ルリの事を、疑っていたわけではないが……怖い思いをさせてしまったのなら、申し訳ない。」
「いえいえ!少し怖かったけど、助けることが出来て良かったです。」
ウサギは瑠莉の傍に行き手をペロペロなめている。
「可愛い!あなたは白いウサギだったのね!あははは。くすぐったいよー!」
その姿を見て、ダルマンが
「そのウサギは、ルリになついているな。お礼とまではいかぬが、何か欲しいものはあるか?」
瑠莉は思わず
「このウサギを飼いたいです。」
と伝えた。
「そうかそうか!ではそうしよう!」
ダルマンは、はははと笑いライディに何かを話すとどこかに行ってしまった。
その日の夜、瑠莉とダルマン、エレーナの3人で食事をしている時だった。
「ルリちゃん、この国での生活は慣れてきた?」
「はい!とてもいい所で好きになりました!」
「それは、良かったわ。ルリちゃんに相談があるんだけど……いいかしら?」
なんだろう?
「どうしたんですか?」
「実は私と主人で話し合ったんだけど、ルリちゃんを家族にしたいと思っているの。どうかしら?」
瑠莉が戸惑って考え込んでいると、話を聞いていたダルマンが
「焦って決めることではない。ルリの考えが一番大切だから。な?」
真剣な顔をしながらそう言った。
そう思ってもらえていたんだ。なんか嬉しいな!正直、家族のように思っていたから……
もし、この家にいられなくなったら悲しい……皆が好きだし……でも……元いた世界に戻るし……
「ごめんなさい。急には決められません。返事は必ずしますので待っててもらえませんか?」
「それは、もちろんよ!」
「皆さんの事は、大好きです!それは確かです。」
「それを聞くことが出来て良かったわ。ありがとうねルリちゃん。」
エレーナは満足そうに微笑んだ。
「そういえば!ルリ!」
ダルマンが声を掛けてきたとおもうと関係のないことだった。
「あのウサギの名前は決めたのか?」
「はい!決めましたよ!もっちゃんです。」
「「モッチャン?!」」
「はい!もふもふなのでそう付けました。もっちゃんも気に入っているみたいですよ。」
瑠莉は笑顔で嬉しそうに話しているが、メテオールにはいないような名の付け方だったので他の人は慣れるのに時間がかかってしまったらしい。