Épisode1-5
―――――――〈ダルマンside〉――――――――
仕事中もずっとルリ殿の疑惑について考えていた。
もしかしたら、王族の方たちが話していた。噂の子かもしれない。
数少ない回復魔法の持ち主なのか………
しかし、決定付けるには証拠が足りない。
従者たちに頼んで怪我など一芝居を打ってもらおう……
「さてと、今日の分の仕事が終わったし帰るとするか!」
そう言うと、足早に帰宅をした。
―――――――〈瑠莉side〉――――――――
夕食の時間になり皆が食堂に揃った。
「ではいただくとするか!」
「「「いただきます。」」」
食事が合わなかったらどうしようと考えていたけど、それは問題なさそうね。
「そういえば、ルリさん。専属メイドを付ける件はどうかしら?」
あっ………そうだった。
もうこの際、お願いしようかな。家に居ても暇だし、話し相手ぐらい欲しいもの。
「是非、お願いしたいです。」
「まぁ!良かったわ!実はもう決めていてね。ティナ!!!」
「はい!」
返事が聞こえたと思うと朝呼びに来てくれた女性が入ってきた。
女性は、エプロンのついたワンピースを着て、茶色い髪を後ろで束ねている。20代前半のように見える
「今日からルリさんを宜しくね。」
「かしこまりました奥様。私は、ティナ・メア・ランソンと申します。ルリ様どうぞよろしくお願いします。」
「お、お願いします。」
ティナの無駄のない動きに見入ってしまい挨拶に戸惑ってしまった。
「そうだ!!!」
満面の笑みでいきなりダルマンが話に割って入ってきた。
「ルリ殿の事をルリと呼んでもよいか?慣れるまではルリ殿とルリの両方で呼ばれると思っていてくれ。」
え?なぜそれを今!?
「それから、私たちの事だが好きに呼んでもらっても構わない。」
返事してないのに話が勝手に進んでるし!
「………」
「あなた!」
瑠莉が戸惑っているとエレーナが助けてくれた。
「呼び捨てがいやだったら嫌って言っていいのよ?私はルリちゃんって呼んでみたいけど……うふふ。」
エレーナは少し頬を赤らめて話をしている。
「嫌ではないので、瑠莉でも瑠莉ちゃんでも何でも呼んで下さい。」
「「本当??」」
「はい!本当です!私はダルマンさんとエレーナさんと呼びますね。」
「えぇ!ありがとう。ルリちゃん。」
「いえいえ!」
「そういえば!私やエレーナがいないときは、ライディやティナ、他のメイドに色々なことを聞くと良い。それから……
「ルリちゃんは何かしてほしいとかある?」おい、エレーナ!話を遮るなよ。」
「だってあなたの話ばかり聞いていられないもの!ルリちゃんにも聞かないと。」
してほしいことかぁ………そういえば……
「よ、読み書きを教えて欲しいです……」20歳にもなって読み書きができないとは思われたくないが、神様に出来ないと言われたのでお願いをしてみた。
「なるほど、それだと学校に行くか家庭教師を頼むかどっちがいい?」
うーん……
瑠莉が悩んでいるとティナが声を掛けてくれた。
「私で宜しければ、お教えしましょうか?」
「ティナが忙しい時は、私もいますのでお声がけ下さい。」
「ティナさんライディさんありがとうございます。宜しくお願いします!」
そう言って頭を下げると
ダルマンが笑いながら
「やる気があるな!頑張ってくれ!」と応援をしてくれた。
その後は、寝るまでの時間をのんびりと過ごし1日を終えた。
kasumisou