Épisode1-4
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「ルリ様。ルリ様。」呼びかける声とドアをノックする音で目が覚めた。
「はーい!」ドアを開けると、昨日焼き菓子を運んでくれたメイドが立っていた。
「朝食の準備が整いました。ご案内します。」
長い廊下を歩き食堂に着くと、ダルマンとエレーナは既に席に付いていた。
「おはようルリ殿!よく眠れたかい?」
「おはようございます。ベットがふかふかで心地よかったです。」
そう答えると同時に食事が運ばれてきた。スープやパンケーキ、サラダなど沢山の料理が机に並べられた。
「ルリさんの好みが分からなかったから、色々な種類を作ってもらったわ。好きなものを食べて頂戴。」
「こんなに沢山ありがとうございます。いただきます。」
一番に目についたスープを一口飲むと優しい味が口の中に広がった。
美味しさに思わず頬が緩んで笑顔になってしまった。
瑠莉の顔を見てダルマンは
「あはは!そうか、そうかたくさん食べるといい!足りなければまだあるぞ」
「ありがとうございます!」そう言ってお腹が一杯になるまで食べた。
………
……………食事が終わり食後の紅茶を飲んでいるとダルマンが話し始めた。
「そういえば、昨日妻と話し合ったのだが宿のようにこれから、うちに泊まると良い!」
「え……、良いんですか?私は嬉しいです!でも、ベリー家の皆さんのご迷惑になるのではないでしょうか?」
「迷惑ではない!エレーナもライディもメイド達も皆歓迎している。な?エレーナ?」
ダルマンは隣にいたエレーナに話を振る。
「私たちは迷惑だなんて思ってないのよ。むしろ大歓迎だわ!」
エレーナは微笑んで賛成をしてくれた。
これから行く当てもないし、こんなに落ち着く場所だから、ここに居てもいいかもしれないぁ。
…………
「宜しくお願いします。」
「おおぉ!本当か!?それは良かった。では仕事に行ってくるよ。」ダルマンはそう言うと出掛けて行った。
「なんだか慌ただしくてごめんなさいね。
あの人が言い忘れていたのだけれど、身の回りの世話をするルリさんの専属メイドを付けようと思っていてね。
町の事や王国の事とか色々知りたいでしょ?もちろん私に聞いてもらっても良いのだけれども
私も忙しい時があるから。ね?いいかしら?」
専属のメイドかぁ……………考えて悩んでいると
「今直ぐに決めなくてもいいのよ!決まったら教えて頂戴ね。」
瑠莉にウインクをするとエレーナは何処かに行ってしまった。
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「何しよう…………」
朝食が終わり自分の部屋に帰ってきてからずっと考えている。
私専用のメイドかぁ。泊めてもらったらお金がかかるのかもしれないし……どうしようかなぁ。
不意に窓の外に目が行く。
綺麗な庭!少し見て回ろうかしら。エレーナさんに聞いてみようかな!
廊下に出てエレーナを探そうとするが、どこにいるか分からない。
すると、丁度目の前にライディが見えた。
「あのー………」
「はい、いかがされましたかルリ様。」
「庭って見て回っても良いですか?」
「良いですよ。ご案内いたします。」
そう言って、入り口まで案内をしてもらった。
廊下を歩き玄関を出ると、綺麗に手入れをされている庭にたどり着いた。
「温室もバルコニーもございます。お好きなだけご覧ください。私は用事がありますのでこれで失礼致します。」
「あ、ありがとうございました!」
お礼を伝えてから、周りを見ると色とりどりの花が咲いている。
綺麗な花……これ全部エレーナさんが育てている花なのかな?
………20分ほど歩いているとバルコニーを見つけた。
椅子に腰を掛け、花を見ながら、この先の事をぼーっと考えているとポカポカして来て眠たくなってきてしまった。
…………
カーン、カーン
ハッと目が覚めると、鐘の音が聞こえてきた。
kasumisou