Épisode1-1
私は、松本 瑠莉まつもと るり 20歳。
どこにでもいる普通の大学生のはずが……まさかあんなことになるなんて……
―――――――〈瑠莉side〉――――――――
目を開けると見たことがない白髭のおじいさんが雲の上に立っていた。
夢かぁ………「夢ではないぞ。」
「……あ、あなた誰?!って言うかここどこ?」
家で寝ていたはずなのに……なんでこんな所に!?
「神じゃ、ここは神の世界。わしがお前さんを連れてきたのだ。」
なんか胡散臭いなぁ……
「今胡散臭いと考えておっただろう。」
「い、いや!そんなことは考えていませんよ。」
なんでわかるのよ……
「それは、わしが本物の神じゃからのう。お前さんの考えている事ならお見通しじゃ。」
「………」
「そろそろ本題に入ろう、お前さんの力を必要とするメテオールという名の国がある。助けてやってくれ。わしは神だから大抵の事は出来るが、最近力が弱まってきていて直接助けることが出来ないのじゃ。」
力って何だろう?
「それは、メテオールに行けばわかるはずじゃ。」
「じゃあ、今いる家族や友達はどうなっちゃうの?助けることが出来たら……家に戻れるの?」
「それは、お前さんの選択次第かのぉー。
戻りたければ、来た時と同じ日に戻すが、もしメテオール王国に残るなら、元いた世界には存在していなかったことにする。まぁ、その辺のことは考えながら過ごすのじゃ。」
「………」
「あと一つ大切なことを伝えておく、メテオール王国の言葉だが、聞いたり話したりすることは出来るが、読み書きは出来ないのじゃ。」
読み書きも出来るようにしてくれたらいいのに……
「それは出来ないのじゃ。お前さんの脳の容量が足りなくて。」
そこをどうにかしてくれたらいいのに!
「無理じゃ。」と失笑しながら言ってきた。
「もー、分かったわ。メテオール王国に行きます。ところで、どうやって行くの?」
まさか、歩いていくとか言い出さないよね……
「説明するより行ったほうが早い。―――――――――――――――。」
何かを唱えているように聞こえたが、よくわからない言葉を言っていたので聞き取ることが出来なかった。
これからどうなるか不安だけど、困っている人がいるなら助けるしかないか。
神様が何かを言い終えると、目の前が回り始めて雲に乗っているようなふわふわした心地よい感覚になり眠気に襲われてしまった。
眠気に耐えながら質問をする。
「あの……本当に私に救うことが出来るの?」
神は瑠莉の質問を聞いて優しい目で瑠莉をみた。
「大丈夫じゃ、お前さんなら出来る。安心せよ。」
その言葉の後、私は眠気に耐えられなくなり目を閉じた。
kasumisou