盤外上のストラテジー―7
ドーガー提督:「話は変わるが―――あのお嬢ちゃんは元気かい?」
話題を変える様にお茶を一杯飲んだ後、ドーガー提督は口を開く。
メル:「お嬢ちゃんというと?」
ドーガー提督:「ほれ、3年ぐらい前か。アンダーソンの養子となったあのお嬢ちゃんさ。おまえさんの部隊に配属されてとるだろ?」
メル:「秋桜マキナ少尉のことですか?」
ドーガー提督:「そうそう」
メルクーアの問いにドーガー提督は頷く。
国芳議員:「秋桜少尉とは?」
ハヤト:「【ブリューナク】に配属されているアンダーソン艦長の養女となっている娘で【ガンクロウ】の専属オペレーターを担当しています。それと“例の少女”の護衛も
務めています。」
国芳議員:「そうか、彼女が――――直接はあったことはないが」
なるほど、と頷く国芳議員。
直接的な面識は二人ともないが話はハヤトやアンダーソン艦長から度々聞いてたのだ。
ドーガー提督:「昔は無機質で無感情な表情をしていたと聞いとったが・・・今はどうだい?」
メル:「そうですね、表情の変化は乏しいですが感情に関しては以前よりも出やすくなってはいますね。ミカサさんと一緒に暮らし出してからはより顕著になってますね。あとは食欲も以前よりも高くなっているらしくて【クロウ】によれば最近は食費の方が高くなりだしたと愚痴ってました」
ドーガー提督:「ガハハ、AIが愚痴をこぼすぐらいには豊かになっとるか!これは一度ちゃんと会ってみたいのう」
国芳議員:「そうですね。私はスケジュール的に難しいですけども」
ドーガー提督:「そいつは残念じゃのう・・・」
そんな会話をしていた一同。
流石に脱線していたので話題を戻す為にハヤトはオホン、と咳払いをする。
ハヤト:「話を戻しますが―――――国芳議員、“例の計画”に関してはどうなっていますか?」
ハヤトからの質問に国芳議員は難しい顔を浮かべる。
国芳議員:「総理を説得することは出来たんですが、それでも与野党では未だに反対の声も根強いです。特に野党からはそこまでする必要があるのかという疑問の声もある模様で―――難航しているというのが正解ですね・・・」
ドーガー提督:「仕方ないとはいえ、煩わしく思っちまうわな・・・」
国芳議員:「可能な限り、多くの議員を説得してはいますがね・・・イカルガ社以外の企業については?」
ハヤト:「我が社と共同で開発に取り組んでくださるのはカシマ重工とタケハヤ重機ですね」
ドーガー提督:「彼らは何を担当しているんだ?」
メル:「カシマ重工はメインフレームの設計を。タケハヤ重機には装備と装甲加工をお願いしてます。イカルガ社はシステム周りを中心に行っています」
国芳議員:「順調に進めば来年には概要が公表できるかどうか、といった所ですね」
国芳議員の言葉にハヤトとメルクーアは頷く。
彼らが極秘裏に行っている計画とは今後の国防に関わる重要なモノであるがその詳細は未だ彼らしか知られていない。
その全容が明らかになるのはいずれ起きる可能性のある事態の時なのかそれともまた別の状況によるかは彼らも定かとは言えないのが実情。
ハヤト:(――――【エッグ】技術がどれほど浸透しているかわからないが・・・連中の存在を考慮すれば急がなければいけない)
胸中でハヤトはそう思いながら手元にあるタブレット端末にある表記が表示された。
表示されている文字は“YAMATO PROJECT”と




