盤外上のストラテジー―5
タンゴ:「――――ガル様。もしかして気にしてるぅ~?」
ガルダルフ:「いや・・・むしろ、あれはアレで納得はしてるぜ?」
下から上へ覗き込む様な姿勢をしながらガルダルフを見るタンゴ。
そんなタンゴに顔を向けず【ダイモーン】の方へと注視しながら
返事を返す。
その反応にタンゴは納得いっていないのか頬を膨らませて不機嫌さを
あらわにする。
タンゴ:「エーーーーー、鬼ツマンナーイ!そこは完封勝利
できなかったことに悔しがるガル様の表情とかチョー楽しみにしてたのにィー!!
マジツマンナーイ!!!!」
ガルダルフ:「おまえね・・・俺をなんだと思ってんの――――」
缶コーヒーを飲みほした後、地団駄を踏むタンゴに呆れた様子のガルダルフ。
とはいえ、ガルダルフ自身はタンゴの言い分も否定はしなかった。
自衛官のオペレーターを卑下する訳ではないが性能的な意味合いでは
【ダイモーン】の性能は【ガルーダ】始めとした“現行の”アームズレイヴンを
上回る設計かつ性能であるのは確かだ。
だが、従来の戦闘機の様にオペレーターの操縦技能と奇抜な発想が結果的に
最新鋭機を凌駕するスペックを有している。
調整が完全ではないことを理由にするのは不本意ではあるがベストコンディションであったならばまた違った結果になっていたかもしれない。
ガルダルフ:(たらればを言うってのもプロとしてはどうかと言うヤツもいるだろうが
どんな不足の事態でも予測するのもプロとしては正しい仕事だろうがな――――)
そう思いながらもガルダルフが個人的に心残りがあるとすれば・・・
やはり最後に出てきた【ブリューナク】のアームズレイヴンだ。
コードネームは【ガンクロウ】と呼ばれている【フレースヴェルグ】系列の3号機に
該当する機体とそのオペレーターに関してはもう少し相手をしたかったのだ。
ガルダルフ:(例の計画の“成功体”とも言われているらしいあの娘がオペレーターを
務めている機体だ。そりゃあ、気にならないというのがウソって話よ)
イヴリースもそれを理解してたか。
その後の仕事でチャンスは作ると撤収作業中の報告を行っていた際にこちらに言ってきた。
彼は大企業のトップだが思ってたよりも話がわかりやすくまた、融通を聞いてくれるというおよそお人好しという訳ではないが大企業のトップを務めている人間の1人としてはフットワークが軽い。
その理由はちゃんとあるらしいのだがガルダルフ的には興味はないということで
詳しいことは聞いていないが
ガルダルフ:「今度聞いてみるかねぇ・・・」
タンゴ:「―――――?ガル様、なにか言った?」
ガルダルフ:「いや―――、さあそろそろ撤収するぞ。連中も嗅ぎ付けてくるぞ!」
部下たちにそう指示を飛ばし、トレーラーに乗り込むガルダルフ。
乗り込む前に会場のある方向へと視線を一瞥した後、それからは一切見向きもせずに助手席に座る。
その後、トレーラーは列を成す様に稼働し、彼らの拠点へと向けて移動を開始するのであった。




