盤外上のストラテジー―4
所変わり、とある倉庫街。
距離としては東京国際マシンナリィフェア会場から車で1時間半ほどの距離にある。
その倉庫街の一角に強面の男に複数の人影とトレーラーが存在していた。
トレーラーは“分解した【レイヴン】”を2体分は格納できる
ぐらいの大きさの物でそれが確認できる限りで6台。
強面の男以外の人間たちは忙しなく動き、諸々の確認をしている感じだった。
その内の1人が強面の男ガルダルフに報告を行う。
?????:「ボス。準備は整いました!」
ガルダルフ:
「おう、ご苦労さん。時間までゆっくりしとけ」
?????:「ハッ!いつでも発進できるようにしておきます」
敬礼するとその場から離れる部下を見送るとガルダルフは近くの自販機に
向かい、缶コーヒーを購入し、それをひと口一気に飲み干す。
そんなガルダルフに上から声を掛ける人物がいた。
?????:「お仕事お疲れ様デ~スよ~ガァル様ぁ~♪」
ガルダルフ:「――――――――」
声の主はトレーラーのコンテナの上に1人の女性が座っていた。
どことなく生意気な少女っぽさを感じさせる見た目も17~18歳ほどと思わせる
意匠や外見をしていおり、その表情も小生意気感を彷彿とさせる笑みで歪ませていた。
ガルダルフはそんな彼女を無視してもう一本缶コーヒーを買う仕草を取る。
?????:「ちょっとぉ~無視しないでくださいよ~!!」
ガルダルフ:「なにしきやがった――――タンゴ」
視線も顔も合わさずにそう答えるガルダルフに頬を膨らませてむくれた表情をしながらタンゴと呼ばれた少女はコンテナから地面へと飛び降り、着地する。
タンゴ:「ひっどいな~撤収後の作業を手伝えってイヴ様から命令受けたのにさ~
こっちはさぁ~」
ガルダルフ:「ソイツは悪かったな」
お詫びかどうかは不明だが購入した2本目の封を開けてない缶コーヒーを放るガルダルフ。
それをキャッチしたタンゴは缶コーヒーを見やる。
タンゴ:「微糖なんだ~ガル様的にはブラックが似合うと思ったのにぃ~」
ガルダルフ:「仕事後は糖分をプラスしたコーヒーが一番いいんだよ・・・いらないなら返しな」
タンゴ:「せっかくガル様からいただいたものを返すのはイヤよ~ちゃんとアタシは飲みますよ~」
そう言うと缶コーヒーを開けて飲むタンゴ。
そんな彼女を見るガルダルフはあきれ交じりのため息を吐く。
ガルダルフ:「――――で、首尾は?」
タンゴ:「上々、っていうか抜け目ないよ。スムーズに帰還できるよ~」
タンゴの返答にそうかと答えるとガルダルフは1台のトレーラーのコンテナの扉を
開く。
トレーラーのコンテナの中身は分解されたアームズレイヴンのパーツが置かれていた。
もちろん、ガルダルフが乗っていた【ダイモーン】のパーツである。
先の襲撃の後、ステルスを駆使して集合地であるこの場所までやってきた。
襲撃の際に用いた【サイクロプス】の幾つかは情報攪乱を兼ねたダミーとしてパーツを分解し、【ダイモーン】の予備パーツを使用している。
他の人間が聞けば卒倒するだろう、とイヴリースは言っていたがそれを気兼ねなく実行させてくれるのは現場であるこちらとしては大変悦ばしいことではあった。




