盤外上のストラテジーー2
ワイズマン:「―――――中々の切れ者の様ですね」
加藤の問いにフッと笑みを浮かべるワイズマン。
それに応える様に静かにニッとする加藤。
こちらへと案内するワイズマンの後を追う様に
付いていく加藤ら3人。
ワイズマン:「流石に公の場で話す訳にはいかない機密なども
あるのでしてね・・・」
場所は警備本部の一室へと移す。
そこは人払いを済ませており、いるのはワイズマンら4人のみである。
ワイズマンは3人をパイプ椅子に座る様に促し、それに応じた3人は
着席し、それを確認したワイズマンは座る前に自身の椅子の横にあった
ボックスを開け、缶コーヒーを取り出し3人に渡していく。
ワイズマン:「イベント警備の合間に用意したもので申し訳ないですが
よかったら―――――」
八雲:「ご厚意、ありがとうございます」
加藤:「賄賂、と穿つのは流石にアレですわな」
松田:「加藤さん!!」
ワイズマン:「せっかくお越しくださったのもあったのと残しておくのも
よろしくないという理由もあるものでご遠慮なく」
じゃあ遠慮なく、と缶コーヒーを開ける加藤。
ワイズマン:「さて、どこから話すべきでしょうか――――」
加藤:「まあ、まずは今回の襲撃してきた犯人でしょうな」
松田:「目星はついているのですか?」
ワイズマン:「一応は、ですが―――機密にも抵触する部分もある為、
詳しくお伝えできないのが現状ですね」
加藤:「大変ですな、傭兵業も・・・軍属は全体的にそうではあるでしょうね」
ですな、と苦笑するワイズマン。
さて、と顔を真剣な表情へと変えて加藤はワイズマンに切り込む。
加藤:「単刀直入に、という訳ではないですが【ブリューナク】側としては
これまでの一連の事件は関わりがある、と睨んでいますかな?」
ワイズマン:「――――――――」
加藤の問いにワイズマンは答えず沈黙している。
その疑問については八雲も松田も考え思っていた。
ここ最近の一連の【レイヴン】絡みの事件。
一見すると関連性など皆無、と思う人間も少なからずいるだろう。
しかし、勘の鋭い人間ならばそうではないと疑念を持つ者もいるのも確か。
本来ならば国内において使用が制限されているALの持ち込んだ上で
暴れるなど偶然の一致で片付けることがそもそもの間違いである。
何者かの意志が偽装込みで一連の事件を起こしたと踏んでも考えるのは
何らおかしくない帰結である。
加藤:「お答えできる範囲でいいんでワイズマンさんの見解をお聞かせできますかね?」




