鋼鉄のフェスティバル(後篇)-12
ガルダルフ:「効いたぜ~今のは・・・」
首を抑えながらガルダルフはそう言葉を漏らす。
無論、外部スピーカーを機能してないので独り言なのは否めない。
とはいえ、ガルダルフとしては一連の不破達の行動は評価していた。
【ガルーダ】のアクションはオペレーターとしては失格ではあるが
相手を見極めた上での最適解の行動を示したのだ。
故に彼はニヤリと笑みを浮かべ、喜びを隠し切れない様子だった。
ガルダルフ:「これだから現場ってのは何が起こるかわからんから面白いんだよ!」
計器をチェックしながら再び言葉が漏れる。
【ダイモーン】は自分用に急遽用意した機体であり、調整諸々に関しては
急ごしらえ故の不完全さが目立つ。
計器からも機体各所のダメージに付いての警告が表示されていた。
とはいえ、行動そのものに対しての支障としては微々たるものではある。
【アルゲス】も【ガルーダ】も碌に動かない現状、多少のダメージは然したるほどでもない。
そんな状況を打破するように接近を知らせるアラートが表示される。
ガルダルフ:「来たか――――」
まるで待っていたかの様につぶやくガルダルフ。
それと同時に【アルゲス】と【ダイモーン】の中間に位置する合間に白いALが降り立つ。
マキナの搭乗している【ガンクロウ】はヴァリアブルロッドを構えて【ダイモーン】と対峙する。
アルゲスオペレーター:『あの機体は――――もしかして【ブリューナク】の?』
ガルダルフ:「ようやくお出ましか、部下たちを突破したのは聞いてただけに待ち遠しいかったぜ」
【アルゲス】のオペレーターの驚愕な様子とは裏腹に【ダイモーン】のガルダルフは
余裕を感じさせる様子を見せていた。
無論、外部スピーカーはOFFとなっている為、ガルダルフの声が聞こえるはずもないがそんな嬉々とした様子のガルダルフは嬉しさを隠そうとはしないでいた。
ガルダルフ:「待ってたぜ・・・“白いカラスくん”!!」
マキナは【ガンクロウ】のコクピット内に映される赤黒いALを見やる。
マキナ:「―――ヤツか、【クロウ】?」
クロウ:『早期警戒管制官殿から提供された画像と合致しています。相違ないかと』
肯定する様に【ガンクロウ】のAIは答える。
目の前に立っている赤黒い“のっぺらぼう(ノーフェイス)”のALはダメージを負ってはいるがそれが足かせになっている様子はなく、今なお戦闘は可能といった感じは
マキナも気づいていた。
機体に関しては【ガンクロウ】に引けを取らない、むしろ機体よりもオペレーターの差ではないかとマキナ自身も感じ取っていた。
マキナ:「だからといって倒せない理由にはなっていない。いくぞ【クロウ】」
クロウ:『了解。可能な限りのセンサーをフル稼働し、少尉のサポートを行います』
ガルダルフ:「来るかい?こっちとしてはまだまだ戦り足りない所だったからなぁ!!」
意気揚々とガルダルフは操縦桿を握り直し、【ガンクロウ】へと向かおうとしたその時。
?????:『申し訳ないがここは引いてくださいミスター・ガルダルフ』




