鋼鉄のフェスティバル(後篇)-7
不破:(どうすればいいか――――)
【アルゲス】が撃破されたこともあってか不破は慎重になっていた。
相手のALは【アルゲス】を行動不能にした後、特にトドメを刺す様な素振りは
見せていない。
狙いがオペレーター込みの機体の破壊ではないということはこれでわかった。
つまり相手の狙いはこちらの性能の分析及び交戦データの取得だろう。
事実、赤いALは撃破し、地面に倒れ伏せている【アルゲス】にはもはや眼中に
ないかの様にこちらに視線を向けているからだ。
品定めによる単純に技術評価という理由かそれともライバル企業の妨害あるいは
喧伝のつもりか
どちらにせよ―――――
不破:「―――――好きにさせるつもりはない!!」
キッと赤いALを睨み付けていく。
今の【ガルーダ】はデモンストレーション仕様故に攻撃用の装備はない。
だが、機能は“制式用のまま”で実装されているのだ。
不破:「――――――」
つまりは――――そういうことである。
不破:「―――フッ、一矢報いるには出来過ぎたものか・・・」
言葉に漏れるぐらいには今の状況は出来過ぎていると嘲笑する不破だがすぐに顔を
引き締める。
不破:「あまりこちらを舐めるなよ・・・闖入者!!」
ガルダルフ:「何か仕掛けてくるか?」
【ガルーダ】のオペレーターである不破の気迫を感じ取ったのかガルダルフはにやりと口角を釣り上げる。
彼が一番注目していたのがこの【ガルーダ】なのだ。
オペレーターである不破一尉の実力はイヴリースからの情報で知っており、彼女に
関してはガルダルフ並みに楽しみを抱いていたのだ。
故に彼女が引かず、このまま自分と【ダイモーン】と対峙していることは無謀でも
蛮勇でもなく、それが最適解であることを彼女も理解しているからだ。
ここで彼女が撤退の判断を選べば自分がターゲットを観客席に向かう可能性を考慮しているからもある。
だからこそ向こうが取れる行動はこれしかない。
ガルダルフ:「さて――――ダンナの面目の為にももう少しは頑張ってくれよ?」
にやりと笑いながらも真剣なまなざしで【ガルーダ】を見やるガルダルフ。
突如として起きた東京国際マシンナリィフェアの闖入者によるこの騒動も徐々に終わりへと向かっていった。




