鋼鉄のフェスティバル(後篇)-5
会場では【ガルーダ】初め、新型ALが突如現れた正体不明AL【ダイモーン】相手に戦っていた、と訳ではなかった。
具体的には【ガルーダ】は可変飛行を目的とした機体構造の関係で近接戦闘は不得手な機体であるが故に近接戦闘主軸の機体には空手(デモンストレーションの都合上装備されていない為)の状態では分が悪いならともかく【サイクロプス】のバリエーション機で近接戦闘に重きを向けた【アルゲス】ですら【ダイモーン】相手に苦戦というよりもあしらわれた様子となっている。
無論、オペレーターは決してアマチュアではなく、不破と同じく自衛隊の中でも熟練のオペレーターの1人だ。
そんな腕前のオペレーターを相手取れている辺り、相手はオペレーターもだがALも尋常ではない。
不破:(――――認めたくないが、相手の方が1枚上手と思うべきだな)
歯がゆい気持ちを抱きながらも事態の打開を模索する。
一方【ダイモーン】のオペレーターであるガルダルフはこの状況を良しとは思っておらず、ジレったいと思ったのと決め手がない状態で攻めあぐねている向こう側の状況を察したのか操縦桿を握り直しながら【ガルーダ】たちの方へと見やる。
ガルダルフ:「――――さて、ちっとばかし刺激が欲しいな」
相手側のデータをより欲しいのもあり、相手側が事態を打開しやすい様にすべく、【ダイモーン】の動きに変化を与える様に動かす。
腰を少し引かせて姿勢を低くさせ、前方に向けて突っ込む様にダッシュさせた。
そしてそのまま【アルゲス】の方へと猛スピードで接近していく。
アルゲスオペレーター:『このまま、やらせると思うなよ!!』
一方的にやられないと機体を動かし、蹴りの姿勢に移行する様に回し蹴りの要領に近い動きを見せる。
無論、ガルダルフも当たるつもりは毛頭なく、即座に回避して【アルゲス】の背後へと回り込む。
アルゲスオペレーター:『やらせないと言ったァァァァァァ!!!』
操縦レバーを巧みにかつ即座に動かし、回し蹴りから脚だけでなく機体そのものを横へ半回転から円を描く様にひと回転していく。
そのまま蹴りを繰り出していた足を【ダイモーン】へとぶつけようとするもそれを
回避、だがそれは織り込み済みであり、勢いを殺さずに
軸となっていた足と蹴りを繰り出していた足を即座に切り替えて連続蹴りの様に繰り出していった。
アクチュエーター始め、関節部分に多大な負荷が掛かるのは承知の上での怒涛の
連続攻撃だ。
ほとんどの攻撃は避けられたがほんの少しだけ【ダイモーン】に掠る様に攻撃が当たった。
アルゲスオペレーター:『当たった!―――――だが・・・、浅い!』
不破:「曹長!!」
ガルダルフ:「動きは悪くなかったが相手が俺だったのが残念だったな!」
そうガルダルフが【アルゲス】のオペレーターに賞賛の言葉を送ると【ダイモーン】は【アルゲス】の蹴り出していた右脚を砕くのであった。




