第9話 鋼鉄のフェスティバル(後篇)-1
ALオペレーター:『な、なんだこいつは・・・!?』
新型アームズレイヴン【アルゲス】の腕を掴む謎の【レイヴン】に驚愕と戸惑いを
抱いていたが彼もプロとして混乱はせず、すぐに対応をすべく、操作を行っていく。
ALオペレーター:『このぉ――――!!』
曲がりなりにもALのオペレーターを務めている。
正体不明の相手だからといってこのまま黙っているのは多くのオペレーター候補から
選ばれた身としてはみっともないことはできないのだ。
フリーになっていた片腕を動かし、正体不明のレイヴンに向けて攻撃を仕掛ける。
だが、それを予測していた赤いレイヴンは即座に掴んでいた腕を離し、瞬時に距離を離して攻撃を回避する。
ALオペレーター:『素早いだけじゃない・・・コイツ、相当な手練れが乗っているのか!?』
【アルゲス】が手玉に取られていることもさることながら正体不明のレイヴンの
情報があまりにも無さ過ぎる。
わかっていることは、目の前にいる“ソレ”が敵対の意思を見せていることぐらいだ。
スタッフ:『聴こえるか?すぐに退避するんだ!武器オプションがない上にデータがない相手に挑むのは無謀過ぎる!!』
ALオペレーター:『いや、観客を避難する為にも少しでも時間を掛けないといけない。それに―――』
オペレーターはチラッと横目で見やる。
そこには【アルゲス】の隣に立つ【ガルーダ】の姿があった。
不破:「他の面々が動く時間を稼ぐ必要もあるが―――このまま、ヤツを居座らされるつもりもないがな!」
【ガルーダ】コクピット内部の不破は険しい表情で赤黒い正体不明のレイヴンを
睨み付ける。
改めて赤黒いレイヴンはまるで甲冑を思わせる意匠の外見をしており、【サイクロプス】などの第3世代のレイヴンと比較しても人間らしいフォルムを彷彿とさせるまさに人間サイズの巨人と称してもおかしくないほど。
特に注目するのはその顔とも云える部分である。
【サイクロプス】など多くのレイヴンは人間の顔に当たる部分つまりセンサーを始めとした要素が集約しているのだが目の前にいるレイヴンは“顔がなかった”のだ。
“のっぺらぼう”もしくは“フェイスレス(顔無し)”と形容できる異質さであり、不気味さを伴っていた。
不破:「――――意図的にそう仕向ける様に設計しているのなら、なるほど開発者は相当なひねくれものと見るべきかもしれないな・・・!」




