鋼鉄のフェスティバル(中篇)-7
時刻は12:00。
昼食の時間帯ということもあってか、会場の込み具合は一旦のピークを迎え、
人混みの流れは穏やかさを感じさせる様に緩やかとなっていた。
会場の外、新型機のお披露目となる屋外ステージでは場のセッティングでスタッフらがパイロットとなる人物たちと最終ミーティングを行っていた。
今回、お披露目される機体は【AL】2機と【WL】1機となっており、イカルガ社とカシマ重工の共同開発となっている【ガルーダ】もお披露目される機体の一つだ。
国内もとい世界的にも初の可変機構搭載の量産型アームズレイヴンともなれば世間のみならず業界隈の注目もひとしおといった感じだ。
ミーティングを終えた【ガルーダ】のオペレーターである不破恵子一尉はおにぎりなど持って軽い昼食を取っていた。
そこへ彼女へ声を掛ける人物がいた。
?????:「恵子!」
不破はおにぎりを頬張りながら声の主の方向へと振り向いた。
視線の先には片手を上げてこちらへ近づいている女性とその後を追う様に連なって歩く男性の姿があった。
【ピースキーパー】を有する警視庁特機2課第1小隊隊長の加藤シンイチと第2小隊隊長を務める八雲シノブ警部である。
不破:「シノブ!いえ、八雲警部と呼ぶべきかしら?」
八雲:「別にいつも通りでいいわよ。あ、こちら同僚の加藤警部よ」
加藤:「どうも不和一尉。お話は八雲隊長からかねがね」
不破:「こちらこそお噂などは八雲警部からお聞きしてます」
よろしく、とお互いに挨拶を交わす。
加藤は不意に顏を上げて【ガルーダ】の方を見やる。
加藤:「これが例の可変型アームズレイヴンですな」
不破:「ええ、これは制式仕様ではないですが制式採用すればこれらの配備も進みますね」
八雲:「航空戦関連の認識などが変わる可能性があるほどとは聞いたけども」
不破:「今のところはまだ試行の段階だけども大きく塗り替わる可能性は十分に高いわ、軌道に乗れるかどうかは今後次第だけども―――――」
そう言いながら残っていたおにぎりを平らげ、飲み物を飲み干す。
【アームズレイヴン】は第3世代レイヴンから本格的な登場を果たしており、その
歴史は実際にはまだ浅いとも云える。
とはいえ、兵器としての有用性などは徐々に高まっていっており、ワークスレイヴンの次に生産性を上げている企業も増えている。
軍事用・戦闘用という忌避感は世間でも根強いが必要性の高さもまた重要性を高めているのもまた事実。
その為、様々な試みを行っている会社も多く、様々な特色を見せていっているのも【AL】という新しい分野の特徴となっていっている。
今回、お披露目される【ガルーダ】もまた今後のAL発展に置いては不可欠な存在となるポテンシャルを秘めており、今日のイベントは非常に重要の高いものなのだ。
故にオペレーターとして選ばれた不破二尉の背負っている重責が増えているのだ




