鋼鉄のフェスティバル(中篇)-6
オペレーター:「しかし、なにか起こるんですかね?」
各隊員の通信を終えると同時にワイズマンに疑問を投げかけるオペレーター。
その声色としては不安よりも疑問を感じるとも言えるものであった。
ワイズマンもそんな戸惑いの様子を見せるオペレーターの理由は理解はできる。
ここまでの厳重な警備、少々やり過ぎではないかと思うのは一般的な思考や観方でも
当然の反応だろうとはワイズマンも少なからずはそう思っているからだ。
ワイズマン:「――――今までの事例もある。襲撃者たちが“まだ本気”ではなかった
と考えられる余地がある以上、過敏かつ過剰な方が気が休まるのもある」
自分にそう言い聞かせている節も感じる様にオペレーターの疑問にそう答えるワイズマン。
今まではこちらの戦力調査も兼ねての外部戦力を導入したのか、という疑問も少なからずあった。
こう思うのは敵が未だ“本来の戦力”を出してきていないという事情もあった。
現状確認できている戦力も基本的には一般的には出回っている【AL】に手を加えた物ばかり。
そんな慎重な動きをしている連中が次に動いて来るのならば新型の格好のお披露目になるであろうこの会場はまさしく舞台としては適切も良い所だからだ。
ワイズマン:(そう考えれば連中も派手とまではいかないが何かしらのアクションは
してくると司令達は踏んでいたが――――)
マキナを警備に参加させず、ミカサの警護に専念させたのも彼女と【ガンクロウ】が
いざという時の切り札としての役割も兼ねての配置でもある。
ワイズマン:(―――――アイツが普通の学生生活を送るというのも悪くはないからな・・・)
詳しいことまでは知らないが秋桜マキナは“普通の生活”を送ったことは一度もないらしい。
彼女自身の出自にも関わっている様だが彼女と出会ったのはおよそ3年前。
【ヴィダール隊】を始め、【ブリューナク】が発足して間もないとも言える時期。
初対面の際のマキナと今のマキナとでは言葉に表すには少々難しいが変わっているのだけは確かに自分も含めた隊員たちは思っていた。
スバルとアルフレイアとは女子トークで(マキナなりにであるが)盛り上がる様に
なり、ライアーからも色々日本のことを(ゴシップ含めて)聞いてたりと
また、時折【クロウ】とはケンカらしいことをしていると整備班から聞いたりもした。
ワイズマン:(たった数ヶ月、とは油断もバカにも出来ないものだな―――――そう考えるのは歳かね)
そう思い、ふと苦笑が漏れた。




