第8話 鋼鉄のフェスティバル(中篇)-1
東京国際マシンナリィフェア2日目。
2日目の会場は大規模なイベントなので使われる展示場で移動手段も
バス以外でも無人モノレールが存在する。
会場の天気は多少の雲があるが概ね快晴と云った天候だ。
会場は外側の広々とした屋外と施設内の屋内の2ヵ所に分かれている。
屋内の方は各企業の【WL】を始めとした展示ブースに
グッズ販売などの物販ブースが存在し、一般の参加者はこちらがメインと言える。
対する屋外の方は各企業の既存【WL】の試乗体験や実物の【AL】を配置など企業方面の参加者らを中心とした展示展開となっている。
特に屋外で注目を引くのはやはり発表される新型の【レイヴン】だろう。
無論、多くの参加者が一般問わず来場する関係上、様々なトラブルも発生する可能性は充分にあり、警備を始めとした不測の事態への対処には開催側も余念がなかった。
当然、警察も警備に参加しており、彼らの【WL】である【ピースキーパー】も
また観衆の注目の的になっているのは不思議でもない。
ナツミ:「ふあ~あ・・・暇ねぇ~・・・」
時間はAM10:00。
【ピースキーパー】1号機のコクピットで辻本ナツミは大あくびをする。
搭乗したのはほんの少し前からだが、現地入りしたのが朝の6時頃からである為、
今の時間帯だと徐々にではあるが眠気も伴うものだ。
会場も今し方、開場となり、人々も列を作ってまるでベルトコンベアの様に
流れる様に入っていっている。
ナツミたち特機課第1小隊がいるのはまさに会場の入り口。
第1小隊の【ピースキーパー】2機はモニュメントの意味合いもあってか
会場入り口の左右に起動した状態で直立している。
来場客も【ピースキーパー】の前にたむろしている者もおり、
SNSに載せるべく、写真を取っていたりなど朝から賑わいを見せ始めていく。
故に色々と問題も発生しやすい時間帯の一つでも言える。
ショウジ:「ナツミさん、大丈夫っスか?」
ナツミ:「大丈夫大丈夫。特にこれといったことがないから暇であくびが出ただけ」
ショウジ:「気が緩むのは良くないっスよ。幾ら自分らが中にいるとはいえ、チェックはしっかりしないといけないっスよ」
わかってるわかってる、と返事しながらナツミはモニターをチェックしていた。
一般の入場時に関してモニタリングによるリモートのチェックを行っている。
多くの来場が予想される為、混雑を避けることとスムーズさを考慮してのチェックパスが採用された。
無論、チェック漏れの可能性もあるがそれをカバーする為に外付け装備としてあるセンサーが取り付けている。
ナツミ:「あ―――、ミユキ。左列の3番目の若い男性。センサーに反応あったわ」
ミユキ:『了解。中島くんに対処してもらうわ』




