鋼鉄のフェスティバル(前篇)-8
メル:「そろそろ戻りますね。社長をお待たせさせる訳にもいかないので」
ドーガー提督:『おお、すまない。長話に付き合わせて・・・歳を取るとついな』
メル:「いえ、久しぶりにお話出来て良かったです」
ドーガー提督:『今度は実際に逢って話をしたいね。久々に食事もね』
メル:「ですね。日本の美味しい食事でお話したいですね」
ドーガー提督:『だからと言って高い所に見栄張って予約しなくてもいいんだぞ?』
メル:「それはおじさまですよね?」
お互いに笑い合いながら通話を終える。
携帯端末をハンドバッグに仕舞うと同時に夜風がメルクーアを包む様にひと息吹かせた。
ふとメルクーアは上の方へと視線と顔を向ける。
暗闇の夜空は今は雲が点々と存在しているがそれに負けない様に星々がキラキラと
輝きを彩っている。
明日の予報は曇りの可能性も報じていたがフェア当日は晴れ間を覗かせているだろう。
少し長居し過ぎたと思い、メルクーアは屋内ホールへと戻るべく、歩み始める。
その際に先ほど会話していたイヴリースの顏が脳裏をかすめながらも今は気にしない様にした。
一方、場所は変わり、とある場所の倉庫広場。
その一角の倉庫に男が1人立っていた。
男―――ガルダルフはタブレット端末を介して部下らしき人物と会話をしている
様子。
ガルダルフ:「準備はどうだ?」
部下らしき男:『予定通りです』
ガルダルフ:「よし、それじゃあ予定通りおまえらは待機してな。合図があったら
手筈通りな」
部下らしき男:『了解』
短いやり取りを終えて通信を終えるとガルダルフはタブレットを操作して次の画面を映し出す。
映し出された画面は【アームズレイヴン】のスペックデータが記載されたもので機体の各アビリティを画面上に表示していた。
ガルダルフ:「―――――――――」
表情は特に変化はないが彼から漏れ出ている感情はどことなく邪悪さというよりも
子供のワクワクさをどことなく感じさせる様な歓喜の様なものと思わせた。
そして彼はタブレット端末から目を離し、目の前の“自分の愛機”を見やる。
跪き畏まった様な格好の血を思わせる様な赤黒い機体が鎮座していた。
ガルダルフの持っている端末はこの機体の名称と思わしきある言葉が表示されている。
“CASE303【Daiмоn】”と




