鋼鉄のフェスティバル(前篇)-7
メルクーア:「ふぅ―――――」
気分転換を兼ねてたかメルクーアは会場から外へ出て
緊張などを込めた息を吐き出す。
会場の料理はそれなりに口を付けたものの、あの手の会場での会食では
会談がメインなので食事には中々手を付けれないのがもどかしいところだ。
メルクーア:(マキナ少尉はきっと残念がるでしょうね・・・・・・)
表情を変えずにシュンと残念に思うマキナのことを想像してクスッと苦笑する。
また昨今は問題にもなっている食品ロスの対策としてか残った会場の料理は
警備などで参加していたスタッフにも振る舞うことになっている。
その際にはライアー達が喜んでおり、ロングスカウターらも「マキナ少尉には悪い事をしたな」と笑いの種になっていたことを思い出し笑いが漏れる。
そんな中、携帯端末からバイブレーションで震えるの気付いたメルクーアはハンド
バッグから携帯端末を取りだし、通話ボタンをタップ。
メル:「はい、メルクーアです」
?????:『おお、メルクーア司令。お勤めご苦労様。今は大丈夫かな?』
メル:「はい大丈夫ですよドーガー提督。」
テレビ通話で向こう側の人物に挨拶するメルクーア。
通話の主は外見は50代ほど思われる初老の男性で平時の【ブリューナク】に居る
メルクーアの様に制服に身を包んでいた。
ただし、服装は微妙に異なっており、一目ではあるがメルクーアとは別の組織の人間であることが判別できる。
ドーガー提督と呼ばれた初老の提督は顏にできた大きな傷が注目できるが朗らかな笑みを浮かべていた。
ドーガー:『そうかそうか。いやぁすまないなぁ・・・儂の方が予定が合えばそっちに行けたんだが――――』
メル:「おじ・・・提督もお忙しいんですからご無理なさらずに
ドーガー:『いやあぁ、おまえさん達に比べれば儂の仕事は楽な方だよ。――――すまないな、若いおまえさんに無理を強いていると思うとな』
メル:「―――おじさま。それはもう言わないことにしたじゃないですか。それに私自身が決めたことでもありますので・・・」
ドーガー:『――――そうだな、すまなかった。今のは聞かなかったことにしてくれ』
メル:「はい、綺麗サッパリ忘れました♪」
思わず笑い声が漏れる。
ドーガー提督はメルクーアの両親の友人であり、両親の死後メルクーアの後見人を務めていた。
提督自身、身寄りはいなかったがメルクーアのことを実の娘の様に大切に育て上げ、メルクーアもまたドーガー提督を実の父の様に思った。
メルクーアが軍属の道を歩むと知った時は人一倍猛反対していたがハヤトの父親である先代のイカルガ社長などの説得やメルクーア本人との会話で折れる形となる。
ドーガー提督:「あの時は大人げなくすまなかったな・・・」
メル:「おじさまの気持ちはよくわかってましたからね・・・嬉しかったです本当に」
ドーガー提督:「――――ありがとう」




