鋼鉄のフェスティバル(前篇)-6
メル:「あなたは?」
?????:「これは失礼。実際にお会いするのは今回が初めてでしたね」
詫びる様に言いながら顔を上げた男性はメルクーアの質問に答える様に口を開く。
?????:「お初に目に掛かります。国芳議員にイカルガ社長、そしてメルクーア司令。
ワタシはロード・イヴリース。【ビクティム・ヘヴィーメタル・マシンナリィ社】のCEOを務めております。以後、お見知りしていただければ」
メル:「【ビクティムグループ】の――――」
ハヤト:「あなたが・・・直接お会いできるとは・・・【ビクティムグループ】の若き俊才とお聞きしております」
イヴリース:「恐縮です。日本における【レイヴン】普及の功労者の方々にお逢い
出来たこと若輩の身ながら我が身に余る名誉です」
そう言いながらお互いに握手をしあう両名。
にこやかでありながらどこか不穏な雰囲気を見せているイヴリースにメルクーアは
どことなく、不安を感じていた。
そんなメルクーアの視線に気づいたのかイヴリースは彼女の方へと視線を向ける。
イヴリース:「どうしましたかミズ・メルクーア?」
メル:「あ、いえ・・・失礼しましたミスター・イヴリース」
非礼を詫びる様に謝罪するメルクーア。
国芳議員は一度咳払いを行うとイヴリースへと向けて言葉を放つ。
国芳:「さてミスター・イヴリース。わざわざ声を掛けに来たのは何も挨拶だけではないのですよね?」
イヴリース:「流石は国芳議員。そこにお気づきになれましたか―――いえ、明日のことも含めてご挨拶をしたいと思いまして」
国芳議員の疑問に流暢にそう答えるイヴリース。
明日とは言うまでもなく、東京国際マシンナリィフェアの2日目のことだ。
2日目は参加企業のコンペティションも兼ねた展示会となっており、多くの企業が
既存だけでなく、新型の【レイヴン】の発表を行う予定だ。
無論、イカルガ社やカシマ社、そしてビクティムグループもまた新型の【レイヴン】を発表する予定である。
イヴリース:「本日はそれを兼ねてのご挨拶をと想い、若輩ながら馳せ参じました。これからも共に頑張って参りたいと」
ハヤト:「――――ええ、お互いに・・・」
軽く会釈するとその場から離れるイヴリース。
それを黙って見守った3人だが妙に重々しくなる空気を破る様に国芳議員が口を
開く。
国芳議員:「さて、そろそろ他の企業の方々にも挨拶をしないといけないので失礼
させてもらいますよ」
ハヤト:「ご足労いただきありがとうございます。」
国芳議員:「気にしなくていいですよ。それでは明日、楽しみにしておりますよ」
そう言いながらその場を後にする国芳議員に軽く頭を下げるハヤトとメルクーア。




