鋼鉄のフェスティバル(前篇)-4
東京国際マシンナリィフェア当日。
1日目の土曜日の内容はレセプション。
日本のみならず世界各国の有数の【レイヴン】関連の企業が
挙って列席するという年に一度あるかないかというまさに
一大イベントと称するに相応しい顔ぶれが揃う。
今年は【レイヴン】の普及から約10年経過という節目も
あってか日本政府から祝辞を始め、来賓も参加する形となった。
それ故に1日目である本日は非常に厳戒態勢とも云える様相を
要所で見せている。
【ブリューナク】を始めとした警護を担当する者達は
ボディチェックなどを行い、人々の負担にならない様に特殊な装備を
した上で会場各所に配置されている。
ズワルト・ワイズマンはスーツ姿で会場内に降り、耳に付けた通信機で
【ヴィダール隊】各員に通信を繋げる。
ワイズマン:「各員、ステルス状態を維持したまま、周辺警戒を怠るな」
全員:『了解』
会場内はビュッフェ形式の立食で各企業の参加者たちが
料理を味わないからお互いの腹の探り合いもとい技術の成果を
語り合う者もいればお互いの健闘を称え合うなど三者三様という
出されている料理同様、様々な彩りを呈していた。
その中でメルクーアはいつもの軍服姿ではなく、ドレスにその身を
包んでパーティの中にいた。
【ブリューナク】の司令官という立場である彼女だが
表向きはその組織母体とも云える【イカルガ社】の
筆頭秘書官という名目で在席している。
今回の東京国際マシンナリィフェアも来賓の1人としてイカルガ社長である
【アインハルト・ハヤト・イカルガ】の供として出席することとなったのだ。
メル:「――――どうにも着慣れていないせいか落ち着きませんね・・・」
ハヤト:「メルは普段からスーツか制服ばかりだからね。偶にはこういう場に
出席してその姿を衆目に見せてもいいと思うんだけどねぇ~・・・」
どこかぎこちない様子を見せるメルクーア。
ドレスもさることながらこういういった場所の経験が少ないせいか
どうにも気が落ち着かないといった雰囲気も見せていた。
ハヤト:「いやいや、とても似合っているよ」
メル:「馬子にも衣裳の間違いじゃないですか――――」
ハヤト:「―――あんまり自分を卑下するのは良くないよ?」
ホラ、とウェイターから飲み物を受け取ったハヤトは片方のジュースをメルクーアに手渡す。
感謝しながらメルクーアは飲み物を受け取り、一口飲むと同時に緊張もほぐれたのかホッとしながら息を吐き出す。
それを視たハヤトは微笑みを見せる。
そこへ2人に近付いていくる人物がいた。
?????:「久しぶりですね、イカルガ社長」




