鋼鉄のフェスティバル(前篇)-2
【マーナ=マークリル】のミーティングルームには艦隊司令のメルクーアと
艦長のリチャードを始め、【ヴィダール隊】の面々が一堂に会していた。
リチャード:「さて、みんなに集まって貰ったのは他でもない明日から開催される
『東京国際マシンナリィフェア』についてのミーティングとなる」
ワイズマン:「日程は土曜日と日曜日の2日間。土曜は企業関連のレセプションと
なり、日曜は一般ブースを含めた大型イベントといった予定だ。出演者に関しては――――」
リチャードに続く様にワイズマンがイベントの内容を説明していく。
【ブリューナク】こと【ヴィダール隊】は警護に参加するは表立っての参加ではなく、ステルスシステム【MIMIC】を用いた隠密警護がメインである。
流石に公表されていないアームズレイヴンを表立って活動させるのは色々と問題に
なる可能性を考慮してのことだ。
ライアー:「何事も無ければそれはそれで良いんだけどよぉ…」
アル:「ライアー先輩、それフラグみたいな言い方ですよ」
ライアーに苦笑しながら答えるのは【アルフレイア・キャナディ・スメラギ】少尉。
【ヴィダール隊】の特殊工作を担当するポニーテールが特徴の丸眼鏡を掛けた女性
士官である。
そのアルフレイアに続く様に突撃隊員である【リョーギ・スバル】少尉が口を開く。
スバル:「アタシとしては平和を乱す悪党に一発ぶちかましてやりたいがねぇ!!」
ライアー:「相変わらず、血の気が多いな・・・」
スバル:「人様の平穏な生活脅かす不届き者には正義の散弾砲をぶちかまさないとね!!」
アル:「非常にわかりやすいトリガーハッピー」
ワイズマン:「貴様ら、私語は慎まんか。――――やる気はあるのは十分だが我々はあくまでも隠密メインでの伏兵であることを忘れるなよ?」
一喝した後、ため息混じりに苦笑いするワイズマンにリチャードとメルクーアも
笑みを漏らす。
緊迫感や緊張感がないと思われるかもしれないが彼らもこの仕事を任されている
プロ。
引き締め方は理解しており、現在はいわゆるリラックスをしているのだ。
場の空気を改める為も兼ねてか、リチャードはひと呼吸置いて咳払いをする。
リチャード:「さて、我々の任務は確かにそう複雑なものではないが最近の出来事も含めて警戒は万全なものとしないとな」
リチャードの言葉を受けてライアーら隊員たちの表情が一変する。
ここ最近の騒動もあってか、本格的な【ブリューナク】の活動が増加しているのも
確かだ。
今まではいわゆる閑古鳥に近い有り様だっただけに裏側の勢力の活動が活発なのも気がかりであった。
一番の懸念点はここにいる誰もが思っている“彼女”のことである。
ロングスカウター:「ミカサ女史は当日来るのか?」
ワイズマン:「2日目の一般ブースに友人らと共にやってくるとマキナ少尉からは
連絡を受けている」
アル:「一番混雑する日だね」
スバル:「どさまぎに連れ去る可能性があるってことか?」
メル:「いえ、もしかしたら『ない可能性』の方が高いかもしれないのです」




