影にうごめく“脅威”-8
ワイズマン:『――――わかった。では、その様にメルクーア司令達にもその旨を
伝えておこう』
マキナ:「お願いいたします。お手数をおかけします隊長」
ワイズマン:『気にするな。青春というものは本当に一瞬だ。おまえさんはそれを
する権利がある。
ミカサ女史含めてたっぷりと思い出を作ってこい。一応、命令という形で出させて
もらうぞ?』
マキナ:「了解――――マキナ少尉、任務に戻ります!!」
そう言うと通信画面が消え、端末は元の状態に戻る。
学校が終わり、場所はミカサとマキナの住まうマンションのマキナの自室。
スマホに本部からのメールを受信していたマキナは帰宅後、『クロウ』の端末を持って自室へと移動し、上司であるワイズマンに通信を開き、学校での出来事を報告した。
内容は今度の土日に行われるイベント【東京国際マシンナリィーフェア】にミカサらと共に行くことになったのだ。
本来、マキナはミカサの護衛ということもあってかフェアの警護任務には就いてなかった。
状況次第によっては出撃する場合もあるが【ガンクロウ】まで使っての戦闘はそうそう起こらないだろうと当初は判断されていた。
故に今回、ミカサらと行動を共にするとはいえ、【ブリューナク】の他の面々が警備参加しているイベントに向かう為、いざという時の連携を取れる様にとマキナは
【ヴィダール隊】の指揮官であるズワルド・ワイズマンに指示を先ほど仰いでいたのである。
内容としてはマキナはそのままミカサの警護任務に就いて【ガンクロウ】も準待機状態の上、状況次第で参加するという形で収まった。
先ほどの会話はそれに関しての確認をかねてのものだ。
マキナ:「【クロウ】は【ガンクロウ】に常時待機ではなく、平時は携帯端末の方で
待機してほしい」
クロウ:『了解しました。有事の際は至急、【ガンクロウ】へ転送後、少尉の元へと
向かいます』
数少ないやり取りを終えた後、端末を携えてリビングへと戻るマキナ。
リビングではソファーにミカサが大きなディスプレイでゲームをプレイしていた。
ミカサ:「マキナ、お疲れ~。どうだった?」
マキナ:「特に変わらず、当日もミカサらと行動を共にしてくれと有事の場合はその都度で動いてくれと言われたわ」
そう言いながらキッチンの方へと向かい、お湯を沸かすマキナ。
ミカサもひと息付く為かゲームをポーズ画面にして座ったまま背伸びする。
ミカサ:「なんかごめんね」
マキナ:「――――?何故ミカサが謝る必要があるの?」
ミカサ:「なんていうか――――大変じゃないの向こうだって色々とやることあるみたいだし」
マキナ:「機密もあるからあまり多くは言えないが基本的なことはいつもと変わらないわ。大丈夫、ミカサは気にせず、メイや山田クンらと一緒に楽しみましょう」
ミカサ:「――――うん、そうだね!ごめんね、マキナ」
マキナ:「お気遣い感謝します」
微笑むマキナにミカサもおもわずはにかむ。
そんな2人のやり取りを【クロウ】は黙って聞いているのであった。




