第6話 影にうごめく“脅威”-1
初夏の色合いから梅雨の雨季へと変わり始めていく時期。
春の感覚から暑さ感じる夏の感覚へと移り替わりを実感させる
頃合いの朝方からにわかに騒がしい様相を街は呈していた。
出勤や通学で賑わう時間帯ではあるが今はその賑わいとは
異なる騒々しさを伴っていた。
場所は人が賑わうオフィス街から少し離れた在来線駅がある地区。
そこの中心から離れた所にある一つの賃貸ビルに人々が集まっていた。
入り口周辺には警察のパトカーを始めとした車両が多く止まっており、
周囲には野次馬を始め、人々が集まり、にわかにざわついていた。
このビルはテナントなどを始めとした賃貸用でその3階に
入っているとある事務所が今回の事件の現場であった。
現場となった事務所はないがひどい有り様となっていた。
書類と思われるプリントが散乱している他、事務所内は大きく荒らされていた。
その荒らされた事務所内には遺体と思われる人間が複数も存在しており、
警察はその状況の検分に追われていた。
?????:「それで死因は?」
?????:「頭部を撃ち抜かれているが先にどうやら胸―――心臓を的確に
撃ち抜いていたのが主な死因だな・・・詳しくは調べないとわからんが」
?????:「物取りのセンは?」
?????:「それもまだわからんがちっと手際が良すぎるのがな―――」
鑑識と思しき男性と刑事と思われる男性がそう言いながら天井のある一角に視線を向ける。
天井の角に当たる部分には本来であれば、この手の事務所にあるはずのモノが無くなっていた。
そしてそのまま視線を下に落とすと“ソレ”が落ちていたのだ。
?????:「よお、松田さん」
不意に後ろから呼び掛けられた松田刑事はその声の主の方に振り返る。
そこにはスーツ姿のどこかくたびれた印象を感じさせるどこか胡散臭い見た目な男がいた。
彼こそ特機2課第1小隊隊長を務めている加藤シンイチ警部である。
松田:「加藤さん、どうしてここに?管轄外でしょ」
加藤:「ちょっと用事で近くを通っただけだから―――と同時にここの連中がこの前の一件と関わりあったからさ。そこが気になってね」
松田:「この前のって――――そうか、コイツラか」
加藤の言葉にどこか納得いった様子を見せる松田。
この前の事件とは本来日本に導入されていないWL【ゴブリン】がモール街を破壊した事件である。
搭乗者は警察警備部のWL【ピースキーパー】有する特機2課第1小隊によって逮捕されていた。
一部逃走した襲撃犯は未だ行方をくらましていたのだが今回の事件での被害者がその彼らであると加藤は睨んでいたのだ。




