“エッグ”という名のギフト―10
ライアー:「たった10年で【レイヴン】の技術が
進歩したことを考えるとかなりヤバいもんだよな・・・」
ロングスカウター:「半ば偶然とも言われているが真意は
定かではない。その後も何人かの【エッグ】の保有者は
見つかったらしいが・・・その多くは碌なことに
なってないと聞く・・・」
ライアー:「――――聞くだけでもゾッとするぜ・・・」
身震いするライアー。
それに同意する様に無言で頷くロングスカウター。
そんな2人を余所にエレニアは端末を操作して
【ガンクロウ】を始めとした機体の作業工程を確認していた。
作業確認をしているエレニアにライアーは言葉を投げる。
ライアー:「なあ、今回のアップデートは基本どんなものなんだ?」
エレニア:「【ガンクロウ】以外の機体はAIとOSの同調効率の
アップデートを中心に装備関連のOS最適化だね。【ガンクロウ】は
それ以外にも“新型装備”のテストシミュレートも行う予定だよ」
ライアー:「新型?」
エレニアは端末を操作して新装備の内容の一部を
表示してライアーたちに見せる。
そこに文字と数字の羅列ばかりで
装備のシルエットも表示されていないが
今までの【AL】の装備とは異なるのはライアー達も
すぐに理解していた。
ライアー:「どういう装備なんだこれ?」
エレニア:「現物がないから何とも言えないけどもとりあえずは
これを【ガンクロウ】に装備させるみたいね」
ロングスカウター:「【クロウ】は承諾するのか?」
エレニア:「しようがしないがデータ取らないといけないから
強引にでもさせるけどね」
ライアー:「拒否権も何もないか・・・」
エレニア:「“設計者”からのオーダーでもあるからね」
そう言いながらエレニアは銀色の【アームズレイヴン】の方へと見やる。
“銃の鴉”という意味合いを付けられた大鴉の名を冠した人型機械。
それに対して関係があるとは思えないがこの機体にこういう名を
付けることになったのか理由などは知りたいと思うこともあった。
エレニア:(深い意味ではないだろうけどもね――――)
エレニアはそうこの機体の設計者のことを想いながら
口と手を動かし、自分達の役割を全うすべく作業へと移るのであった。